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まなかい;立冬 56候 『地始氷(ちはじめてこおる)』

温泉が恋しい季節に。

「凍る」は、「こる」で「凝る」とも語根が一緒。液状のものが寄り集まって固まるという意味であるという(『古典基礎語辞典』大野晋編)。趣味に凝るとか肩が凝るのも同じ。固まっているのだから、温めて解凍して、ほぐして気を通わさないと、ということで心も身体も凝固してしまったら、温泉に限る。

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まあるい湯船のお湯にたっぷり何回も浸かる。お湯に浸っていると、古代の何か懐かしい感覚が目覚めてくるよう。湯は生き物のようだった。彼らも記憶を持っているに違いない。今湧き出ているお湯は何十億年も前のものだという。

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鳴り止むことのない早川の瀬の音。お湯は長い長い時間をかけて地上に湧き出るけど、川の流れを一晩中聞いていると地球の営みの壮大な巡りに改めて気がつく。多すぎるのも恐怖だけど、途絶えたときのことを想像すると慄然とする。

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緩みっぱなしではきっと締まりがないから、凝るのもほどほどにして、弛緩と緊張、テンションを張るときは張れるように、振れ幅が豊かで多様なように、身を洗っておくと、このお宿のように蝙蝠が、大黒様が、牡丹が、きっと福をもたらしてくれる。

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