見出し画像

LETTERS~文通からはじまる共同体~

「きっと くるよ。」かえるくんがいいました。
とうとう、かえるくんは、秘密をもらしてしまいました。
「だって、ぼくが きみに てがみ だしたんだもの」
「きみが?」がまくんがいいました。
「てがみに なんて かいたの?」かえるくんがいいました。
「ぼくは こう かいたんだ。『しんあいなる がまがえるくん。ぼくは きみが ぼくの しんゆうであることを うれしく おもっています。きみの しんゆう、かえる』」
「ああ」がまくんが いいました。
「とても いい てがみだ。」

それから ふたりは げんかんにでて
てがみが くるのを まっていました。
ふたりとも とても しあわせな きもちで
そこに すわっていました。

(アーノルド・ノーベル『ふたりはともだち(おてがみ)』より)

かえるくんとがまくんの「おてがみ」、誰しもが小学校の教科書で一度は目に触れたことがあるのではないでしょうか。

がまくんはお手紙を一度ももらったことがない自分に悲しい気持ちになっていた。そんながまくんをみてかえるくんがこっそり手紙を出す。ところが、かたつむりくんに配達をお願いしたもんだから、なかなか届かない。
郵便受けを前にそわそわと待つふたり。

もうちょっと、ひょっとして、今日こそは。

メッセンジャーアプリの対義語としての文通

海外にいたってすぐに連絡がとれてしまう。既読機能でいつ読まれたかもわかる。知らない人からの連絡もfacebookで検索すれば人となりが大体わかってしまう。

とてつもなく便利。これが抜きでは現代の生活は想像できない。なくていいなんて私は口が避けても言えない。

でも便利さと引き換えに、かえるくんとがまくんのおてがみのような、じれったくてあったかくなるような気持ちを感じることは、少なくなってるのかもしれない。

便利じゃなくて、じれったくて、あったかいもの。
対義語として「文通」が浮かんできました。

中学生の時の文通の記憶は、遠く離れた友達と二ヶ月に一回のやりとり。手紙を読み返しながら顔が自然とにやける。ペンを手に取って、書き出しにしばらく思案するけど、書き始めるとおしゃべりが止まらない。二枚三枚と紙が増えていく。deleteやコピペができないかわりに、消しゴムのかすとくしゃくしゃの紙がゴミ箱に溜まっていく。封筒の膨らみに達成感を感じながら、マフラーを巻いて郵便局に急ぐ。

手紙を書いている時間は、その人のためだけの時間。

すぐに会えないからこそ、想像力を張りめぐらせて、言葉を選んで、言葉を紡いだ。書くことを通じて、私の空間と友人の空間がつながっているような気がした。

自分宛てにもらった手紙は、どれも心から嬉しくて、
相手宛てに手紙を書く時間も、同じくらい好きでした。

文通からはじまる共同体をはじめます。

ということで、誰かとお手紙やりたいなあ、という気持ちが高まってしまいました。

さらに、そこからはじまるコミュニティを作ってみたら面白そう、と好奇心が湧いてきたので、文通からはじまる共同体をはじめてみます。

名付けてLETTERS

決めていることはこんな感じ。

・匿名性(ペンネーム)で、だれかと手紙のやりとりをします
・期間は2月下旬〜4月下旬
・レターセットは全部で5通。min2往復してもらえたら、あとは自由
・私たちが手紙の取次ぎするので住所はcompathに伝えればOK
・LETTERSのメンバーは20名くらいかな
・2ヶ月後オンラインで全員顔合わせ。どんな人たちで手紙のやりとりしていたかそこでのお楽しみ。

手紙を書く時間は、パソコンやスマホを切って、ゆったりとした時間を過ごして欲しいなあと思っています。

皆さんの家には、お手紙セットと、手紙時間のお供になるようなキャンドルやコーヒーやお菓子を北海道東川町からお送りします。

(LETTERSセット。内容はイメージです)

どんな人と文通のやりとりをするかは、わたしたちcompathが文通ペアを組み合わせます(郵便屋さん!)。LETTERSセットが届いてみてのお楽しみ。

さて、どんなコミュニティになるでしょうか。

なぜはじめたか?

ちなみにcompathって何者?なぜ始めたの?という方もいらっしゃるかと思います。

私たちはデンマークにあるフォルケホイスコーレに惚れ込んだことがきっかけで、北海道東川町にそれをモデルとした大人の学び舎をつくるための準備中です。

フォルケホイスコーレ。人生の学校・寄り道・何もしない時間がある、いろいろな表現をされます。

コロナで様子をみながらではありますが、学校づくりの実験として6泊7日のショートコースや、ワーケーションしながらのプログラムなど、皆さんに参加してもらいながら「日本の文化・土壌を生かしながらつくる、フォルケをモデルにした大人の学び舎とはなにか?」を問いに試作・実験中です。

先日、わたしたちのプログラムに参加してくださった方と、「compathの時間/空間の価値ってなんだろう?」と、話していました。

「"余白"の時間」
「"複数形の伴走者"ができること」

新型コロナで立ち止まる時間が増えたかと思いきや、オンラインの便利さと速さに、より隙間がなくなったと感じる人もいるのでは。なかなか外に出られず、小さな部屋に世界が狭まってる窮屈さを感じている人もいるのでは。ふらっと雑談する相手がいなくて、心の声が自分の中に滞っている人もいるのではないでしょうか。

本来ならば、ふらっと東川町においでよと、大自然の中で気分転換して、いろんな人たちと雑談してたら気分は晴れるよ、ってめっちゃ言いたい。けど、なかなか世の中がそうは許さない。

せめてもの、"余白"の時間を味わう機会と、
互いに互いを思い合う"複数形の伴走者"と出会う機会を、おうちでお届けできないかなあ。そんな呟きから始まりました。

コーヒーを淹れて、好きな音楽をかけて、机の上は紙とペンだけ。まだ会ったことがない誰かに向けて手紙を書く時間、自分の心にゆっくり耳を傾ける時間にもなるかもしれません。そして、二ヶ月後には、文通から始まる関係性のみなさんと顔合わせ。

そんな時間を一緒に過ごしたい人、初めての実験を一緒に楽しんでくれる人、お待ちしています。

LETTERSの詳細

<スケジュール>
・1月30日(土)〜2月14日(日)    LETTERSメンバー募集
・2月15日(月)〜2月21日(日)    募集結果の連絡
・2月22日(月)〜2月28日(日)    CompathからのLETTERSセットが届く
・届いた日〜4月23日(金)      ペアの人と文通する
・4月24日(土) or 4月25日(日)  オンラインで顔合わせ*
*日程はメンバーが決まったタイミングで調整。          
**
<費用>**
参加費:5,000円(税込)*
*今回は初回のためパイロット価格で設定しています。ぜひ実験にお付き合いください。

参加費内訳//
・LETTERSセット from 東川
東川町からのギフト(コーヒやお菓子のセット)・レターセット・切手・お手紙の書き方のTIPS・ジャーナリングシート・文通相手の情報 etc...
・LETTERSセットの送料
・企画・運営費

<募集人数>
20名

LETTERSへの応募方法

ご興味がある方は、下記のフォームから応募いただけたらと思います。文通のための問いも考えてみました。 
締め切りは、2月14日23:59までです。企画にご参加いただけるかどうかは、2月15日の週にメールにて登録されたメールにて、お知らせします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?