猫ちゃん大好きブログその2「戯曲と上演台本」

先週から始めましたこのブログ、さっそくコメントやメッセージいただき、とてもうれしいです。ありがとうございます!続けます!続けます!

書きます!


今日のタイトル「戯曲と上演台本」


このテーマで書こうと思います。
長年僕を苦しめているワードです。
そしてまさに今僕を苦しめているワードです。
先に書きますが本当に「今苦しんでる」ので、結論とかないです。


まず僕は「戯曲」が書きたいのに「上演台本」しか書けません。
その二つにどのような違いがあるのか。分からない人もいると思います。
というか僕も正直掴みかねているところですのでイメージで書きます。


「戯曲」……古びない。何度上演しても演出家や出演者によって違う顔を見せる。
「上演台本」……古びる。書いた人が演出する。その時その場所でやることに意味がある。再演が困難。たいてい当て書きされていて、別の役者がやることが困難な役が多い。時事ネタとか多い。

こんな感じではないでしょうか。

こう書くと「戯曲」が上で、「上演台本」が下っぽい感じがします。
実際そうなんでしょう。「戯曲賞」はあれど「上演台本賞」はないですから。
で、僕が戯曲を書きたいと思う一番の理由は、上演台本を書き続けている限り、公演を打ちたいと思ったら「新作を書く」しかないからです。
(特にコンプソンズを観たことある人はお分かりかと思いますが、本当に僕の作品は時事ネタが多いです。あとツイッターネタ。2か月後には誰も覚えてない「俺のタイムライン上の面白いネタ」が頻出します)
だから「ちょっと次の公演新作書くの無理……」と思った時に「あれ評判良かったし、あれをちょっとブラッシュアップしてやっちゃおう」と思えるストックというか、財産が欲しいのです。

何度か「再演をしてみよう」と思い引き出しを開けてみても、今じゃ全然面白くないギャグとか、全く使わない言葉がいっぱいで、「これを書き直してたら完全に新作やな……」と途方もない気持ちになり、結果新作を書く、というのを繰り返しています。しかし新作を書き続けるのも「書いては捨て、書いては捨て」の自転車操業をしているようで、たまに空しくなります。

日本の小劇場界だけ見れば、どの劇団もだいたい上演=新作の上演かと思いす。
しかし視野を少し広げれば、劇団四季は「ライオンキング」をずっとやってますし、イギリスには1952年から連続上演しているアガサクリスティの「ねずみとり」という戯曲もあります。(調べたらコロナで中断してましたが、世界最長のロングラン上演だそうです)

一度書いて何度もやっておいしい……上演依頼が来れば何もせずともお小遣いが入る……本当に憧れます。

そこまで思い詰めてて何故戯曲が書けないのか。

やはり僕の場合、書いている時は「今、まさに面白いと思っていること」で進むしかないからかもしれません。そのエネルギー源をセーブすると確実に書くスピードが遅くなる。そうなると台本が遅れる。本番が迫る。ろくなことになりません。
キャストも書く前に決まってますし、そうなると自動的に「その役者さんが言ったら面白いであろうセリフ」を書きたくなるのは当然みたいなところがあります。

蟻地獄です。

しかし……自分には一方で以下のような気持ちもあります。

シェイクスピアだって当時の時事ネタ満載だし、ドストエフスキーも同時代の作家とか流行の思想への批判ばっかりじゃないか。

みたいな。

というかまず長く残るようなものを書くという魂胆が浅ましい。演劇はライブパフォーマンスなんだから!!!その時その場所での意味以外に重要なものなど何もないだろ!!!そもそも戯曲という言葉のブンガク臭が気になる。なんか演劇を文学の1ジャンルの中におさめようとしているような感じがするぜ。

みたいな。

というか俺はいわゆる戯曲書きの劇作家が、
「上演台本ばっかりだから日本の演劇シーンはダメなんだよ。もっとみんな戯曲を書いた方がいい」
みたいなことを言っていたらしい、とまた聞きしたことがあるぜ。
「らしい」の「また聞き」だから真偽不明どころの問題じゃないけど。
なんかどっかの劇評家もそんな感じのこと言ってなかったか?
今以外重要じゃねえんだよ!!!!!今を燃やせ!!!!!!
今年の芥川賞受賞作のタイトル「推し、燃ゆ」だぜ!!!!

みたいな。

ただの反発心でしかないんですが。

しかし、上演台本が下で戯曲が上、とは一概に言えないよな……という思いはどうしても拭えなそうです。
だからか、戯曲を書こうとして、幅広く上演できるようにト書きを長くすると「しゃらくさいことすんじゃねえ」みたいなツッコミが入ってしまいます。当て書きの部分をなるべく抑えると「どうせ後でその人が言いやすいように変えるじゃん」と後ろで誰かが囁きます。

ああ。僕はやはり広く演出家に向けた「戯曲」は書けないのかもしれません。

まー、自分の場合好きな劇作家はいても、好きな演出家っていまいち分からないからな……。
めっちゃ雑な言い方だけど「演出家が腕を鳴らす」系の演目って演劇を観ているというより、その演出家の学会発表に付き合ってるような気分になる時、けっこうあるし……。

しかしそれは自分が演出分からないしあんまり興味がないからかもしれない。(あくまで自分が観客だったら、という話です)だから入ろうと思っても入れない世界がどうしてもある、と諦めて生きていくしかない部分もある……。

まあそういう色んな気持ちと格闘しながら、去年中止になった演目「何を見ても何かを思い出すと思う」を書き直してます。とりあえず今は「末永く残るようなもの」寄りの方向で舵を切ってます。

どうなることやらみたいな感じですが。

頑張ります。
来週も書きます!

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