マンション標準管理規約 第10条(共有持分)

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条文

(共有持分)
第10条 各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。

コメント

第10条関係
① 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、それに合わせる必要がある。
 登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。
② 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。なお、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。
③ なお、第46条関係③で述べている価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。

解説

 短い条文だが、この共有持分は、管理費や修繕積立金の額の計算の元になり、共用部分等からの利益もこの割合による配分になり、議決権の行使にも影響することのある非常に重要な条項。区分所有法第14条では、共有持分の面積は内法計算を原則として、規約で別段の定めができると規定しているが、標準管理規約では規約で壁芯計算で共用部分の持分を定めることになる。

 共有持分には3つある。すなわち、共用部分の持分、敷地の持分、附属施設の持分である。
 敷地の持分に関しては、コメントにもある公正証書規約により決まる場合が多い。この公正証書規約がない場合は分譲時の売買契約書による。公正証書規約による敷地の持分割合と分譲契約による敷地の持分が一致しなくてはいけない。
 一般的には、分譲業者が公正証書による規約で敷地の持分を定め、それを区分建物の表題部に登記してから名義移転することが多い。建設中など、建築基準法で使用する壁芯計算による面積で按分して敷地の持分を確定する方法を取る分譲業者がほとんどである。
 附属施設は分譲業者から譲渡され、区分所有者全員による共有物になる。その持分は民法により特段の決まり事がなければ持分は相等しいと推定される。すなわち、分譲契約等で附属施設の持分が規定されていない時は、附属施設の持分は区分所有者全員が同等である。
 一般的には、新築分譲マンションを購入する時、規約案に購入予定者が署名捺印し同意するわけだが、その時この別表3による附属施設の持分に同意しているため、附属施設の共有持分は別表3の通りの持分になる。
 上記の通り、敷地と附属施設の持分は分譲契約等で定まるため、規約を改定して別表3を書き換えても、その持分の変更はできない。
 共用部分の持分は、区分所有法により規約で定めることが出来るとあり、規約改定などで持分を変えることも出来る。

参照条文等

区分所有法 第32条(公正証書による規約の設定)
最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第4条第2項、第5条第1項並びに第22条第1項ただし書及び第2項ただし書(これらの規定を同条第3項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。
民法 第250条
各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
区分所有法 第14条 (共用部分の持分の割合)
 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 (略)
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
区分所有法 第19条(共用部分の負担及び利益収取)
 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
標準管理規約 第25条
2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする
標準管理規約 コメント第46条関係
 住戸の価値に大きな差がある場合においては、単に共用部分の共有持分の割合によるのではなく、専有部分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した価値の違いに基づく価値割合を基礎として、議決権の割合を定めることも考えられる。
区分所有法 第27条(管理所有)
 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
区分所有法 第11条(共用部分の共有関係)
 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第27条第1項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
3 民法第177条の規定は、共用部分には適用しない。
民法 第177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
標準管理規約 第7条(専有部分の範囲)
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。




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