東南アジア越境EC市場の特性と戦略的優位性の解説。
東南アジア向けの越境ECを手掛けようにも、現地の状況や市場の成長度合いがわからない方もいるはずです。そもそも、東南アジアに進出するメリットはあるのでしょうか?
東南アジア越境ECはコロナ禍の反動もあり、現在は市場が急速に拡大しています。東南アジアにおける日本製品の高い信頼度、物流面における地理的な近さなども相まって、参入するメリットは非常に大きいと言えます。
そこで今回は、東南アジア越境ECに関する特徴や状況を解説し、その上で参入するメリットや成功させるためのポイントを詳しくご紹介します。
この記事でわかること
東南アジア越境ECの特徴や現在の状況
東南アジア越境ECに参入する具体的なメリット
東南アジア進出を成功させるためのポイント
こんな方におすすめ
東南アジア越境ECを始めたいけど状況がまったくわからない
東南アジアに進出する方法や成功させるポイントを知りたい
東南アジアで人気のモールの種類や特徴を把握したい
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1.東南アジア越境ECの特徴
スマートフォンの普及が加速していることに伴い、東南アジアでもECサイトに触れるユーザー数が増加傾向にあります。本項では東南アジア越境ECの特徴を、以下4つの項目に分けて詳しく解説します。
東南アジアのECサイト利用率
東南アジアのEC市場成長率
人口増加と経済成長
スマホの普及が急激に加速|インターネット環境の充実
それぞれの項目を順番に見ていきましょう。
1-1.東南アジアのECサイト利用率
ECサイトへのアクセスが手軽にできるようになったことで、近年は東南アジアのECサイト利用率が高まっています。2021年度には、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムでの利用率が80%を超えており、日本の74%や世界平均の77%と比べても高い数値です。
インターネット利用率が比較的低いインドネシアでさえも、ECサイトの利用率は90%近いと言われています。このように東南アジア全体で、ECサイトの利用率が年々高まっています。
1-2.東南アジアのEC市場成長率
新型コロナウイルス感染症の流行が一因となり、東南アジアのEC市場成長率が急速に伸びています。コロナ禍の2020年には、新たに約4,000万人がインターネットの利用を始め、その結果、2021年には東南アジアのインターネット利用者数がおよそ4.4億人にまで増加しました。
そして、そのうちの80%近くのユーザーが「少なくとも1度はオンラインでの買い物を経験した」という回答をしており、この数値からもEC市場が急速に拡大していることが分かります。
また、日本政策金融公庫が2022年11月に公表した「各国における越境ECの状況」によると、東南アジア市場は今後も高い成長が見込まれ、2025年度には2021年度の2倍程度の市場規模となると予測されています。
1-3.人口増加と経済成長
インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアの10ヶ国で構成される「ASEAN」は、2021年時点で約6.7億人の人口を誇り、経済規模に至っては約3.3兆ドルにまで及びます。
このASEANが1つの国であると仮定すれば、人口規模は世界3位、経済規模では世界5位に相当します。経済産業省によると新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年の経済は大きく低下しましたが、2021年はその反動でプラス成長となりました。
1-4.スマホの普及が急速に加速|インターネット環境の充実
従来はそれほどインターネットが発達していなかった東南アジアですが、最近はスマートフォンが急速に普及し始めています。中には、モバイル端末の保有率が10割を超えている国もあります。
誰もがスマートフォンを手にする時代になったことで、東南アジアでも気軽にインターネットに接続できるようになりました。特に東南アジアはSNSの利用率が高く、多くのアクティブユーザーを抱えています。
インターネット利用人口に対し、約8割以上のユーザーがFacebookを利用していると言われるほど、その規模は年々拡大傾向にあります。
2.東南アジア越境ECのメリット
東南アジア向けに越境ECを展開するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
高い経済成長率と人口増加による売上の拡大
東南アジアにおける日本製品の高い信頼度
物流面における地理的な近さ
東南アジア越境ECの展開を考えている方は、以下のメリットを必ず把握しておきましょう。
2-1.高い経済成長率と人口増加による売上の拡大
前述した通り、東南アジアは経済成長率が大きく、人口増加による売上の拡大が見込めます。また、スマートフォンやインターネットの普及により、これからECサイトを利用するユーザーが増えることも予想されています。
それらを踏まえると、アメリカや中国などの市場が確立されているエリアに参入するよりも、これから成長が期待される東南アジアに参入したほうが、期待値的にも効率的と言えるでしょう。
2-2.東南アジアにおける日本製品の高い信頼度
日本製品は世界的に高い信頼度を誇っています。特に顕著なのが東南アジアで、日本の化粧品、文房具、食品、カメラ、ハイブランド商品などが人気です。
そもそも日本と東南アジアは古くからのビジネスパートナーで、日本とASEAN諸国との貿易額は2021年時点で24兆円以上にまでのぼり、貿易総額の約15%を占めています。
質が高いと評価される日本の輸入品は現地で愛され、その後は現地生産でその国々に根付くほど高い信頼度を獲得しています。したがって、東南アジア向けに越境ECを始めて日本製品を販売すれば、現地の人に注目される可能性が十分にあるのです。
2-3.物流面における地理的な近さ
東南アジアは日本から距離が近く、地理的・文化的背景に一定の類似性があります。地理的な近さも相まって、物流にかかるコストを削減できるのが利点です。
また、周辺国に効率よく輸出が可能なほど、物流インフラが比較的整っているため、ECサイトを展開したときの商品配送のタイムラグを減らせます。それに伴い、ECサイトを利用するユーザーの満足度を高められます。
3.東南アジア進出の方法
東南アジアに進出する方法は大きく以下の2つが考えられます。状況に応じて適切な選択肢が異なるため、それぞれの特徴やメリットを十分に理解しましょう。
それぞれの進出方法を詳しく解説します。
3-1.自社型EC
自社型ECは、自社の越境ECサイトを構築、または既存のサイトを越境対応にして販売・運営する方法です。カスタマイズの自由度が高く、販売戦略に合わせたマーケティング手法を採用できます。
しかし、輸出入の手続きや言語・配送方法・支払い方法の対応には大きな負担が伴います。また現地のユーザーとのコミュニケーションが発生するので、スムーズに対応できる体制を社内で整えなければなりません。そのため状況によっては、専門業者の支援を検討する必要があります。
【自社型ECのメリット】
自社のビジネスに最適な機能やデザインにカスタマイズできる
マーケティング手法を自社の判断で選択できる
新しい地域の言語や通貨、配送方法などを拡張できる
【自社型ECのデメリット】
越境ECサイトの構築には大きな手間と負担がかかる
あらゆる問い合わせに対応できる体制を整える必要がある
適切に対応できないとブランド価値や商品評判に影響が出る
3-2.モール型EC
モール型ECは、既存の越境対応ECモールに自社店舗を出店して販売する方法です。自社のECサイトを構築する手間が省け、既存のユーザーをターゲットにできます。
また、ECモール内で実施される期間限定セールやキャンペーンなどを活用し、自社商品の販売やPRに繋げることも可能です。
しかし、モール型ECは手数料が高く、顧客データの取得が難しいなどのデメリットがあります。自社ブランドの体現や価格競争など、コントロールできない部分があることも覚えておきましょう。
【モール型ECのメリット】
自社のECサイト構築や越境対応が不要で手間とコストを削減できる
既存のユーザーが多数存在するため異なるターゲット層にアプローチできる
ECモール内のシステムやキャンペーンを駆使して売上を拡大できる
【モール型ECのデメリット】
一般的に越境対応したECモールは手数料が高い
顧客情報はECモールが管理するため自社で顧客データを取得しにくい
競合他社との価格競争に巻き込まれる可能性がある
4.東南アジア越境ECを成功させるための7つのポイント
東南アジア越境ECを成功させるためには、いくつか工夫を講じる必要があります。参入するメリットが大きいとはいえ、何も考えずに始めると失敗するリスクが高まります。効率的に越境ECを展開させたい方は、以下のポイントを押さえておきましょう。
東南アジア各国の市場を理解したターゲティング
モバイル最適化
SNSの積極的な活用
東南アジアで人気のモールへの出店
スムーズな物流
多様な支払い方法の提供
現地の法律や関税に対する対策
各ポイントを1つずつ解説します。
4-1.東南アジア各国の市場を理解したターゲティング
まずは東南アジア各国の市場を理解し、ターゲットを明確に定めましょう。一言で東南アジアと言っても、各国に応じて市場のニーズは異なります。
そのため各国の市場をリサーチし、どのような商品が流行っているのか、どの日本商品が人気なのかなど、ターゲットとする国のトレンドを把握しておきましょう。
また、日本国内とは市場の傾向が異なるため、現地の状況を押さえずに出店してしまうと、上手く販売できない可能性が高まります。越境ECに参入する際は、各国の市場を理解したターゲティングを心がけてみてください。
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4-2.モバイル最適化
東南アジアではスマートフォンの普及が加速しているため、多くのユーザーはモバイルでECサイトを閲覧・利用します。それに伴い、PC最適化のみにフォーカスしてしまうと、モバイルからアクセスするユーザーに商品を販促できず、売上を伸ばすことが難しくなります。
ユーザーの満足度にも直結するため、参入時には必ずモバイル最適化を図りましょう。モバイル最適化をする上で、特に注意すべき点としては以下の3つが挙げられます。
商品画像の視認性
商品概要テキストの読みやすさ
購入・問い合わせボタンのわかりやすさ
モバイルからの視認性や操作性が悪いと、ユーザーはストレスを抱えてしまい、サイトの離脱率が高まります。この考えを念頭に置き、PCとモバイルの両方から販売ページの確認を行いましょう。
4-3.SNSの積極的な活用
東南アジアはソーシャルメディアユーザーが特に多いエリアです。したがって、ECサイトの商品をSNSから知る機会も多いため、越境ECを展開する上ではSNSの積極的な活用が求められます。
特に若年層はSNS利用者が多く、口コミやレビュー、購入前の商品情報収集などに活用しています。幅広い顧客を獲得するためにも、SNSでの商品紹介やキャンペーンなどを駆使し、知名度の向上やユーザーとの信頼関係を構築することが大切です。
【東南アジアで人気のSNS】
Facebook
YouTube
Instagram
Zalo
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4-4.東南アジアで人気のモールへの出店
自社型ECを展開するにしても、しないにしても、東南アジア越境ECを手掛けるなら人気モールへの出店は必要不可欠です。なぜなら、集客や知名度向上を図る上では、人気モールへの出店が非常に効果的であるためです。
【人気モールの具体例】
Shopee(ショッピー)
Lazada(ラザダ)
tokopedia(トコペディア)
東南アジアでの人気モールを把握し、自社商品との適合性を図ることがキーポイントとなります。モールの選定を誤ってしまうと、集客や販売の実績に大きな影響を及ぼすため注意が必要です。
ターゲットによって利用するモールが異なるので、自社商品とターゲットの両方を考慮し、出店するモールを慎重に選びましょう。
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4-5.スムーズな物流
東南アジア越境ECを手掛ける際には、スムーズな物流も重要となります。商品の配送が遅延したり、破損していたりすると、ユーザーの評価を大きく落としてしまいます。
そのため信頼性の高い物流パートナーと提携し、スムーズな物流体制を確立することが大切です。また、配送ステータスの透明性を保つことも、ユーザーの信頼を獲得する上では重要なポイントとなります。
仮に物流関係を得意としない場合、フルフィルメントサービス(物流業務の代行サービス)を提供するECプラットフォームの利用を検討しましょう。商品の受注から配送完了までの物流業務を代行してもらえます。
4-6.多様な支払い方法の提供
東南アジアでは、クレジットカード以外の支払い方法が広く利用されています。多様な支払い方法に対応することで、ユーザーの購入ニーズを満たすことが可能です。
【東南アジアで主流の支払い方法】
クレジットカード
デビットカード
電子決済(GoPay、OVO、DANA、DOKU)
銀行振込
現金払い
支払い方法のニーズは、東南アジア各国で異なる場合があります。現地の顧客が使いやすい支払い方法を調査し、ECサイトに上手く導入できれば、カゴ落ちのリスクを軽減できるはずです。
4-7.現地の法律や関税に対する対策
大きなトラブルを起こさないためにも、現地の法律や関税に対する対策が必要です。商品の輸入に関する法律、関税、消費税などの情報を事前に把握し、販売をスムーズに進めるための準備を行いましょう。
この対策を怠ってしまうと、商品が通関で止まったり、予期せぬコストが発生したりする可能性があります。特に自社型ECを展開する場合は、法律や関税を抜かりなく押さえておきましょう。
5.東南アジアで人気のモールの特徴
東南アジアで特に人気のモールは以下の3つです。
Shopee(ショッピー)
Lazada(ラザダ)
tokopedia(トコペディア)
各モールの特徴や利点を詳しく解説します。モール型ECを手掛ける場合は、必ず以下の詳細を確認しておきましょう。
5-1.Shopee(ショッピー)
Shopeeは、東南アジアにおけるEC市場で急速な成長を遂げているプラットフォームです。2015年2月に運営が開始された比較的新しいモールで、東南アジアの中で特に強い影響力を持ちます。
このモールの特徴を理解しておくことは、東南アジア越境ECの成功に直結すると言っても過言ではありません。
①急成長するShopee
Shopeeは東南アジアのシンガポールに本社があります。アプリのダウンロード数第1位として、東南アジアを中心に注目を浴びています。
以前まではLazadaが東南アジアでシェア第1位をキープしていましたが、2015年にShopeeが登場して以降、短期間で急成長を遂げ、2020年にはLazadaを抜いてシェア第1位を獲得しました。
アプリのダウンロード数は2億件以上で、2021年には世界で最もダウンロードされたショッピングアプリに選ばれています。
②Shopeeの東南アジアでの利用率
東南アジアでの利用率が特に高いShopeeは、最初はシンガポールから始まり、現在はシンガポールに加え、台湾、マレーシア、インドネシア、タイの東南アジア4ヶ国で展開しています。
Shopeeを利用している人数はおよそ6億人以上です。つまり、Shopeeに商品を登録して販売を行えば、それだけで6億人以上のユーザーに自社商品をリーチできるのです。
人気が高い日本製品の需要により、Shopeeのユーザー数はさらに増加することが予想されています。
③Shopeeが人気な国
Shopeeはアジア・東南アジアで人気のプラットフォームです。日本から販売を行う場合、以下5つのマーケットに英語で商品を展開できます。
シンガポール
台湾
タイ
マレーシア
フィリピン
出品のツールは基本的に英語で、台湾のみ現地語(中国語 繁体)で出品する必要があります。とはいえGoogle翻訳を使えば、英語や中国語が使えない方でも簡単に出品可能です。
5-2.Lazada(ラザダ)
中国のアリババ子会社であるLazadaも、東南アジアで人気のあるプラットフォームの1つです。東南アジアで影響力が高いため、「東南アジアのAmazon」とも呼ばれています。
Lazadaは、ローカル(現地)とグローバル(越境)の2つのマーケットプレイスがあります。グローバルアカウントの場合は、対応している全ての国に出店が可能です。
①Lazadaの歴史
Lazadaは2012年に設立された東南アジア最大級の越境ECプラットフォームであり、2030年にはユーザー数3億人を目指して事業が拡大されています。
2013年に開始したマーケットプレイス事業は、2014年には全体の売上の6割以上を占めるまでに成長。2015年には、東南アジアの6ヶ所の市場における年間総流通総額が13億6,000万ドルとなりました。
2016年にアリババグループはLazadaの経営権を獲得しており、その後は女性の顧客が2.5倍に増加し、小売業者の数は4.5倍にまで拡大しました。
②Lazadaが人気な国
Lazadaは常にShopeeとシェア率第1位・第2位を争っているほどユーザー数が多く、展開しているエリアも広いのが特徴です。日本から展開できる東南アジアの国は以下の通りです。
シンガポール
インドネシア
マレーシア
タイ
ベトナム
フィリピン
東南アジアの倉庫センターは30ヶ所以上で、アクティブユーザーは1.3億⼈も存在します。日本語のサポートも充実しているため、英語が苦手な方でも比較的簡単に販売を行えます。
5-3.tokopedia(トコペディア)
tokopediaは、インドネシア最大のプラットフォームです。「デジタルテクノロジーで経済格差を解消すること」を目指し、インドネシア人共同創業者2名によって2009年に設立されました。
2017年には中国のアリババグループから出資を受け、急成長を遂げています。本サービスで販売している主な商品としては、家電やキッチン用品、ゲーム、パーティー用品、イスラム教徒向けのファッションなどが挙げられます。
①tokopediaの出店数・商品数
2022年時点では、出店数は約1,200万店で、商品数は約8億6,500万点です。訪問者数は1ヶ月あたり、約1億5,700万人にまでのぼります。
2018年には、インドネシアのスマホアプリとして初めてGoogleの「Android Excellence Apps & Games」に選ばれました。現在ではインドネシアを代表するオンラインサービスとなりました。
②tokopediaを利用するメリット
tokopediaには「オフィシャルストア」を除けば、レギュラーマーチャント、パワーマーチャント、パワーマーチャントプロの3つのランクがあります。
出店開始時は出店料が無料で、かつ最初の取引100回までは手数料が免除されます。「大きなコストをかけたくない」という方でも、気軽に始められるのがtokopediaの利点です。
また複数の配送業者と提携しているため、状況に応じて柔軟に配送業者を選択できます。さらに、ECサイトのシステムはシンプルで使いやすいことから、初めて越境ECに参入する方でも安心です。
6.日本企業3社の東南アジア進出事例
最後に、日本企業が東南アジアに進出した事例を3つ紹介します。大企業も東南アジアへの参入を積極的に進めています。参考にできる部分をぜひ取り入れてみてください。
ユニクロ(UNIQLO)
バルクオム(BULK HOMME)
モノタロウ(MonotaRO)
各企業の進出事例を順番に解説します。
6-1.ユニクロ(UNIQLO)
参考元:ユニクロ公式サイト
ユニクロは東南アジアや欧米などに海外進出を行い、利益を大幅に拡大してきました。2023年8月期上期決算では、売上収益が前期比20.4%増の1兆4,673億円で、営業利益が同16.4%増の2,202億円。さらに純利益は同4.5%増の1,533億円でした。
そのうち、特に海外ユニクロ事業が好調で、売上収益は半期で1,620億円増え、同27.3%増の7,552億円となりました。岡﨑健ファーストリテイリング取締役CFOは、「服への需要が急速に変化し、LifeWearへのニーズが高まった」と語っています。
ユニクロが東南アジアに初めて進出したのは、シンガポール初出店の2009年4月9日です。2023年4月30日時点では29店舗も構え、そのほかマレーシアやタイランド、フィリピン、インドネシア、ベトナム、オーストラリアで店舗を展開しています。
【シンガポール 】
初出店日:2009年4月9日
店舗数:29店※
【マレーシア 】
初出店日:2010年11月4日
店舗数:54店※
【タイランド 】
初出店日:2011年9月9日
店舗数:64店※
【フィリピン】
初出店日:2012年6月15日
店舗数:70店※
【インドネシア】
初出店日:2013年6月22日
店舗数:61店※
【ベトナム】
初出店日:2019年12月6日
店舗数:17店※
【オーストラリア】
初出店日:2014年4月16日
店舗数:32店※
※2023年4月30日時点
参考元:FAST RETAILING|東南アジア・オセアニア
6-2.バルクオム(BULK HOMME)
参考元:バルクオム公式サイト
雑誌やSNSで話題沸騰中のバルクオム。メンズスキンケアブランドとして、国内を中心に商品展開を続けています。そんな中、近年はグローバルな販売にも力を注いでいます。
2016年に海外向けオンラインストアをリリースし、東南アジア5ヶ国へバルクオム製品の販売を開始しました。韓国、中国(香港)、台湾、タイ、インドネシアの5ヶ国が対象です。
さらに2020年9月11日には、ニッセイ・キャピタル、丸井グループ、DIMENSION、きらぼしキャピタルを引受先とした第三者割当増資、加えて日本政策金融公庫などからの融資を含めて総額約15億円の資金を調達しました。
調達した資金は国内マーケティングのさらなる強化、CRM部門の体制強化、そしてグローバル展開の推進に充てるとのこと。グローバル展開については2017年からアジアに進出し、その後は2020年5月にイギリスとフランスへ進出しました。
6-3.モノタロウ(MonotaRO)
モノタロウは兵庫県尼崎市に本社を置く、事業者向けの工業用間接資材を販売する販売会社です。「現場を支えるネットストア」を企業コンセプトに、WEBサイトで整備製品を中心に販売を続けています。
そんなモノタロウは、シンガポール、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナム、タイなど東南アジア地域約30ヶ国への輸出事業全般に関わる海外事業グループを設立。2016年にはインドネシアのEコマース事業会社に出資し、現地での間接資材販売事業を行っています。
また、日本国外の法人顧客向けのサービスを最適化するため、東南アジアの複数の市場におけるオンライン決済プロバイダーとして、Adyen(AMS:ADYEN)を採用しました。Adyenとは、グローバル企業向けの国際的な決済プラットフォームのことです。
モノタロウはこのAdyenを採用したことで、より簡単な決済プロセスを実現し、潜在顧客の対応範囲の拡大を目指しています。