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「ホンダ、米国で燃料電池車の生産開始 3年ぶり再参入」に注目!

ホンダ、米国で燃料電池車の生産開始 3年ぶり再参入 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ホンダは5日、米国で燃料電池車(FCV)の生産を始めたと発表しました。米国で乗用車のFCVを量産するのは自動車メーカーで初めてとなります。走行時に二酸化炭素(CO2)を出さない水素燃料を使い、自宅などで充電ができる新しいタイプのFCVで、米国のほか、日本にも輸出して2024年中に発売します。

米オハイオ州メアリズビルにある工場内の施設で同日、生産開始に合わせて現地メディアに車両を公開しました。ホンダは2021年まで日本でFCVを生産していましたが、撤退していました。約3年ぶりの再参入で、米国での現地生産は初めてとなります。

生産するのは多目的スポーツ車(SUV)タイプの新型FCV「CR-V e:FCEV」。まず年内に米国と日本で発売します。現時点で販売台数や価格は明らかにしていません。日本ではトヨタ自動車のFCV「ミライ」などの価格が約800万円で、同程度の水準が目安となります。

水素は約3分で充てんでき、航続距離は約600キロメートル。自宅や電気自動車(EV)向けの充電ステーションで充電できる「プラグイン機能」も備えたのが特徴です。水素ステーションがない地域でも、電池だけで最大約60キロメートル走行できます。

中核部品の燃料電池システムは、米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同出資する米ミシガン州の工場で生産します。ホンダが従来自前で開発していたFCVの電池に比べて耐久性を2倍にし、コストを3分の1に抑えました。従来モデルは車両も専用開発していましたが、新型は北米で生産している既存のSUVを活用し、設計などの費用も減らしました。

FCVを生産する施設では2021年まで、ホンダの海外向け高級ブランド「アキュラ」のハイブリッド車(HV)スーパーカー「NSX」を生産していました。NSXの生産終了に伴い、設備を全面的に改修し、NSXの技術者もプロジェクトに加わりました。

現在、米国で乗用車のFCVを電池から一貫生産しているメーカーはありません。水素ステーションもカリフォルニア州を除き、整備が進んでいないのが現状です。

米バイデン政権が2022年8月に成立した北米産のEVなどに税額控除を行う「インフレ抑制法(IRA)」ではFCVも対象車両に含まれています。ホンダの生産する新型FCVは今後、税額控除の対象となる可能性があります。

ホンダは2040年に世界で販売するすべての新車をEVやFCVなど「ゼロエミッション車」にする方針を掲げます。2030年度までにEVやソフトウエアに10兆円を投資する計画です。カナダでは110億ドル(約1兆7000億円)を投じてEVを現地生産し、部材など供給網も現地で構築します。

北米では今後、EV投資も続ける一方、FCVは乗用車に加え、GMと共同開発する燃料電池システムをトラックなどにも搭載し、ラインアップ拡大を見込みます。

ホンダの新型FCV「CR-V e:FCEV」。水素×電気の二つのエネルギーを兼ね備えており、水素を充填して走るFCVに加えて、AC充電機能でEVのように充電することでも走ることが可能です。水素ステーションのようなインフラが整っていない地域でも航続距離は短いですが乗ることが可能になっているのが特徴だと思いました。

ホンダは水素と燃料電池を組み合わせて再生可能エネルギーを安定利用することにも取り組んでおり、供給が不安定な再生可能エネルギーを安定化させるために、エネルギー密度が高くエネルギー変換が容易な水素を使い調整。そして燃料電池を使ってCO2を排出することなく水素から電気(と水)を取り出すことで安定利用するイメージを描いています。

今回のFCVを含めた燃料電池の多用途展開でカーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組むホンダに今後も期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。