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「N高『通信制への偏見打ち破る』 ドワンゴ川上顧問」に注目!

N高「通信制への偏見打ち破る」 ドワンゴ川上量生顧問 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

KADOKAWAとドワンゴが共同で設立したN高等学校(沖縄県うるま市)は、IT(情報技術)を活用した学習方法や独自のマーケティング策で成長してきました。ドワンゴの川上量生顧問と、立ち上げから事業に携わるN高の奥平博一校長に、設立の背景や今後の戦略について聞いたインタビュー記事です。

まずはドワンゴ川上量生顧問です。N高の設立のきっかけは奥平校長からの打診だったことについて「正直、最初はやるつもりはなかった。でも話を聞いているうちに、通信制高校に通っている子どもたちがそれを人になかなか言えないことや、自宅ではニコニコ動画を見て、KADOKAWAのライトノベルを読んでいることを知って。僕たちなら本当に子どもたちが行きたいと思える学校を作れるかもしれないと思い、挑戦することにした」とのことです。

どんな学校にしたいかについては「通信制高校に対する偏見をどう打ち破るかを考えた。1つは進学実績を出すこと。学生の能力が上がる学校にしなければいけない。あとはITを使いこなす学校にすること、校則を作らないこと。皆が理想とする『こんな学校があったらいいけれど、今はない』という学校をどれだけ目指せるかがポイントだった」そうです。

N高の立ち上げでこだわったことは何かについては、「とにかく本気でやる。民間企業がもうけ主義でやっていると思われないよう、どう考えても採算が合わないようなことをたくさんやった。特にこだわったのは職業体験などのコンテンツを自分たちで作ることだ。業者が持ってきた企画を採用するのではなく、一から自分たちで作り上げて質を高めていった」とのことです。

ドワンゴだったからこそ実現できたことはあるかについては「ニコニコ動画もそうだが、ドワンゴは採算よりも、ユーザーのことを考える人が多くて。そこが教育と親和性の高い部分だった」「ユーザーと対等な関係を築くというドワンゴの文化も生きた。N高では途中から(生徒がメンターを)『先生』と呼ぶのをやめ、『さん』付けで呼び合うようにした。教育業界ではありえないことだが、対等な関係作りを徹底した。職員が生徒に対して、子どもに語りかけるような『幼稚語』で話すのも禁止した。これはニコ動などのネットサービスでもやってきたことだ」とのことです。

10年後のN高はどうなっているかについて「10年以内くらいに『偏差値50以下の高校に行くならN高に行く方がいい』となる現象を起こせるといいなと。そのためにはやはり進学実績を上げることが必要不可欠だ。例えば東大の合格者数が2桁になるとか、海外大の合格者数が日本一になるとか。2023年度の海外大の合格者数はすでに全国で2番目になった。そうなってくるとN高の見方はまた変わってくる」とコメントしました。

続いて、N高等学校奥平博一校長です。N高を設立したきっかけについて「通信制高校のイメージを変える新たな学校をつくろうと考えたとき、既存の学校の教育者だけでは難しいと感じていた。(N高の母体となった)ドワンゴは教育のイメージからは少し遠かったが、実はニコニコ動画も通信制高校も『通信』という意味では共通している。当時、通信制高校は紙でやりとりする世界だったが、ニコ動はオンラインですぐコメントのやり取りができる。教育もこうなったら面白いのではないかと思った」そうです。

とはいえドワンゴは教育には知見のない企業との意見について「教育の世界には『学校とはこういうもの』という考えが残っている。自分自身もそうで、最初は企画が出てきても『学校でこんなことをやっていいのか』という思いが、ある種の葛藤も含めてあった。でもドワンゴ側からは、こういうことをやった方が若い人にリーチできるという案がたくさん出てきた」「固定的な『学校とは』という考えがない人の方が新しいことを受け入れやすい。そのため教員免許を持つ先生の採用も、一定の段階で新卒など若い先生中心に切り替えた。今となってはそこも良かったと思う」とのことです。

2019年には「N中等部」も開校しました。このことについて「きっかけはN高の説明会に小学生が来るようになったことだ。潜在的なニーズは絶対にあると思った。中等部は法律的にはフリースクールにあたる。在籍する中学に籍を置きながら、教育委員会や学校と連携して、出席を認定する」「N中等部の考え方は基本的にはN高と同じ。通っている生徒の中には大学の数学をやっている生徒もいて、これは普通の中学ではできない。私も現役の教師だった頃には、テスト後に『英語は良かったけど数学はもう少し頑張らないと』と生徒に声をかけていた。でも世の中で活躍するには、得意な英語を徹底して伸ばした方が役に立つこともある。中等部はそういう意味でも、一点突破の生徒が多い」そうです。

最近は他の通信制や全日制の高校でも、N高のような仕組みを取り入れる学校が増えています。学校全体が変わってきているのかについては「現状ではなんとも言えないが、そうなればうれしい。私たちがいいと思うものが他の学校にも使われるようになればそれはいいこと。そうなれば私たちはもっと上を目指すことになる。それが本来の切磋琢磨だ」とコメントしています。

角川ドワンゴ学園が運営する「N/S高」が教育業界での存在感を高めています。通信制高校としてオンラインでの学びなどが受け、2校合計の在籍生徒数は2024年3月末時点で28,403人と3万人が目前に迫ります。海外大の合格者数は全国2位に。少子化の中でも生徒数を伸ばし続ける「ネットの学校」です。

授業はバンダイナムコエンターテインメント(東京・港)が発売予定のゲームを題材にした衣装のデザイン等ができるN高の通学コースの生徒を対象にした課題解決型の学習プログラム「プロジェクトN」です。企業や公的機関などが向き合う課題の解決をめざし、思考力や表現力、IT(情報技術)スキルなどを身につけることができます。

また、N高が人気を高めた背景には「ニコ動」流のノウハウがあり、学生が自ら「通いたい」と思える学校をめざしたとのことです。

ネットの高校をうたうN高は一見するとインターネット広告と相性が良さそうですが、力を入れたのはテレビCMでした。子どもがN高に通いたいというときに「知ってるよ、CMの学校だよね」といった一言が周囲から出てくれば、保護者の理解を得やすくなるような、テレビCMとリアルの場を掛け合わせた広告はニコ動の戦略そのものです。

様々な取り組みを行っている角川ドワンゴ学園から多彩な人財が育っていくこに期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。