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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #21

大先輩のアドバイスも
もったいないイベント(習い事)後編

 【それって「もったいない子育て」!? イベント 習い事】の振り返り(前編#20)の続きです。


  参加者の多くがびっくりしたエピソードもありました。1歳半ごろから10個ぐらい習い事をしている子がいた、と。そもそもその年齢でそれほど選択肢があること自体に驚きの声があがりました。さらに「その子はだんだんあまり笑わなくなっていった」という追加情報もあり、考えさせられる一場面も。


 また、参加くださった助産師の吉田敦子さん(NPO 母子フィジカルサポート研究会 代表理事)が、記事(#17 観察は難しいけれども意味がある)を受けて、大先輩ならではの心強いアドバイスもしてくれました。

 「赤ちゃんのときは、本人が気持ちがいいとか、気持ちがよくないとか、『いや』と言ってもいいんだとか、自分がどう感じているのかを大事にしてもらえる環境が大切。それが大きくなって、『これがやりたい』とか『これがやりたくない』とか、記事にも出ていた『自己決定』のよりどころになります。子ども自身が身体的にも精神的にも心地いいのかそうでないか。生まれたときからそれを大事にして育ててあげればいいのではないでしょうか。

 親はいろいろなメソッドを勉強したらいいけれども『これがいい』とか『こうするべきだ』ではなく、『このメソッドは自分の子に合っているのかな』『この子はそのメソッドについてどう思っているのかな』というところにアンテナを張って、記事にあるように子どもを観察しながら育てると、親も育つし、子どもも育つと思います。

 人間は、凸凹しながら発達していくもの。子どもによって得意なこと、不得意なこといろいろあるけれども、人間は一生発達します。うちの子も30年以上経った今振り返って、子どものとき心配だった凹の部分も、ずいぶん発達したなと思います。これからもどんな風に変わるのか楽しみです」

 最終的に、習い事以外の問いにも至り、お互いの発言から生まれる気づきがいくつもありました(また記事のテーマにしていきたいです)。

 もちろん習い事の活用法に正解はありません。でも、親がよかれと思ってやっていることが、子どもの自己決定につながる土台を弱くしてしまうなら、それこそ「もったいない」と言えるのかなと感じました。

 こうした対話の場は、ほかの人の視点がアドバイスになるだけでなく、自分の子育てを客観視できる時間にもなります。「対話」と聞くと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、こういう場が少しずつ増えていけば、自分の内側の声を聞きながら一歩ずつ踏み出せる人が増えて、世の中全体もいい方向に進むのではないかと考えています。

(#22に続く)



書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)

新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。



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