マイレージ・マイライフと私

皆さんは「マイレージ・マイライフ」(原題:Up in the air、2009年)という映画をご存じだろうか。

ジョージクルーニー演ずるライアン(独身イケオジ)が、新卒社員のナタリーやナンパで仲良くなったアレックス、自身の妹夫婦らとの交流により人生哲学を見直すといった内容である。
詳しいあらすじはwikipediaやネット上の解説記事に譲ることする…。

もう10年前以上前の、リーマンショック時の映画でSNSがメジャーではない時代の作品ではあるものの、今見返しても感慨深いものである。

マッチングアプリによる出会い、直接会わずにline一本で別れるといったことはオーソドックス話だし、コロナ渦でオンライン授業で出会った大学生男女が一度も会わずに別れるといった事象もあるようだ。

仕事でもzoomやteamsを多用している方も多いだろう。特に支店間の社内会議なんかは、直接会って説明するといった必要性が客先担当者よりも必要ないから、webの方が手っ取り早かったりする…。

あんなに拒んでいたオジサン達も自身の生死に関わってくれば、こんなに早く変われるものなのかと感心したものである(笑)

本noteはそんな時代に、英会話の勉強も兼ねてマイレージマイライフを9年ぶりに見直した感想(含む自分語り)について述べてみたいと思う。

旅する仕事へのあこがれ

初見は学生時代、大学近くの映画館のレイトショーだったのだけどあまり実感が湧かない所か、旅する仕事にあこがれを抱いたものであった。
研究に追われ、趣味であった旅行に出かけることも、アルバイトで軍資金を貯めることもままならなかった。その反動である。
いわば、本映画のナタリー(23)入社当初と同じような淡い考え方だったのかもしれない。
尤も、子供のころ本気でパイロットになりたかったこともあり、そうさせたのは父親がJGC会員でサクララウンジに同行者として入ったりして優越感を味わったこともあるが、「ワーケーション」費用を会社に出してもらいながら住宅にかける費用を抑えることが出来るというメリットも感じていたのかもしれない。
実際に入社した会社では、食費なんかは含まれず、雀の涙ほどの宿泊費が支給されて、ビジネス旅館に泊まるわけだけど、渡り鳥みたいなもんだな。
それでも普通のオフィスワーカーよりも貯金のたまりも良かったのだ。

夕食も豪勢だった。昨日はステーキ、今日は天ぷら、明日はうなぎ、週末は懐石料理…なんてこともあった。酒が飲めなかったからキャバクラは付き合いでしか行かなかったからか、それでも十分に贅沢は出来たのだ。

移動で上級会員を堪能する

しばらくして出張生活に慣れてきたころ、上級会員になる機会を得た。
優先チェックインカウンターでの手続き、サクララウンジ、優先搭乗、足元の広い非常口座席へのアサイン、預入荷物の優先返却…。
'90年代ほどじゃないけど、十分に満足できた。

これなんかも、年末年始の混雑する那覇空港でやったことがあります。優越感半端ない。
必要経費の立替でけっこーなマイルを貯めさせていただいた。

渡り鳥生活の問題

ただ一つ問題があった。出張期間・期限が決まってなかったのだ。だけど大きい問題だ。
現地で物を買っても来週にはここに居ないとなれば、迂闊に大きなものを買うことは出来ないし、実家から雑貨を送るにしてもいつ移動する身か分からないから、住所をどこに指定するか迷った。
ある時は現地のゴルフスクールに通うことも考えたが、来週の予定すら見えない状況でまとまった費用を支払うリスクは取れなかった。
女を口説こうにも、ナンパできるタマではなく、じっくりと人間関係を作ることしか出来ない自分には特定の彼女を作ることが出来なかった。
即ち、仕事かすぐできる事しかやれなかったのだ。そうして、20代を研究と出張に捧げたのであった。

ライアンという生き方

ライアンと私の大きな違いは、イケメンエリートであるか否かであるが、ここでは触れない。
でも、常に変化を好む性格なのは似ているかもしれない。ひとつの場所にはいられないのである。
義弟・ジムがマリッジブルーを起こした際に、「自分はただ死んでゆくだけ、ライアンが輝いて見えた(意訳)」とライアンに語るが、これは真理だろう。そういう風に死んでゆく既婚者は多く見ているし、つまらない人間も少なくはない(笑)
一方でインタビューでも様々な人が語るように、家族の大切さも本当であろう。根無し草には痛く染みる。
果たして、アレックスにフラれた直後1000万マイラーとなったライアン、サンフランシスコに再就職したナタリーはどういう人生を生きてゆくのは結末としては分からない。
そういう意味では、家族を持ちつつ、出張と仮初の愛を愉しむアレックスはいいとこ取りなのかもしれない。。。
…ん?これ、アレックスの賢い生き方じゃねえかw

まあ、でもライアンは不器用な男かもしれない。仕事は出来る人だとは思うけど。

さて俺は、なにをやろうか

既に30代になってしばらく経つが、部署異動により出張もかなり少なくなった。
すでに出張中受けられなかった国家資格も取得したし、ゴルフスクールにも通っている。
伴侶探しは・・・難航しているが、根無し草よりは落ち着いて行動できる。
でも、またジョブローテーションで部署を移動すれば、出張で飛び回ることもあるだろう。
それまでは、根無し草では出来なかったことを、腰を据えてやっていきたいと思うのである。
まあ、目標は持ちつつ家庭も築いて、アレックスの生き方を目指したいと思います。

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