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組織社会化とオンボーディング

組織の成員にとっては自明なことでも、新しく組織に入ってくる者においては何一つ自明ではない。この様に組織に新たに入ってくる者が、組織の一員として適応していく事を組織社会化と言う。
よく知られている説明としては「個人が、組織内における役割を受容し、組織構成員として参加する為に必須の価値観・能力・期待された行動・知識を正しく認知する過程」(Louis 1980)がある。例えば大学を卒業し、企業に入社するとその企業社会の企業理念、ビジョン、ミッション等から正しいとする考え方、行動を是とし、その限定された範囲の中で発達していく事になる。

組織社会化に成功すると1)個人の役割・職務が明確化する、2)業務内容についての理解が進み、生産性が向上する、3)自己効力感が増す、4)同僚から信頼を得られる、5)離職防止に役立つ等のメリットがある。
従って、組織にとって個人の組織社会化とは初期投資であると言える。
組織目標を達成する為には、組織社会化を即時的かつ効率的に実施することが求められる。

組織社会化は入社時だけ歓迎会や飲み会をやるというものではなく、
ある程度の期間・プロセスを踏むものである。
主なプロセスとしては

1)期待に胸を膨らませる時期
2)激しいリアリティショックを受ける時期(主にマイナス)、
3)徐々に慣れていく時期
4)期待される役割をこなし始める時期

があると言う。
例えば内定が決まった学生は「どんな仕事かな?」「どんな出会いがあるのかな?」等と期待に胸を膨らませ、自分の活躍や夢を重ねて2)を迎える。
2)では、「おいおい、暇すぎて何にもやる事がないぞ」「こんな仕事だったか?地味すぎるだろ」「ブラック企業だった・・・」等期待や想像とのギャップを味わう。
パーソル総合研究所とパーソルキャリアが実施した調査によると、「リアリティショック」は入社後1か月ぐらいまでに感じることが多く、入社3年目には80%近くの人が感じるという。
それを何とか乗り越え3)のなんとなく慣れてきて、4)で色々任され始めるというプロセスである。

この様な組織社会化のそれぞれのプロセスを何とかうまく乗り越えさせるためにRJPや各種オンボーディング策を講じている。


カトキチ@人材・組織開発コンサルタント

(参考文献)
・中原淳(2021)『経営学習論』

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