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最高裁「職種限定者に一方的な配置転換は無効」の判断

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最高裁「職種限定者に一方的な配置転換は無効」の判断

2024年4月26日、最高裁は、職種を限定する労使合意(職種限定合意)がある場合、使用者側が一方的に配転を命じることはできないとの初の判断を示した。

上告人の男性は、2001年から社会福祉協議会が運営する施設で、福祉用具などを改造する技師として約18年間勤務した。男性と同協議会には、職種を福祉用具の製作などを行う技術職に限定するとの合意があったが、協議会は男性の同意を得ることなく、2019年4月1日付で、総務課に配転する人事異動を命令した。協議会は福祉用具の改造業務の受注が減り、業務を廃止する方針だった一方、異動先とした総務課は退職による欠員が生じ、配転命令には男性の解雇を回避する目的があったとしている。


▼Keyword

職種限定合意

労働契約において、労働者が従事する職種(例:営業職、事務職、技術職など)や所属部門を限定する合意のこと。
 
特殊な技術、技能、資格を有する者については、使用者と労働者との間に明示または黙示の職種限定合意があると認められることが多い。労働者を様々な職種・部門に配置し長期的に育成していく、これまでの日本企業で主流とされていた長期雇用システム(メンバーシップ型)ではなく、昨今増加しつつあるとされるジョブ型雇用において用いられる。2024年4月には労働基準法が改正され、労働契約の締結時および有期労働契約の更新時に、就業場所および業務の変更範囲(≒職種の限定範囲)の明示をしなければならなくなった。


※コンテンツは弁護士が監修しています

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