コミュニティマーケティングにおいて必要なのはファーストピン?〜 #CMC_Meetup で学んだこと〜
こんにちは!コミュニっティのnagata(@SsfRn)です。
昨日、また熱いイベントに行ってまいりました。勝手に尊敬している小島さん(@hide69oz)が主催するCMC Meetup(Community Marketing Community)です。
前々から行きたいと思っていたこのイベント。今回は「ファーストピンの見つけ方、育て方」というテーマです。小島さんの話はもちろんのこと、実際にコミュニティマネージャーとして、実践している方のリアルな声も聞くことができて、とても充実したイベントでした。
このイベントでは、#CMC_Meetup というハッシュタグを用いて、トレンド1位をゲットした模様です!さすがコミュニティマネージャーの集まりですね。情報発信が積極的でした。イベントハッシュタグについては、先日書いた記事をご参照いただければ、、!(交流イベントでのハッシュタグ戦略について)
もちろん、今回もイベントレポートになります。また、今回は前後編の2部構成でお届けします。今回は前編。コミュニティマネージャーにとっては有益な情報たっぷりですので、前後編どちらもぜひ最後までご覧いただければと思います。
それでは、どうぞ。
※先にこちらの漫画を読んでおくと、理解しやすいかと思います!
CMC Meetupとは
今回参加したCMC Meetupとは、コミュニティマーケティングの可能性について、情報を発信、共有、流通していくコミュニティイベントです。今回は第8回目の開催となり、Facebookグループページには1,000人近くのコミュニティマネージャー、もしくはそれに興味がある方が集まっています。
なお、このコミュニティの中心には小島英揮さんという、元AWSにてJAWS-UGのコミュニティマーケティングを実践し、成功へ導いた、コミュニティマーケティングの先駆者の方がいます。
今回はこの小島さんの話を聞くことを目的に、参加して来ました。それでは、イベント内容を見ていきましょう。
コミュニティマーケティングのポジション
はじめのセッションは、主催者である小島さんのお話から。小島さんが考えるコミュニティマーケティングについてです。
小島さん「本日はファーストピンの見つけ方、育て方がテーマです。このコミュニティマーケティングはここ3年ぐらいで、皆さんの耳に届いた単語ではないでしょうか?」
コミュニティマーケティングという概念は、比較的新しいとのこと。しかし、根本的な考え方は昔からあって、再びスポットライトが当たったというイメージだと思います。
小島さん「コミュニティっていうと、コミュニティマネジメントと、コミュニティマーケティングの2つがありますが、これがごっちゃになっていることがあるかと思います。コミュニティマネジメントは、あるコミュニティを維持したりとか、大事にしたりしますよという方にベクトルが向いています。私が、考えているコミュニティマーケティングは、基本的にマーケティングの一つなんですよね。これはどちらが良いか悪いかではないです。どちらも凄い大事です。私も色々コミュニティに属しているんですが、そこではコミュニティマネジメント的な視点です。ただ、今日は、皆さん来ているのは、マーケティングの1つの手法として、コミュニティを使いたいと思っている方が多いかと思います。マーケティングの活動1つだということを、頭に入れておくと良いんじゃないかなと思います。」
まずは、コミュニティマネジメントとコミュニティマーケティングの違いから説明した小島さん。どちらも必要ですが、今どちらの施策をとっているのか?それは常に意識したいところです。
小島さん「コミュニティマーケティングを効果的に実施する一つの考え方として”ファーストピン”があります。ボーリングでストライク出す時って、一番ピンにちゃんと当たれば10本全て倒れるんですよね。コミュニティそのものが一番ピンになれば、マーケット全体を倒すことができるというのが、この考え方です。となれば、一番ピンをどうやって見つけて、どうやって育てるか?が非常に大事なんじゃないかなと思っています。なので、本日はこのファーストピンの見つけ方、育て方を話していこうと思います。」
ファーストピンという概念について説明する小島さん。これ非常にわかりやすい例えです。
小島さん「コミュニティマーケティングは今非常に注目されていますが、その背景として、実績ができたりしましたが、結局はマスマーケンティングの限界なんですよね。つまり、広告というのは、基本的にリーチするという考え方なんですよ。だから、様々な人にリーチするために、お金を積めばできると。だけど、私から見ると、ファーストピンを一本一本倒そうとしている。なかなか当たらなくてガーターになっちゃうような感じです。なので、たくさんのマーケットにリーチしようとしたら、とにかく球を持ってこいという風になります。これがマーケティング予算という形で、表れるわけです。この1番ピンが”コミュニティ”というのが、いちばん大事なところになります。」
コミュニティマーケティングで必要な3+3のこと
小島さん「ビジネスの視点で見たときに、コミュニティっていいことが2つあります。一つはですね、コミュニティそのものがコンテンツを作ってくれるんですよね。今のマスマーケティングだと、リーチ方法は広告でありますと。でも、メッセージや軸はまた別でつくらないといけない。コミュニティ運営を経験したことがある人はわかると思うんですが、響かないんですよね、、意外と。結局購買に繋がらないということがよくあります。一方、知り合いから化粧品を勧められたりとか、あそこのジムいいよ!と誘われたとか、無条件で”買ってみようかな”と、購買の対象になるんですよね。つまり、同じような人に勧められるというのは、すごい響きます。かつですね、その製品が好きだと、同じジャンルの人に自らオススメするんですよ。コンテンツを作ってくれる上に、お客さまに話すべく人を見つけ出し、場合よってはオフラインで、場合によってはオンラインで、確実に届けてくれるんですよ。」
小島さん「オフラインの場でMeet upをされるのはですね、非常に情報の流れを作るのにいいです(オフラインファースト)。実際に見聞きしたものって情報として大きくなるんですよね。本日は同じ興味で集まっています。なので、会話が成り立ちます(コンテキストファースト)。そしてSNSでアウトプットする(アウトプットファースト)。この3つが揃わないといけません。さらに、もう一つ大事なことがあってですね、プラスでこの3つが大切です。まずはこれいいよ!と言ってくれるファンの方。ファンがいないコンテンツでは、コミュニティマーケティングできないんですね。だって、(製品が)いいと言ってくれる人がいないんですから。まずファンが必要です。次にセンターというのが、ブランド側の人のことで、コミュニティの動きに対して、やり取りができるセンターポジションとなる人がいないと、勝手になかなかコミュニティは回らない。そして、期待値コントロール。これは両方あります。コミュニティに対する期待値コントロールと、会社に対しての期待値コントロールがあるのですが、どれぐらいの効果があるのか?と期待値コントロールしておかないと、無理な目標ができて苦しむことになります。ちなみに、ファンという話をしたときに、”それはインフルエンサーですか?”と聞かれる方がいます。インフルエンサーは、コミュニティマーケティングの考え方だと、あまり良い人たちではありません。メディアと同じなんです。お金を積んだら発信してくれますんで、facebook広告と全く同じです。それよりも大切なのは、”俺はこんなにもこれが好きなんだ!”と言ってくれる、熱量のあるファンなんですね。ファンとインフルエンサーがあったら、迷うことなくファンを選んで、その人をインフルエンサーにしていく方がいいと思います。イメージ的には、ファンの中から、一番ピンを見つけようということです。」
このそれぞれの3つの重要なポイントは、とても基礎的な考えなのですが、土台とも言えるところなので、確実に掴んでおくことが必要だと思います。ここから、ファーストピンの見つけ方について、話が進んでいきます。
ファーストピンはどんな人たち?
小島さん「ここまでは、なぜファーストピンが重要かという話をしてきましたが、ここから見つけるという話に入っていきたいと思います。では、皆さんの扱う製品や考え方にはファンがいますか?ということを考えてみてください。もし、いないのであれば、コミュニティマーケティングの前にやることがたくさんあります。だって使ってくれていないんですよね。もしくは良いと言ってくれていないんですよね。これではコミュニティマーケティングに行く前に、改善しなくてはいけないことがたくさんあるんですよ。」
そもそもスタートラインに立てているのか?これはまず確認しないといいけません。ベースとなるファンがいるのか?まずはそこの確認です。
小島さん「ここは突破していて、良いと言ってくれるファンがいると。この中からファーストピンを見つけていくわけなんですが、ファーストピンってどんな人?と言うとですね、お客さまとか、この3つにわけられるのではないかなと思います。ロールモデル、フォロワー、ワナビーズです。ワナビーズは要求するけどアウトプットしない人たちですね。でも、このワナビーズはコミュニティマーケティングにおいて、必要な人たちです。この人たちがいないと、増えないんですよね。ワナビーズで入っていた人たちがファロワーになって、いつかロールモデルとなる、こういうサイクルを作っていくことでこの三角形が大きくなります。ただ、上がないと、この三角形は大きくならないです。ワナビーズだけを1,000人、2,000人集めてもそれって熱量のあるコミュニティにはなりません。感覚的にはなりますが、ロールモデルとフォロワーを合わせて2割。あまり情報発信しない方が8割ほど。皆さんがイベントやってもだいたいこうなると思います。でもこれでいいんです。その2割の人が一番ピンになるということです。ちょっと言い換えるとこういうことです。ロールモデルというのは、皆さんにとってのファンであり、そして”これいいよね”と外にアウトプットする人たちのことを言います。心を秘めている人たちは、まだロールモデルじゃありません。ファンであれば、全員ロールモデルか?といえば違っていて、ファンでかつ周りに伝えてくれる人たちです。フォロワーの人たちはですね、それに影響されやすい人ということになります。”これいいよ”と言えば、”そうだよね!俺もやりたいと思ってた!”という反応をするということです。ロールモデルの一言で、一歩踏み出せる人たち、これがフォロワーです。この組み合わせは非常に大事です。ロールモデルが”いいよいいよ”と言っていても、伝える相手がいなかったら、これ1人で喋っていることになっちゃうんですね。喋っているのに対して反応する人がいて、初めてロールモデルがリーダーとなれるんです。なので、ロールモデルだけを集めてもダメで、反応してくれるフォロワーの人も集めないと、この拡散のスピードが起きないということになります。一回この拡散のスピードが起きるようになったら、ワナビーズの人を混ぜても大丈夫。この前に混ぜてしまうと、”くれくれ”という要求に対し、火が小さすぎて消えてしまうんですよね。火がつくまでは、ロールモデルとフォロワーでクローズドなイベントをやった方がいいです。これが育て方ということなんでよね。」
ファーストピンの育て方
小島さん「今私が携わっているコミュニティの一つ、”Stripes”があります。このコミュニティが開始してからまだ1年経っていないんですね。はじめのMeet upに来てくれた人は全員リアルなユーザーで、私が熱量の高さを直接会って確かめた人だけを集めました。さっきので言うと、ロールモデルもしくはフォロワーと、私が思った人たちだけで集めてスタートしました。その後、どうなったか?東京から始まって、京都、神戸、大阪、広島、福岡、松山に広がりました。この4月には秋田、あと札幌でも開催されることが決まっております。この7都市で16ミートアップをやっているということなんですけども、見ていただきたいのは、参加者数が400人に対して、その内の60名近くがスピーカーになっているんです。これ結構大事です。僕が気にしているのは、参加者数ではなく、参加者数に対するアウトプットの数なんです。これが高いと非常に熱量が高い、外向きに開かれたコミュニティだということになります。毎回ブランド側がスピーカーをやるのは、これはダメなんです。お客様が”こんな使い方があるよ!””そうなの?”とどんどん情報を外に出ていかないとダメだということです。」
アウトプットの数が大切となると、いかにSNSで情報が発信されるかが大切だということですね。熱量の高さは、SNS投稿数で測ることができそうです。短期的なKPIをここに置くのは、一つの手かもしれません。
小島さん「各地でスタートする前に、ちゃんとやらないといけないのが、誰がファーストピンなのかということを、見極めること。現地に行って探すんです。どんな形でやっているかというと、簡単に書くとこんな感じです。まず、ファンの中からファーストピンとなる人を探さないといけない。発掘をしないといけません。そして選定をします。私の場合は、会うことが大体多いですね。会ってみて”すごいこのサービスいですよね。これをもっとみんなに伝えたいんですよ”という人を見つけられるかどうか。この時に、他にファンの人がいますか?と聞くようにしています。そうすると紹介してくれるんです。紹介の紹介という形で、どんどんファーストピンのリーチをするわけです。なので、コミュニティを作る前に会う場が必要です。だから、”お客さんがいるから第一回目のMeet upやりましょう!”とやる必要はなくて。個別に会いに行ったりとか、お客様だけの集いみたいなクローズドなMeet upをやって、”探す”をやられた方がいいと思います。そこで、あるフラグで”いけそうだ”と思ったら、その人たちと一緒にコミュニティを立ち上げるという流れになります。」
ファーストピンの育て方。必ずしも、即アクションというわけではなく、しっかりとした準備が必要ということですね。個人的にこれは胆に命じておきたいことです。。
小島さん「必ずですね、一定の確率で間違えます。すごいやってくれそうだと思ったんだけど、そうでもないということは多いです。それは、この人たちが悪いのではなくて、目利きが悪いんです。もっと言うと、そんな完全なセンサーってないんですよね。もし条件が変われば、もしかしたらアウトプット側に回ってくれるかもしれない。ただ、簡単にそうはいかない。なので、ある程度進んで難しければまた戻って、また新たなにファーストピン候補を補充するということをやった方がいいです。そうすることで、ファーストピンが増えていきます。あと、ファーストピンを選ぶときに”ファーストピンは何人ぐらい選べばいいですか?”という質問をされるんですけども、”少なくとも1人ではダメです”ということは言えます。複数いないと、その人に寄りかかりすぎちゃうんです。その人が、本当はやりたいんだけれども、仕事忙しくてできなかったら回らないわけです。それだけでなく、自分だけじゃなくて皆んなもいいって言ってるよね?と確認する上でも、ファーストピンは複数の人が必要です。だから、僕は大体3人ぐらいで始めます。地方でコミュニティ始める時は、3人見つけるまではなかなかスタートできないですね。そして、アウトプットしてもらって、それが評価されるとか広がっていくみたいなことをちゃんと気付いていただけるようになると、自走するようになる。自分ゴトになるんですよね。Amazonのためにやっていることが、自分のためになるんです。そうすると、これが自走するということなんですね。」
パートナー会との違いは?
小島さん「ということで、何をしてやっているのかというと、とにかくアウトプットをしていただくということですね。一生懸命ファシリテートするようにするわけですね(ブランド側)。これが自分ゴトになって、その人がファーストピンになるという非常に良い流れになると思います。ここまで話をすると、外向けに情報発信することが、コミュニティを大きくするのに大事ということがわかるかと思うのですが、世の中見ると、ユーザー会やパートナー会がたくさんあります。こことの決定的な違いは、ユーザー会は大体相手は決まっているんです。既存のお客様、既存のパートナーで、その中で情報共有する。なので、外に向かって(情報が)出ていかないんですよね。なので、ファーストピンにならないんですよ。外向けに情報が出るようにしなくてはいけない。エンゲージメントを高めるだけであればいいのかもしれませんが、お客様がお客様を連れてくる仕組みを作りたいのであれば、ファーストピンを見つけしっかり育成することがとても大切なんじゃないかなと思います。」
最後に
以上が、小島さんのお話でした。
話している内容は、さとなおさんのファンベースや、高橋さんの熱狂顧客戦略と通じるところが多々あって、”この共通点がとても本質的なことなのではないかな”と感じました。後日、ここについてまとめてみようと思います。
ただ、小島さんはアクションできるように細かな情報を提示しているのが、印象的でした。やるべきこと、やってはいけないこと、これらが明確でこの日、具体的なアクションが見えた人が多いのではないかなと。
改めてコミュニティの面白さを知った小島さんのトークセッション。コミュニティを活用した活動する方は、ぜひ直接お話を聞いてみて欲しいです。
では、イベントの残り箇所は後編に託します!
それではー!
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