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PMOって何するの?に対する一般論と個人的な思い


最近流行りのPMO

 昨今のコンサルティングファームでは大規模なシステム導入プロジェクトが増えたことが背景にあり、PMOとしてプロジェクトに入る機会が増えています。その結果、PMOに対する関心が高まりX(旧Twitter)では、「PMOとは何か」といったことが語られたり、一部の経験者から「PMO案件は人が育たない」「PMO案件は質が低いコンサルが行くことになる」といった噂話が語られたりする場面を目にすることがあります。
 そのなかで、PMOの成熟度のようなものを一般的な類型を参照しながら説明している話がありました。今回はそれを念頭に置きながら一般的な説明をさせていただき、そこに加えて私の思いも記載させていただきます。

PMOの一般的な類型は事務局・管理・参謀の3型

まず、PMOの一般的な類型は下記のリンク先の資料をご参照ください。
https://jasst.jp/symposium/jasst18tokyo/pdf/A6.pdf

 この資料や、私が目にしたツイートでは、PMOを「参謀型」「管理型」「事務局型」の3つの型に分類していました。補足として、類型別に作業内容のイメージがつくように、私が考える代表的な動き方のイメージを下記に記載します。

・参謀型PMO 
 ープロジェクトの課題やリスクの分析を行い、解決に向け施策の検討と提案を行う
・管理型PMO
 ー課題や進捗などの情報を一元化し、予実の差異を把握したうえで対応を促進する
・事務局型PMO
 ー会議調整やルールの周知徹底など、決まったことが実行されるための準備を行う

PMOの類型別 動き方のイメージ(著者作成)

 以前、「参謀型PMOは成熟度が高く事務局型PMOは成熟度が低い」というツイートがあり、多くの共感を得ていました。確かに、ワタシもコンサルタントとして入る案件でPMOとして価値を出すならば参謀型の動きを行う必要があると思っています。しかし、たくさんのツイートをみるなかでそれぞれを独立として捉えているようなコメントが多いことが気になりました。

PMOは形を無窮に応ず。兵を形すの極みは無形に至る

 いきなりですが、孫子の本で次のようなことが書かれています。

兵を形すの極みは無形に至る。無形なれば、則ち深間も窺うこと能わず、智者も謀ること能わず。形に因りて勝を衆に錯くも、衆は知ること能わず。人皆我が勝つ所以の形を知るも、吾が勝を制する所以の形を知ること莫し。ゆえに其の戦い勝つや復さずして、形を無窮に応ず。

孫子 虚実編

 いろいろ言っていますが、結局は「状況に合わせて勝つ形を作るしか勝たん👊」と言っているわけですね。PMOもこれと同じです。役割や型を限定せず、プロジェクトが勝つために必要な対応を取るのがPMOだと私は思います。つまり、先に提示した3つ種類のPMOは独立してあるのではなく、PMOというものが3つの動き方を内包していると言いたいのです。

 そのため、事務局・管理・参謀という類型はPMOの型というよりも、PMOが実行するタスクの種類として参考するのが良いと考えています。何故ならば、タスクを分類することでタスクへの工数の掛け方や思考プロセスを意識的に変えることができるからです。例えば、事務局的タスクはスピード優先でとりあえず実行、参謀的タスクは丁寧に言語化・論点設定しながらMupへの確認を怠らずに進めるといったやり方です。
 また、成熟度が低いと言われる事務局型のタスクがプロジェクト推進に大きな効果がある場面もあります。例えば、会議設定です。一般的に、プロジェクトのサブテーマが増えたりステークホルダーの数が多くなればなるほどコミュニケーションコストは増加し、会議設定の難易度は高くなります(所謂ブルックスの法則)。そのときに調整役をPMOが担うことで、貴重なメンバーのリソースをプロジェクト側で活用できますね。さらに、管理型的な役割として会議アジェンダの設定や当日のファシリテーションも対応すればプロジェクト推進はより円滑になります。
 もちろん、プロジェクト内の課題やリスクを検知し、分析や対策の具体化および提案を行う参謀的タスクは重要ですし、そこがコンサルへ期待されてる部分だとは思います。ただ、それはあくまで円滑に進めるための一側面でしかありません。必要なのは、プロジェクトメンバーが何に困っていて、何をすると喜ぶのかということを考え、愚直に実行することです。

PMO案件だからどうということはない

 これまでの話の通り、PMO案件だからといって成長機会がないわけではありません。どこにでも成長の種は転がっており、それを見つけて育てるのはあなた自身です。ただ、3つのタスクの種類を意識していないと、PMO案件では力の掛け方を見誤りやすいように思います。そのため、すべてを事務局的に力をかけずに処理してしまい、成長の機会を逃してしまうことは少なくないかもしれません。
 成長の機会を逃さないためにも、作業に入る前にぜひ「今のタスクは何型か?」と自問してみてください。


最後にオマケのおすすめ本

白川克、濵本佳史「システムを作らせる技術」

PMOのみでなく、システム開発全般で参考になる本。分厚くて読むのが大変だが開発に向けた全プロセスを網羅性に把握できることが良い。


島崎晋「眠れなくなるほど面白い 図解 孫子の兵法」

なんか孫子って引用すると格好いいから・・・
Kindle unlimitedの対象なので入ってる人だけにおすすめです。





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