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#建築

野に生きる

人類にとってかつての建築は無駄に大き過ぎた。重い部分が手で触れることもできない程の空中高くに掲げられており、それが地震のたびに崩落して人を殺してきた。そんな建築だが今では衣服と区別できない程に小さくなり、地震で死ぬ様な心配は不要になった。野に生きる諸先輩方に学んだおかげだ。

ひらひら

ひらひらさせながらさそってみる
あとでひりひりするのはしってる

寄生人

生体型集合住宅は生物そのものなので
生存に必要なものは全て自動供給される
細胞壁を透過した淡い光が空間を満たし
エレベーターは繊毛にくすぐられ昇っていく
惜しむらくはウツボカズラではなく
ホタルブクロの遺伝子を使うべきだった
稀に昔の記憶が蘇り
寄生人が溶かされる

「建築」のつくりかた

建物は人のまわりに空間をつくるが「建築」は人のなかに空間をつくる
言葉でぎっしり詰まった心のなかに柔らかな光や風を導き入れるための大切な隙間をつくることができる

「建築」のつくりかたは簡単で建物に詩的な形式を与えるだけだ
言葉でぎっしり詰まった建物にいとおしい音楽を映すことだ