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#創作

セビレ

ムナビレオビレハラビレセビレ
セビレが一番役立たず
セビレが一番カッコいい

はじまる

傘に朝にそのさきっぽに陽がさして
小さく強くはねかえす水玉表面の張り切り具合
洗いざらしの今日がはじまる

わずかに大きな幻想

ふりおろすこの拳はだれの拳か
ののしるこの唇はだれの唇か
わたしよりわずかに大きな幻想が
わたしをあやつる狂気の仕組みだ
あのひとは象徴を燃やして
あのひとは大声で切り捨てて
全体の中に浸かっている
安心している、正しさの暗闇の中で

タケノコ生える

下水道局管轄タケノコ
本管埋設急斜面に生える
遠足の列ながめてのびてゆれて
税金雇われ刈り取り人チェーンソー
現れるまで
生えてしまって
雨のあと雑草の茫茫らしく

バレエシューズ

アスファルトの道をまっすぐに行くと屋根に車の重しを載せたスーパーマーケットがありバレエシューズが売られている。
その脇をたくさんのマスクたちがくるくると舞いながら通り過ぎて行く、緊急事態宣言発令中の日常。

流星群

いつもの親子が今朝も覗き込む
街の歌声に守られたコンクリートの橋の下
子供たちを引き連れて水鳥たちも泳いでいた
流星群のような優しさを川面に描いて
鼠色に立ち塞がる擁壁を味方につけて