マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)国税庁見解【抜粋】

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国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm

抜粋

3 照会事項(事前照会の趣旨)

① ケース1: 駐車場の使用については、外部使用部分だけでなく、区分所有者の使用も含め、そのすべてが収益事業に該当する。
② ケース2: 駐車場の使用については、外部使用部分のみが収益事業に該当する。
③ ケース3: 駐車場の使用については、区分所有者への使用のみならず、外部使用部分も含め、そのすべてが収益事業に該当しない

4 モデルケース

 上記3のケース1からケース3までに係る事実関係等を以下において説明しますが、それぞれのケースのマンションの管理規約が、①外部使用が可能となっていること、②駐車場の外部使用に係る収益はマンション管理費又は修繕積立金に充当すること(区分所有者に分配しないこと)及び③特に記載していない事項については標準管理規約どおりであることを前提とします。
(1) ケース1
 Aマンションにおいては、恒常的に相当な台数分の空き駐車場が生じており、マンション管理組合(以下「A組合」といいます。)が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明しました。
 仮に、この状態が継続し、現行の管理費等(駐車場使用料、管理費及び修繕積立金をいいます。以下同じです。)の金額を増額することなく維持すれば、管理費又は修繕積立金が不足することは明らかなため、A組合では駐車場の外部使用を行うこととなりました。
 この外部使用を開始するに際して、募集は区分所有者と外部者とを分けずに広く行い、使用は区分所有者であるかどうかを問わず申込み順とし、使用料や使用期間などの使用条件についても区分所有者と同様の条件とする予定です。
 したがって、外部使用を行うことにより空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があった場合でも、外部使用を受けている者に対して早期退去を求めるようなことはありません。
(2) ケース2
 Bマンションにおいても、恒常的に空き駐車場が生じており、マンション管理組合(以下「B組合」といいます。)が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明しました。
 このため、Aマンションと同様に、Bマンションにおいても駐車場の外部使用を行うこととなりました。
 この外部使用を開始するに際して、募集は区分所有者とは別に外部に対しても広く行いますが、あくまで区分所有者のための駐車場であることから、外部使用に当たっては、区分所有者を優先する条件を設定することとしました。
 具体的には、区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部使用を行うこととし、外部使用により空き駐車場が解消している状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があったときには、一定の期間(例えば3か月)以内に、外部使用を受けている者は明け渡さなければならないという条件です。
(注) 上記の外部使用を受けている者の明け渡しについては、使用期間を1年とする契約である場合には、使用期間の満了時において区分所有者の使用希望があるときには使用期間を更新しないことといった条件を付すことにより、区分所有者の優先使用を確保することも考えられます。
(3) ケース3
 Cマンションにおいては、先日、区分所有者の異動により空き駐車場が生じることとなりましたが、他の区分所有者の中には使用希望者がいないため、区分所有者から使用希望者が現れるまでの間、空き駐車場の状態にしておく予定でいました。
 この度、近隣で道路工事を行っている土木業者から、マンション管理組合(以下「C組合」といいます。)に対して、工事期間(約2週間)に限定して空き駐車場を使用したいとの申出がありました。
 これを受けて、C組合で検討した結果、短期間であり、区分所有者の利用の妨げにならないと考えられることから、これに応ずることにしたところです。

5 理由(照会者の求める見解となることの根拠)

(1) ケース1
 A組合が行う外部使用は、募集は外部に対しても広く行い外部使用の条件も区分所有者に対するものと同様の条件とすることとしています。また、外部使用を行っている状態で、区分所有者から駐車場の使用希望があったとしても、外部使用を受けている者に対して早期明け渡しを求めません。
 これらのことからすれば、区分所有者に対する優先性がまったく見られず、Aマンションの敷地内にあるものの、管理業務の一環としての「共済的事業」とは認められず、市中の有料駐車場と同様の駐車場業を行っているものと考えられます。
 したがって、ケース1の場合には、区分所有者に対する使用と区分所有者以外の者に対する使用を区分することなく、その全体が収益事業たる駐車場業に該当することとなると考えております。
(2) ケース2
 B組合が行う外部使用についても、募集は外部に対しても広く行うこととしています。
 しかしながら、区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部使用を行うこととし、また、外部使用を行っている状態で区分所有者から駐車場の使用希望があった場合には、一定の期間(例えば3か月)以内に、外部使用を受けている者は明け渡さなければならないといった区分所有者を優先する条件を設定することとしています。
 これらのことからすれば、B組合が行う駐車場使用には、区分所有者に対する一定の優先性が見られることから、少なくとも区分所有者の使用に限れば、管理業務の一環としての「共済的事業」であり、収益事業たる「駐車場業」には該当しないと考えられます。
 次に、区分所有者以外の者に対する外部使用ですが、この外部使用を区分所有者に対する使用と一体不可分のものとして行っているかについて検討すれば、次の点からすれば、外部使用は管理業務の一環としての「共済的事業」とは別に、異なる独立した事業を行っていると考えることが相当です。
① 外部使用の募集は、区分所有者への使用とは別に、広く外部に向けて行っていること。
② 区分所有者に対する使用に一定の優先性が見られるなど、区分所有者と区分所有者以外との間で使用条件が異なること。
③ 外部使用は、区分所有者からの使用希望があれば、一定の期間後に終了するものの、区分所有者からの使用希望がなければ長期間となること(短期間とは限らないこと)。
④ 管理費又は修繕積立金が不足するおそれに備えて、収入を得ることが目的であること。
 このように独立した事業である駐車場の外部使用について、収益事業に該当するかどうかの検討をすれば、駐車場の使用であり、かつ、使用する者が区分所有者以外であることから、「共済的事業」及び「管理費の割増金」といった性質のものではないため、「駐車場業」(法令5丸1三十一)として収益事業に該当することとなります。
 (注) 収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければなりませんが(法令6)、この区分経理を行っているかどうかが収益事業に該当するかどうかの判断基準とはならないと認識しております。
(3) ケース3
 C組合が行う外部使用は、そもそも積極的にC組合が外部使用を行おうとしたわけではなく、相手方(区分所有者以外の者)の申出に応じたものであり、また、区分所有者の利用の妨げにならない範囲内で、ごく短期的に行うものですから、ケース2において上記(2)の①から④までに掲げた区分所有者に対する使用とは異なる独立した事業とすべき事情も存在しません。
 したがって、C組合が行う外部使用は、管理業務の一環としての「共済的事業」である区分所有者に対する駐車場使用と一体的に行っているものと考えられます。
 次に、一体的に行っている事業(管理業務)における収入の一部が区分所有者以外の者からの収入(外部使用による駐車場収入)であることをもって、その事業全体が収益事業である駐車場業に該当するかどうかについて検討をします。
 この点、収益事業の範囲については、収益事業には「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。」(法令5丸1)とされていることからすれば、収益事業に該当しない事業にも「その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。」と整理することができると考えています。
 したがって、C組合が行う外部使用については、管理業務の一環として行われている区分所有者に対する駐車場使用に付随して行われる行為であることから、この外部使用を含めたC組合が行う駐車場使用の全体が収益事業には該当しないものと解して差し支えないと考えたところです。





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