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ことのはいけばな

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花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。地軸の傾いた地球に乗って、太陽の周りを一巡り。花を立て言葉を立てて、遊行します。
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2022年1月の記事一覧

ことのはないけはな 霜降 第52候『霜始降』

ことのはないけはな 霜降 第52候『霜始降』

お友達へのブーケ。大きくなった。。。温室は花屋ではないので、時々こうしてご縁ある方からのご依頼を受けて、花を組みます。よいサプライズになったかな。また会える日を楽しみにしています。

冬の朝束ねた花の息をして霜踏むような心地こそすれ

ことのはいけばな 立冬 第57候『金盞香』

ことのはいけばな 立冬 第57候『金盞香』

 「金盞」とはなるほどと思う。昔、中国では、スイセンの花の真ん中にある黄色い部分を黄金の杯(金盞)に、白い花弁を銀台にたとえて、「金盞銀台と呼んでいたそうだ。水仙の副花冠(コロナ)が「金盞」にあたる。

    水仙の金色の盃なみなみと秘める香りのたぷんと揺れて

ことのはいけばな 立冬 第56候『地始凍』

ことのはいけばな 立冬 第56候『地始凍』

猿オガセ幹を伝ってどこまでも静かに枝を大地に返す
地衣類のはたらきなくばこの森のミタマノフユは目覚めぬものを

ことのはいけばな 小雪 第58候『虹蔵不見』

ことのはいけばな 小雪 第58候『虹蔵不見』

 目には見えないが、不意に、たまたま訪れる声なるもの(=音連れ)がある。こうした「ファーストコンタクト」と呼べる現象は名のある宗教家やシャーマンたちばかりではなく、誰にでも確かにあって、不思議な人とか、変わってるとか言われるのであまり表に出さないけど、そういう声に素直になっている方がうまくことが運んだり、心持ちが楽だったりする。そうしたことは竹倉さんのいう通り全く不思議なことでは実はない。声は遍く

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ことのはいけばな 小雪 第59候『朔風払葉』

ことのはいけばな 小雪 第59候『朔風払葉』

小雪となって12月、描くキャラはみんな寝ている。
みんな冬眠の時期なのだろう。北風が払う落ち葉の下で命は守られ春を待つ。

『古代緑地』という絵本シリーズは、ここでしっかり休んでまた始まる予感。

ことのはいけばな 小雪 第60候『橘始黄』

ことのはいけばな 小雪 第60候『橘始黄』

冬の午後 光を搾った 橘も 
  庭より眺む 竜胆の暮れ

色抜けて 茎枝あかく 冬の花
  低い黄道 子守唄聴き

ことのはいけばな 大雪 第61候『閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)』

ことのはいけばな 大雪 第61候『閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)』

『礼記』の月令には「天気上騰シ、地気下降、天地不通、閉塞シテ冬ヲ成ス」と記され、天の気は空に上がり、地の気は地中に閉蔵され、天と地が分かれ、通じ合わなくなって冬になるという意味です。春から秋まで行われていた天地の交流が終わり、お休み期間に入るような感じです。
花の稽古は神社の杜の剪定枝も使っての冬至飾りを作った。

  そらをみつ 山の麓の虚空蔵 ガランガランと 眼玉の揺れる

  ひっそりと 虚

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ことのはいけばな 大雪 第63候『鱖魚群』

ことのはいけばな 大雪 第63候『鱖魚群』

植物に埋め込まれているcodeを読みながら、音楽のように音色が流れ、巻物が開かれていくように物語が聞こえたら、生命はそのようにきっと一緒に世界で踊っているとしたら、滅びて生まれて滅びて生まれて輪廻の物語。冬至を前に月も満ちてきて、星々が語る神話の断片にどうにか触れたくて、こうして虚実被膜の世界を立ち上げているのかもしれない。

  
  
  さかのぼる 銀色の矢の ひるがえり 月の白瀬に 沸きか

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ことのはいけばな 大雪 第62候『熊蟄穴』

ことのはいけばな 大雪 第62候『熊蟄穴』

睡眠の計画
空間の眠り

*冷え屈む コンクリートの 角質層 打ち寄せ削る 音の波かも
*頑なに 屈む体を 突き崩し 現れ消ゆる 花の景色か
*レクイエム 夜の帳の 白シーツ かすかな音に 漏れる幻燈
*レクイエム 地層かさなる 音曲の さらさら砂の こぼれて寄せる
*まぼろしの まばゆさばかり まなかいに 消え失せてまた 真砂のように

*ぼんやりと 揺蕩うのには 冷たすぎ あっちの壁に こっち

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