見出し画像

【人事制度】「〇〇くん!」等と呼んでいる企業にジョブ型は無い

   日本企業は終身雇用が崩壊し、大企業中心にメンバーシップ型からジョブ型に急速に舵を切ってきた。それに合わせ、人事制度もソフトバンク社やリクルート社を先駆けとして、役割等級制度が拡大している。
株式会社Works Human Intelligence(2021)によると調査対象119社の内約45%の53社が既に導入済であり検討中を含めると7割を超えるという。国際競争力の強化、メンバーシップ型採用の負荷、専門職の不足、終身雇用の終焉等の背景から、年功的要素が強い職能資格制度からの脱却を図る形で導入が進んでいる。

具体的には賃金管理(降給を容易にする)と、昇格昇進要件の明確化によるモチベーションの向上を主な目的として導入されている。しかしながら、役割等級制度を導入したが、依然となんら変わらない或いは目的から遠のいている企業も多く出てきている。その理由の一つが「暗黙の序列」である。

よく見られる暗黙の序列には「〇〇くん序列」がある。
「〇〇くん」序列は、年下には「〇〇くん」と呼び、年上には「〇〇さん」と呼ぶというものである。年齢さえ上であれば、たとえ役割等級の上位者に対しても「〇〇くん」と呼ぶ(酷いところでは、年下には呼び捨てであり、たとえ役職者であっても年下であれば呼び捨てにする)。

これが浸透している組織は表で動いている役割等級制度の機能を妨げる働きがある。

「私マネージャーなんですけど、なんでいつまでも〇〇くんって呼ばれているんだろう?」

或いは

「〇〇くんって言っているAさんはやはりマネージャーっぽい働きをしている様に見える」

等で組織が重くなることがその理由である。これらは脱却を図ろうとしている年功制度の面影とも言うべきものであり、年功文化とも言えるものの一端である。しかし、ビジネスで役割等級制度を入れた企業は「pay for roll」であり年齢は関係ない。上下の意味を含む呼称は、整合性を取る為にも一刻も早くビジネスの場から消し去るべきである(「〇〇さん」で統一で良い)。
たかが呼称と侮るなかれ。


カトキチ@人材・組織開発コンサルタント


(参考文献)
・石山恒貴+パーソル総合研究所(2018)『会社人生を後悔しない40代からの仕事術』
・松本順市(2016)『社員が成長し業績が向上する人事制度』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?