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PC監視ツール、そもそもの考え方が間違っている

現在テレワークがうまくいっていない企業は、おそらく大部分が今後もうまくいかないだろう。
「サボらず真面目にやる事」を正解とし、時間内にサボらない様に管理することで生産性を確保してきた企業(いわゆる工場労働者等に対する管理と同様の管理を知識労働者に行ってきた企業)は知識労働者としての働き方が身についていないからだ。それは一体なぜだろうか。

なぜやる事をやったら終わりではダメなのか?

週休3日にする?の様な議論が国会で出ている様だが、そもそも週休3日だろうが、4日だろうが、5日だろうが、やる事をやっていれば
文句を言われる筋合いは無いはずだ。
しかし、日本では知識労働者であろうと、1日8時間は働かなくてはならないとまるで時給換算のアルバイトの様な事を言っている。だから疲弊する。
1週間かかるであろう仕事が2日で終わったらあと3日休んでいいよとなれば
どうなるであろうか(筆者であれば徹夜でも何でもして1日で終える)。
ソニックガーデンというシステム企業はそれをやっており、
書籍にてノウハウを公表もしている。

しかし、時間で管理をしている日本企業の反応を代弁させて頂くと

「何を言っているのかわからない、だって、自分のやるべきことを2日で終わったら、あとは別の仕事を3日やってくれとなるでしょ?だって、週5日働く事に対し給料を払っているんだから」

であると思うが如何であろうか。

時間で管理することをやめるということ

時間ではなく、成果を握る事。
「その仕事の成果は確実に出しますが、いつどのくらいの時間をかけるとかは公表しません」
ということであるが
「え、そんなの当たり前じゃん」

という企業もあれば
「うーん、何を言っているのかわからん」」

という企業もある。
知識労働者で後者であれば、そもそもの知識労働者としての考え方がズレている。

A:24時間仕事しましたが、言われた事できませんでした。
B:30分やりました。言われた事は終わってます。

で言えば、Aの方が良いと言っていることになるのだが、分かっているのだろうか。クレイジーだ。
コンビニのバイトじゃないんだから、知識労働者はそこにいるだけでは価値は無い。工場労働者じゃないんだから、知識労働者はそこにいるだけでは価値は無い(工場労働者をdisっているわけではなく、求めるべき事が違うと言いたい)。

それは分かったけどじゃあ、どうすんのよ。
という話が次。

ジョブディスクリプション

ジョブディスクリプション、最近よく聞く言葉だな~と感じる方もいると思うが、多くの日本企業は職務範囲を敢えて曖昧にしている部分がある。

「だって、色んな仕事があるじゃない?そのジョブディスクリプションに
書いてない仕事は誰がやるのさ?」

そういう不安からであるが、現状上記を吸収しているのは中間管理職である。なんでもかんでも中間管理職よろ~となった結果、現在の疲弊しきった姿がある。

部下の面倒をみて、経営陣の阿呆な施策に振り回され、お客様からのイレギュラーなクレームをいくつも処理し・・・もう目を覆いたくなる。

ジョブディスクリプションやそれに類するもので職務範囲を明確に、求める成果を明確にすることが1つの答えとなる。例えば労働分配率で評価を作り、50%以内であればあとは好きにして良いとか、このお客様を満足させれば、あとは好きにして良いとか。
いずれにせよ「求める成果の明確化」が必要であり、それ以外は好きにして良いよ~が必要なスタンスである。

上っ面の「みんなで頑張ろう」をやめる事

「みんなで頑張ろうっていってるのに、お前なんでサボってるんだ。自分のやるべき事をやったら
他のメンバーを助けろってWAYに書いてあるだろうが!」

こんな話を聴いたことはないか。
WAY自体はコリンズのビジョナリーカンパニー2にも書いてある事なので、あるコンテクストでは
正しい事ではある。
しかし、コンテテクストが全く違う企業がこれをやると疲弊しか起きない(上の例はコンテクストとかではなく、そもそも解釈を間違えているのだが)WAYは大事だが、企業が大きくなれば様々な人が企業には参画してくる。そもそも個々人のやりたいことがWAYと合っているなら良いと思うが、そうでない方が多くいる場合、それぞれの考え、権利がWAYに侵されるようなことがあってはいけないと思うが如何であろうか。

採用でしっかり見極める

このそもそも合っている方を入れる為に、知識労働者としての働き方ができているであろうカヤックもソニックガーデンも採用への力の入れ方が半端ではない。
働きがいのある会社、没頭できる会社というのは、社員の資質が大きな割合を占める。社員が楽しく、前向きに、仕事に没頭出来る様な会社にしたいと思う経営者は
「何もやりたいことはありません、実現したいこともありません」の銀行の総合職を目指す様な輩(筆者の偏見であることは承知)を絶対に入社させてはならない。そういう輩には内的動機付けの要素が無いからである。

見極めとしてはTIPSの考え方が役に立ちそうだ。
元々はオランダのサッカークラブであるアヤックスの選手選抜の時の考え方であるが
T(技術)I(知性)P(性格)S(スピード)の4項目である。
どう考えても「面接して採用」という通常の採用フローでは難しい。
インターン等、ある程度の期間一緒に仕事をする等見極めには時間が必要である。

内的動機付け

デシという学者が有名であるが、その後自己決定理論等に発展していった。
評価が良かったので~、褒められたので~の様な外からの働きかけでモチベーションが上がるものを
外的動機付けという。これは強力ではあるが一時的という特徴がある事が分かっており、本当に仕事に没頭、カヤックで言う遊びの要素が生まれてくるには、「自分にやりたいことがあって、今これをやる意味が~」
の様なものや、「これが楽しくて~」の様なものである内的動機付けが必要である。

何を実現したいの?に対して
「とにかく頑張りたいです」にはフラグを立てておかなくてはならない。

まとめ

テレワークがうまくいかなくてね~の根は相当深い。
管理システムを入れれば解決するとかそういう話ではない(むしろ悪化する可能性すらある)。
個人の未来、会社の未来、そういった根本的な事が関わっている話であることをしっかりと理解しなければならない。
筆者はマニュアルワークに染まりきってしまった大企業にはもう無理であるとさえ思っている。「うちの会社、成果とかあまり言われないから楽だよ~」は何を得て、何を失っているのか、考えておくべきである。


カトキチ@組織・人材開発コンサルタント


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