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【基本情報技術者試験(6)】問題演習:令和5年春期 (1~20問)
はじめに
こんにちは、今日は前回の「応用情報技術者試験」に続いて、「基本情報技術者試験」の令和5年春期の問題(1~20問)について練習します。
問題演習(1~10問)
問1
0以上255以下の整数nに対して,
![](https://assets.st-note.com/img/1699935605110-tBuNiQ4UgX.png)
と定義する。next(n)と等しい式はどれか。ここで,x AND y 及び x OR y は,それぞれxとyを2進数表現にして,桁ごとの論理積及び論理和をとったものとする。
(n+1) AND 255
ビットマスクの255を2進数で表すと「11111111」で、このビット列との論理積(AND)は(n+1)の下位8ビットだけを取り出すように作用します。引数が255の場合には、最上位ビットの演算結果が0になるので関数は0を返します。
問2
平均が60,標準偏差が10の正規分布を表すグラフはどれか。
正規分布は、平均値を中心に左右対称の山のようなカーブを描く確率分布で、平均と標準偏差だけで分布に関する全ての特性が規定できるという特徴があります。
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標準偏差は、データの分布のばらつきを表す尺度で、正規分布では平均値と標準偏差(σ[シグマ])、および度数の間に次の関係が成り立っています。
平均±σの範囲に全体の約68%が含まれる
平均±2σの範囲に全体の約95%が含まれる
平均±3σの範囲に全体の約99%が含まれる
問3
AIにおける機械学習で,2クラス分類モデルの評価方法として用いられるROC曲線の説明として,適切なものはどれか。
真陽性率と偽陽性率の関係を示す曲線である。
ROC曲線は、縦軸に真陽性率、横軸に偽陽性率にとったグラフ上で、陽性・陰性の判断基準となるしきい値を動かしながら、各点での真陽性率と偽陽性率を打点していくことで描かれる曲線です。真陽性率と偽陽性率はトレードオフの関係にありますが、高い真陽性率を維持しつつ、偽陽性率をどれだけ抑えたモデルとなっているかを可視化することができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1699935933497-0MjsoJZIDa.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1699936176500-d8xRFb2hxD.png?width=800)
問4
ドップラー効果を応用したセンサーで測定できるものはどれか。
血流量
ドップラー効果は、波動の発信源や受信源が動いている場合に、その波長が本来のものより伸長されたり、収縮されたりする物理的効果です。ドップラー効果の代表的な例として、救急車のサイレンがよく挙げられます。
問5
要求に応じて可変量のメモリを割り当てるメモリ管理方式がある。要求量以上の大きさをもつ空き領域のうちで最小のものを割り当てる最適適合(best-fit)アルゴリズムを用いる場合,空き領域を管理するためのデータ構造として,メモリ割当て時の平均処理時間が最も短いものはどれか。
空き領域の大きさをキーとする2分探索木
空き領域の大きさがキーになっていれば、探索範囲を2分の1に絞ることを繰り返して、効率よく目的の空き領域を探索することができます。N個の領域から探索する場合の平均探索回数は log2N 回です。
問6
従業員番号と氏名の対がn件格納されている表に線形探索法を用いて,与えられた従業員番号から氏名を検索する。この処理における平均比較回数を求める式はどれか。ここで,検索する従業員番号はランダムに出現し,探索は常に表の先頭から行う。また,与えられた従業員番号がこの表に存在しない確率をaとする。
データ数がnの線形リストを先頭から探索する場合、最小探索回数は1回、最大探索回数はn回なので、目的のデータがある場合の平均探索回数はn+12回です。一方、目的のデータが存在しない場合は、リストの最後まで検索することになるので探索回数は常にn回となります。
データが存在しない確率がaなので、データが存在する確率は(1-a)です。したがって、設問の探索処理における平均探索回数は、以下の2つを足し合わせた式で表すことができます。
対象がリストに存在する場合の平均探索回数×対象が存在する確率
(n+1)(1-a)/2
対象がリストに存在しない場合の探索回数×対象が存在しない確率
n×a
つまり、
平均比較回数=(n+1)(1-a)/2+n×a
となり、この数式を整えると、(n+1)(1-a)/2+na になります。
問8
動作周波数1.25GHzのシングルコアCPUが1秒間に10億回の命令を実行するとき,このCPUの平均CPI(Cycles Per Instruction)として,適切なものはどれか。
CPI(Cycles Per Instruction)は、CPUが1つの命令を実行するのに必要となる平均クロック数を表します。たとえば、100HzのCPUで1秒間に100回の命令を実行したのなら、CPIは1ということになります。
動作周波数1.25GHzのCPUでは、1秒間に1.25GHz=1.25×109回のクロックが発生します。1秒間に10億回の命令が実行することができるので、1命令当たりに使われるクロック数の平均は、
1.25×109回÷(1×109)=1.25
問9
全ての命令が5ステージで完了するように設計された,パイプライン制御のCPUがある。20命令を実行するには何サイクル必要となるか。ここで,全ての命令は途中で停止することなく実行でき,パイプラインの各ステージは1サイクルで動作を完了するものとする。
パイプライン制御は、CPUが実行する命令を、命令読出し(フェッチ)、解読(デコード)、アドレス計算、オペランド呼出し、実行 というような複数のステージに分け、各ステージを少しずつずらしつつ独立した処理機構で並列に実行することで、処理時間全体を短縮させるCPUの高速化技法です。
本問では5サイクルとあるので、1命令が5つのステージに分割されているとわかります。下図のようにそれぞれのサイクルは並列実行されるため、20命令を実行するのに必要なサイクル数は24サイクルとなります。
問10
キャッシュメモリへの書込み動作には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。それぞれの特徴のうち,適切なものはどれか。
ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,主記憶の内容は常にキャッシュメモリの内容と一致する。
ライトスルー方式ではキャッシュメモリと主記憶の間で常にデータが一致しています。
問題演習(11~20問)
問11
フラッシュメモリにおけるウェアレベリングの説明として,適切なものはどれか。
各ブロックの書込み回数がなるべく均等になるように,物理的な書込み位置を選択する。
問12
有機ELディスプレイの説明として,適切なものはどれか。
電圧をかけて発光素子を発光させて表示する。
問13
スケールインの説明として,適切なものはどれか。
想定されるシステムの処理量に対して,サーバの台数が過剰なとき,サーバの台数を減らすこと
問14
CPUと磁気ディスク装置で構成されるシステムで,表に示すジョブA,Bを実行する。この二つのジョブが実行を終了するまでのCPUの使用率と磁気ディスク装置の使用率との組み合わせのうち,適切なものはどれか。ここで,ジョブA,Bはシステムの動作開始時点ではいずれも実行可能状態にあり,A,Bの順で実行される。CPU及び磁気ディスク装置は,ともに一つの要求だけを発生順に処理する。ジョブA,Bとも,CPUの処理を終了した後,磁気ディスク装置の処理を実行する。
![](https://assets.st-note.com/img/1699937074865-RHWND9PtV9.png)
各1つのCPUと磁気ディスク装置を使い、ジョブA→Bの順で処理をすると、CPUと磁気ディスクの使用状況は下の図で示すようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1699937142079-0u464CYV9c.png)
CPUの使用率 15秒÷25秒=0.60
磁気ディスク装置の使用率 17秒÷25秒=0.68
問15
コンピュータシステムの信頼性を高める技術に関する記述として,適切なものはどれか。
フォールトトレランスは、システムの構成部品を多重化し、システムの一部に障害が発生しても全体としては停止することなく稼働を続け、その間に復旧を図るようにシステムを設計する技術です。
問16
3台の装置X~Zを接続したシステムA,Bの稼働率に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,3台の装置の稼働率は,いずれも0より大きく1より小さいものとし,並列に接続されている部分は,どちらか一方が稼働していればよいものとする。
![](https://assets.st-note.com/img/1699937307735-mke9SEozCj.png)
常にBの稼働率はAより高い。
【システムA】
(1-(1-x)(1-y))・z
=(1-(1-x-y+xy))・z
=(x+y-xy)・z
=xz+yz-xyz
【システムB】
1-(1-x・z)(1-y)
=1-(1-y-xz+xyz)
=xz+y-xyzxz+yz-xyz<xz+y-xyz
(Aの稼働率<Bの稼働率)
問17
仮想記憶システムにおいて,ページ置換えアルゴリズムとしてFIFOを採用して,仮想ページ参照列1,4,2,4,1,3を3ページ枠の実記憶に割り当てて処理を行った。表の割当てステップ"3"までは,仮想ページ参照列中の最初の1,4,2をそれぞれ実記憶に割り当てた直後の実記憶ページの状態を示している。残りをすべて参照した直後の実記憶の状態を示す太枠部分に該当するものはどれか。
FIFOは、First In First Outの略で、早く入力されたデータから順に出力する「先入れ先出し」のことです。ページ置換えアルゴリズムとしてFIFOを採用する場合、ページインしてから最も時間が経過しているページが置換え対象として選択されます。
設問の表では、最初の3つ(1,4,2)を割り当てたところまでは終わっているので、4つ目以降の割当てを考えていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1699937437697-vwukFGBJom.png)
問18
仮想記憶方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
LRUアルゴリズムは,使用後の経過時間が最長のページを置換対象とするページ置換アルゴリズムである。LRU(Least Recently Used)は、最も長い期間使用されていないページを置換え対象とするアルゴリズムです。
問19
ハッシュ表の理論的な探索時間を示すグラフはどれか。ここで,複数のデータが同じハッシュ値になることはないものとする。
![](https://assets.st-note.com/img/1699937522211-Td6xTPpz7G.png)
ハッシュ表は、キー(key)とそれに対応する値(value)の組を格納するデータ構造です。
ハッシュ表では、キーと値の組を格納する際、キーにハッシュ関数を使用して、格納する場所(インデックス)を一意に決め、そこに格納します。あるキーに対する値を取り出すときも、キーにハッシュ関数を使用することで格納場所を特定し、一発で目的のデータを参照することが可能です。ハッシュ関数からハッシュ値を計算する速度はほぼ一定なので、ハッシュ表に格納されているデータの数にかかわらず、探索時間はほぼ一定(定数時間)となります。
問20
コンテナ型仮想化の環境であって,アプリケーションソフトウェアの構築,実行,管理を行うためのプラットフォームを提供するOSSはどれか。
Dockerは、コンテナ型仮想化の環境で、アプリケーションを実行するための独立した環境を提供するOSSです。
終わりに
今日は基本情報技術者試験の令和5年春期の過去問、1~20番まで練習しました。特に19番のハッシュ表の問題が印象的でした。
「あるキーに対する値を取り出すときも、キーにハッシュ関数を使用することで格納場所を特定し、一発で目的のデータを参照することが可能です。」探索時間はほぼ一定だということを覚えましょう!
エンジニアファーストの会社 株式会社CRE-CO
ソンさん
【参考】
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