区分所有法 第27条(管理所有)

←区分所有法第26条 区分所有法第28条→

条文

(管理所有)
第27条 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
2 第6条第2項及び第20条の規定は、前項の場合に準用する。

解説

 共用部分は区分所有者の共有(第11条第1項)であるが、第11条第2項により、特定の区分所有者または複数の区分所有者の所有と規約で定める事ができる。ここで共用部分の所有者と定められたものは、第20条により共用部分を管理する義務を負う(ただし、重大変更はできない)。第20条の管理は広義の管理であり、共用部分の所有者と定められた区分所有者の管理義務は、保存行為、狭義の管理行為、軽微変更を行う事である。処分行為については定められていないが、共用部分の処分は専有部分に従う(第15条第1項)ので、規約で所有者と定められた区分所有者は共用部分だけの処分は行えない。

 上記の通り、特定の区分所有者に共用部分を所有させ、その管理を行う義務を負わせるのを管理所有といい、この管理所有できるのは区分所有者か、区分所有者以外では管理者のみになる。管理所有した者は、管理する義務を負うとともに管理のために他人の専有部分や共用部分の使用を請求でき、管理費用を請求できる。

 共用部分は所有権の目的とはならないので(所有権の目的となる部分が専有部分)、共有持分があるとは言っても共用部分に対して所有権に基づく権利は行使できない。所有権の対象ではないので、一定の管理行為を一部の区分所有者または管理者に信託し行わせることになる。このことを管理所有としている。

参照条文等

区分所有法 第6条(区分所有者の権利義務等)
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
区分所有法 第20条(管理所有者の権限)
 第11条第2項の規定により規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者は、区分所有者全員(一部共用部分については、これを共用すべき区分所有者)のためにその共用部分を管理する義務を負う。この場合には、それらの区分所有者に対し、相当な管理費用を請求することができる。
2 前項の共用部分の所有者は、第17条第1項に規定する共用部分の変更をすることができない。
区分所有法 第11条(共用部分の共有関係)
 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第27条第1項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
区分所有法 第17条(共用部分の変更)
 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?