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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #26

親子の対話はなぜ続かないのか
「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション①

 親と子の対話はとても大切ーー分かっていても、実際にはなかなか難しいものです。先日開催したイベント「【それって「もったいない子育て」!? イベント~対話めいたもの~】でもそんな声が出ました(ご参加くださった皆様ありがとうございました!)

 「書く→対話する→書く→……」という新しいサイクル(#20参照)としてイベントを振り返ります。ちなみに今後、この試みを「対話ドキュメンテーション」と命名します(対話を一回性のアート作品のようなものと捉えて、それを文書化して次につなげる試み、という意味を込めて)。

 さて、テーマに戻ります。まず対話には「問いかけ」が必要です。問いには、イエス、ノーで答えるクローズドクエスチョンと、自由回答できるオープンクエスチョンの2種類があります。会話が広がりやすいのは、自由度の高いオープンクエスチョンでしょう。でも、無意識にクローズドクエスチョンを多用してしまって「会話が続かない」と悩むケースは少なくありません。

 「そもそも親自身がオープンクエスチョンで誰かに問いかけられた経験があまりなく、問い方自体を知らない親が多いのかも。選択肢を与えられて『どっちがいい?』と聞かれた経験しかなかったり、質問の仕方自体を教えてもらったことがなかったり。また、子どもに対しても、幼い頃は選択肢を与えて『どっち?』と聞くことから始めるケースが多いので、それが定着してしまって、子どもが大きくなってもクローズドクエスチョンのままの親もいるのかもしれません」と参加者Aさん。

 また、忙しい毎日の中では、「ママ、聞いて聞いて」といった子どもの声に全部答えられない、という悩みも。

 小学生の子どもがいるBさんは、「コーチングの手法などを学んでも、我が子に対しては、実際に応用できないことが多い気がする。家事などに追われたり、家で仕事したりしているとき話しかけられても、子どもになかなか意識を向けられないので難しい。その代わり、我が家では夜寝る前に子どもの背中をもんであげながら、今日はどんな一日だったか、などを聞いています」

 参加者で一致したのは、向かい合って話すよりも、散歩などで横に並んで歩いているときや、同じものを見ているときなどのほうが、対話が広がりやすいという点。成人した子どもがいるというCさんは、こう振り返ります。「反抗期に入ると、食事中などでも親子で面と向かって会話するのはほぼ不可能でした。でも、子どもを助手席に乗せて車で送り迎えするときは、親子とも肩の力が抜けているからなのか、普段出てこないような話を子どもがポロポロしてくれたなあと、今思い出しました」。生活の中のちょっとした時間を「対話の時間」にするのはいいアイデアです。

 一方、親は問いかけているつもりでも、子どもから見ると詰問になっているケースがよくある、という反省も。「気を付けてオープンクエスチョンにしているけど、子どもがぽろっともらした一言が気になって『え、ちょっと待って、それどういうこと?』などとつい言ってしまい、和やかだった流れを一変させてしまうことがある。そういう場合は反射的に質問してしまっています。詰問は『反射』なのかもしれませんね」とDさん。

 ほかの参加者も大きくうなずいた「あるある」のケースです。詰問は、子どもの心を閉ざし、委縮させてしまう。そう分かっていても難しい。やはり、みんな似たような悩みやモヤモヤを抱えています。

 そうした悩みを解決する一案として出てきたのが「インタビュアーのお面」です。

(#27へ続く)




書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)

新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。



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