ECサイトの構築を徹底解説!その費用から手順までを一挙紹介!
自社ECサイトを初めて立ち上げる際、どのような構築方法が自社ビジネスに適しているのか分からない方も多いのではないでしょうか。
EC事業で利益を最大化するには、楽天市場やYahoo!ショッピングなどのモールへの出店や、クラウドサービスやオープンソースを利用した自社ECサイト構築のメリット・デメリットを十分に理解しておくことが重要です。
この記事では、ECサイトの構築に関して必要な知識を徹底解説し、各構築方法のメリット・デメリットや費用相場、具体的な手順などもご紹介します。
この記事でわかること
ECサイトの構築方法に応じたメリット・デメリット
ECサイト構築の費用相場や具体的な手順
ECプラットフォームの選定ポイント
こんな方におすすめ
ECサイトの立ち上げが初めてで右も左も分からない
どの構築方法が自社ビジネスに適しているか知りたい
ECサイトをリリースするまでの流れを詳しく知りたい
ECサイトを構築する5つの方法とメリット・デメリット
ECサイトを構築する方法は、主に5種類に分けられます。
モール型
APSカート型
クラウド型
パッケージ型
オープンソース型
フルスクラッチ型
構築方法によって機能の充実度や費用、カスタマイズ性などが異なるため、それぞれのメリットやデメリットを比較しながら解説します。
モール型
モール型とは、1つのECモール(大型ECサイト)上に複数の店舗がモールのように軒を連ね、商品・サービスを販売する形式のことです。
独立した自社ECサイトを構築・運営するのではなく、ECモール上に店舗を出店する、または商品のみを出品するという形になります。
ECモールの運営形態は、大きく分けると「テナント型」と「マーケットプレイス型」に分けられます。
テナント型とマーケットプレイス型の違い
テナント型では、テナント料に相当する出店料を支払うことで、ECモール上に自社店舗を出店できるようになります。
マーケットプレイス型は、ECモールに商品のみを出品する運営形態です。商品が購入された場合、ECモール側から商品データと購入者情報が送信され、発送に対応します。
テナント型とマーケットプレイス型の代表的なECモールは、以下のとおりです。
代表的なサービス
テナント型
楽天市場、Yahoo!ショッピングなど
マーケットプレイス型
Amazon、ZOZOTOWNなど
ECモールのメリット
ECモールに出店する最大のメリットは、既にそのECモールが持っている知名度やユーザー数の影響により、初動からある程度の集客力に期待できるという点です。
例えば、ユーザー数5,000万人以上を誇る楽天市場に出店した場合、多くのユーザーに自社の商品・サービスが表示される機会があり、潜在顧客を獲得できる可能性があります。
誰もが知る大型ECモールであれば、消費者にとって信頼性が高く、初めて知った商品・サービスでも安全に購入できるという側面もあります。
さらには、ECモールが独自に提供している販促ツールを活用したり、キャンペーンに参加したりすることで、自社ブランドを多くのユーザーにアピールできるのもメリットです。
ECモールのデメリット
ECモールは、既に多数の競合他社が参入していることもあり、価格競争になることが懸念されます。
サイトデザインのカスタマイズ性が低いため、ブランドの世界観を体現して顧客を獲得するのが難しく、安価な類似商品に目が移ってしまうケースも少なくありません。
また、顧客情報の管理はECモールが行うため、顧客情報を有効活用したマーケティングが難しい側面もあります。
他にも、ECモールによってテナント料や取引・決済時の手数料が発生することがデメリットに挙げられます。
ASPカート型
ASPとは「Application Service Provider」の略で、ECサイトに必要なカート機能などを提供するプロバイダのECプラットフォームを利用し、自社ECサイトを構築するサービスです。
BASEやMakeShopなどが代表的なサービスに挙げられ、個人事業主でも比較的簡単に小規模〜中規模のECサイトを構築できます。
無料版と有料版の違い
無料版のAPSでは、カート機能・決済機能・配送管理などの基本機能が備わったECサイトを構築できます。
有料版のASPでは、基本機能に加えて、メルマガ機能・クーポン機能・ポイント機能などの売上アップに繋がる多様な機能を利用でき、機能のカスタマイズにも柔軟に対応できます。
自社ECサイトに必要な機能を事前に整理した上で、無料版か有料版かを選定しましょう。
ASPカートのメリット
APSカートは、他の方法よりも比較的コストやリソースを抑えながら自社ECサイトを構築可能です。
無料版・有料版問わず、プログラミングの知識がなくてもシンプルな操作性でECサイトを構築でき、在庫管理や顧客管理などのさまざまな機能を利用できます。
また、ASPカートなら顧客情報の取得と一元管理も可能であり、顧客属性や購買履歴の分析に基づいた戦略立案や施策の改善ができるのもメリットです。
APSカートによっては、顧客毎の自動メール配信機能を活用したコミュニケーションの強化や、会員限定セールなどを実施して顧客ロイヤリティを向上できます。
ASPカートのデメリット
APSカートは低コストで手軽にECサイトを構築できる一方、カスタマイズ性の制限が多いというデメリットがあります。
例えば、基本サービスにない機能を追加したい場合、自社独自のシステムとの連携が必要となり、プログラミング技術や知識がなければ対応できません。
また、ECサイト利用者の個人情報などの重要なデータをサーバー上に預けることになるため、セキュリティ対策が必要不可欠です。
プロバイダ側のサーバーの不具合があった場合、システムが停止するリスクもあるため、万が一に備えた対策を練っておくことも大事です。
クラウド型
ECサイトを構築・運用するためのシステムは、クラウドを通じて利用することも可能です。
具体的には、ECサイトのホスティングやシステムの提供、決済や物流などの機能を提供するクラウドサービスプロバイダが、ECサイト構築・運用に必要な機能をECプラットフォーム上で企業に提供する形式のことを言います。
クラウドサービスは、個人・法人問わず、小規模〜大規模なECサイト構築に柔軟に対応できます。
クラウドサービスのメリット
クラウドサービスを利用してECサイトを構築する最大のメリットは、自由度の高いカスタマイズ性と安定性のシステム環境です。
ASPカートとは異なり、最新のシステム環境下で既存のシステムとの連携や独自のカスタマイズにも対応できます。
また、自社でサーバーを用意する必要がないことから、初期費用を抑えながら導入でき、メンテナンスもベンダーに任せられます。
セールやキャンペーン時にアクセスが急増した場合でも、クラウドサービスなら迅速にサーバー数を増加し、サーバーダウンによる機会損失を避けられるのも大きなメリットです。
顧客情報の管理に関しても、クラウドサービスなら物理的なサーバーを用いて強固なセキュリティ体制がとられているため、より安全に保管することが可能です。
クラウドサービスのデメリット
クラウドサービスでECサイトを構築する場合、ベンダーがソースコードを公開していないことから保守管理ができないというデメリットがあります。
保守をベンダーに任せて労力を抑えられるものの、自社での管理に制限が設けられることを理解しておきましょう。
また、ASPカート型と比較してランニングコストが大きくかかる点もデメリットに挙げられます。
利用するサービスによっては、月額数十万円以上のコストがかかるケースもあるため、売上金額が一定以上に達した場合にクラウド型に切り替えるなどして、安定的な経営を実現しましょう。
パッケージ型
パッケージ型とは、ECサイトの構築・運用に必要な機能がパッケージ化されたシステムを導入してECサイトを構築する方法です。
基本的には、あらかじめ定義された機能やレイアウトを使用してECサイトを構築し、リリース後はソフトウェアの定期的なアップデートが必要になります。
カート機能をはじめ、顧客管理・受注・売上管理・決済などの機能が初めから搭載されており、自社で必要な機能があれば事前にカスタマイズして発注することもできます。
導入コストが比較的高く、法人で中規模〜大規模なECサイトを構築したい場合に選ばれる方法です。
パッケージのメリット
パッケージ型のECサイト構築ツールには、多数の機能が搭載されており、カスタマイズ用の機能も豊富なため、自社ECサイトの要件に沿ったカスタマイズが容易に行えます。
中〜大規模なECサイトを構築する場合でも、開発〜テスト〜運用までに必要十分な機能がパッケージ化されているため、導入がスムーズです。
オープンソースのツールを利用すれば、コストを抑えた導入も可能であり、メンテナンスも開発会社が提供する適宜バージョンアップや修正パッチを利用すれば、少ない手間で対応できます。
パッケージのデメリット
パッケージ型は充実した機能をまとめて導入できる一方で、初期費用やランニングコストが比較的高いというデメリットがあります。
ライセンス料やサポート費用が必要になり、さらにはシステムが陳腐化しやすいことから定期的にリニューアルをしなければなりません。中長期的な運用では、多くのコストが発生することを理解しておきましょう。
また、あらかじめ定義された機能しかないため、特定のニーズに合わせた機能を追加できない点もデメリットになります。
オープンソース型
オープンソース型とは、インターネット上に公開されているソースコードを用いて、自社ECサイトを構築する方法です。
ソースコードには、カート機能や決済機能などの基本機能が記されており、プラグインを使えばさらに機能の追加や拡張が可能です。
誰でも無料でサーバーにインストールできるようになっているため、プログラミングの知識さえあれば個人事業主でも簡単に利用できます。
オープンソースのメリット
オープンソースは、ライセンス料が必要なく無料で利用できるため、低コストで導入・運用できるのが大きなメリットです。
また、ソースコードが公開されており、多様なプラグインやモジュールが存在しているため、幅広いカスタマイズに対応できます。
例えば、決済機能や配送機能などの多機能を備えながら、独自性の高いデザインのECサイトを構築することが可能です。
オープンソースのECサイトには、利用者や開発者が参加しているコミュニティーが存在しており、機能や利活用に関する情報やバグ修正、機能追加などの情報を得られるのもメリットに挙げられます。
オープンソースのデメリット
オープンソースを利用したECサイト構築では、ソフトウェアのインストールやカスタマイズに関して専門的な技術と知識が必要です。
特にセキュリティやパフォーマンスの問題に関しては、専門知識が必要不可欠となる場合があるため、自社のリソースに大きな負担がかかります。
また、クラウド型と比較するとセキュリティリスクが高いというデメリットもあります。
ソフトウェアの新バージョンがリリースされた際には、速やかにアップデートに対応し、セキュリティに関する情報を常にチェックしなければなりません。
フルスクラッチ型
フルスクラッチとは、ECサイトの開発から運用に至るまで全て自社で担う方法のことです。
要件定義から設計に基づいてプログラミングやコーディング、デザインなどをゼロベースで行い、独自のECサイトを構築します。
インフラやサーバーに関しても自社で用意する必要があり、運用や保守管理もインハウスで対応するのがフルスクラッチの特徴です。
巨額なコストと長期的な開発期間が必要になるため、法人で大規模なECサイトを構築する際に選ばれる方法です。
フルスクラッチのメリット
フルスクラッチにしかない大きなメリットは、自社が求める機能性・デザイン性・UI/UXなどを全て備えた、理想的なECサイト作りを追究できる点です。
商品・サービスのイメージや、顧客ニーズに即したECサイトを構築でき、独自性の高いブランディングに適したECサイトを構築できます。
自社のリソースで開発を行うため、外注費を削減でき、さらにライセンス料やサポート費用がかかることもありません。
また、自社で定めたセキュリティポリシーに合わせて、セキュリティ対策を行うことができるため、リスクを最小限に抑えることが可能です。
フルスクラッチのデメリット
理想のECサイトを構築できるフルスクラッチですが、それに伴う巨額の費用・時間・リソースがかかることが大きなデメリットとなります。
必要な機能の開発とデザインには、専門知識を持った多くのリソースが必要となり、外注で対応する場合は大きなコストが発生します。
ECサイトの構築方法の中でも、フルスクラッチは開発期間が特に長くなりやすく、自社で開発に向けたスケジュール管理をしなければなりません。
フルスクラッチで構築するECサイトのクオリティは、開発チームの技術力が大きく影響します。
スキル不足が懸念される場合には、ECサイト構築・開発に強い代行会社に依頼することも視野に入れておきましょう。
ECサイト構築の手順
ここからは、ECプラットフォームごとにECサイトを構築するまでの基本的な手順をご紹介します。
ASPカート型
ASPカートを使用してECサイトを構築する手順は、以下のとおりです。
①ASPカートの登録
ASPカートのサイトにアクセスして、アカウントを作成します。
アカウントを作成する際には、サイト名やURL、ログインID、パスワードなどを登録します。
その際、独自ドメインとサブドメインどちらにするのかを考えておく必要があります。
②ショップ設定
アカウント作成後は、ショップ名やロゴ画像、連絡先情報、配送先地域などを設定します。
また、ECサイトのデザインを決めるテンプレートを選択することもできます。
③商品登録
ショップ設定の完了後は、商品登録を行います。
商品登録には、商品名・価格・在庫数・説明文・画像などを入力します。
また、商品カテゴリーの設定やオプション設定(サイズやカラーなど)も行います。
④決済方法の設定
ASPカートでは、クレジットカード決済や代金引換、銀行振込などの決済方法を設定することができます。
また、各決済方法の手数料や設定内容を設定することも可能です。
⑤配送方法の設定
ASPカートでは、宅配便や郵便局留めなどの配送方法を設定することができます。
また、配送方法ごとの送料の設定もこの工程で行います。
⑥注文管理
注文管理には、注文の確認・入金の確認・発送の手配・配送状況の確認などが含まれます。
注文管理画面では、注文履歴の閲覧や配送伝票の発行なども行えます。
⑦リリース
必要な情報登録や機能の設定を終えた後は、運営フローの最終チェックを行います。
商品の購入手順から配送に至るまで、顧客に不便がないように隅々までチェックした上でサイトを公開しましょう。
クラウド型・パッケージ型
クラウドサービスやECパッケージを利用する場合、あらかじめ用意されたフローに沿ってECサイトを制作していきます。
ここでは、一般的なECサイト構築の流れを説明します。
①アカウント登録・お問い合わせ
ベンダーの公式サイトで、メールアドレスや必要な情報を入力して、アカウント登録を行います。
クラウドサービスの場合、登録後から一定期間0円で利用できる無料体験サービスが提供されていることもあります。
②ショップ設定
ECプラットフォーム・サービスにログインした後、ショップ情報の登録やサイトURL、ログインパスワードなどを設定します。
③商品登録
管理画面から商品登録を選択し、商品名・価格・画像・管理用コード・配送方法などを入力します。
また、商品のカラーやサイズのバリエーション、在庫数の登録などもあわせて行います。
商品の価格やカテゴリーでグループ化する機能を利用することで、ユーザーが目的とする商品を見つけやすくなります。
④テーマの編集
ECプラットフォーム毎に、ECサイトのデザインを一括で変更できるテーマが用意されています。
自社ブランドのイメージに合ったテーマに設定し、ECサイトのデザインを決定しましょう。
HTMLやCSSの技術があれば、デザインをカスタマイズすることも可能です。
⑤送料の設定
配送サービスの料金をもとに、商品の送料を設定します。
都道府県毎や商品のサイズに応じて、適切な送料に設定する必要があります。
⑥決済方法の設定
ECプラットフォームで用意している複数の決済方法の中から、採用したいものを選択しましょう。
デフォルトの決済方法以外に追加したい場合には、オプション料金がかかる場合があります。
顧客ニーズに応じて、さまざまな決済に対応できるようにしましょう。
⑦開店シミュレーション
ECプラットフォームには、ECサイトを公開する前に受注後の流れをシミュレーションできる機能が備わっている場合もあります。
注文管理に正しく注文内容が表示されるか、注文のキャンセル処理や返金処理に正しく対応できるかなどをテストした上で、ECサイトを公開しましょう。
ここまでの工程は、自社内で完結することもできますが、ECプラットフォームを利用したサイト制作実績が豊富な代行会社に依頼することで、より理想に近いECサイトを構築できます。
オープンソース型
オープンソースは、インターネット上に無料で公開されているオープンソースをサーバーへインストールし、ECサイトを構築していきます。
①サーバー構築(レンタル)
利用するオープンソースを選定した後、インストール先となるサーバーを自社で構築するか、レンタルしましょう。
サーバーの構築には専門知識が必要になるため、中規模以下のECサイト構築ではレンタルサーバーを利用するのが一般的です。
②オープンソースのインストール
ベンダーの公式サイトから、最新版のソフトウェアをダウンロードします。
ダウンロードした後は、ベンダーが提供しているマニュアルに沿ってサーバーへインストールします。
サービスによっては、簡単な手順でインストールが完了するクイックインストールも用意されています。
③テーマの設定
デザインテンプレートから、自社ブランドのイメージに合ったテーマを設定します。
サイトのバックグラウンドから各種パーツまで、細かくカスタマイズすることが可能です。
④商品登録
商品タイトル・画像・価格などを入力して、販売する商品を登録をします。
カテゴリーやタグを設定しておくことで、商品一覧ページの作成や在庫管理が効率的になります。
⑤決済方法の設定
さまざまな決済方法から、顧客ニーズに合わせた手段を設定します。
クレジットカード決済やコンビニ決済、代金引換、銀行振込などの基本的な決済方法に加えて、キャリア決済やID決済にも対応できると顧客満足度の向上に繋がります。
⑥注文管理
注文管理では、注文の確認をはじめ、発送状況の管理、返品・交換処理などの設定を行います。
⑦配送方法の設定
配送方法の設定では、配送会社の選定や送料の決定、配送状況の管理設定などを行います。
⑦リリース
サイトの運用テストで不具合やバグのチェックなどを行なった後、問題なければサイトを公開します。
オープンソースでは、プラグインをインストールして機能を拡張することが可能です。
競合との差別化を図るためにも、サイトデザインで独自性を表現し、顧客ニーズを満たす多様な機能を搭載しましょう。
フルスクラッチ型
フルスクラッチでECサイトを構築する場合は、プロジェクトチームを発足し、要件定義から始めるのが一般的です。
基本的には、以下の流れでECサイトを構築します。
①要件定義
まずは、自社ブランドのビジョンやターゲット設定などをもとに、理想的なECサイトのイメージを固めます。
その後、理想とするECサイトの実現には、どのようなデザインや機能、外部システム連携が必要なのかを検討します。
実際に導入できる機能とできない機能を洗い出し、ギャップを埋め合わせる方法を考えた後、要件定義書にまとめて設計・開発へと移ります。
②プランニング
要件定義書でまとめた内容に沿って、まずはECサイトの全体構造やページのレイアウト、デザイン等をプランニングします。
この工程でサイトマップを作成し、各ページの機能やコンテンツを明確にします。
③デザイン
プランニングが終わったら、サイトのデザインを作成します。
サイトのロゴやカラースキーム、フォント、ページ全体のデザインを決めた後、PhotoshopやIllustratorなどのグラフィックツールを使用してイメージを作成します。
④フロントエンド開発
HTML・CSS・JavaScript等を使用して、サイトのフロントエンドを開発します。
前工程で決定したページのレイアウト・デザインを実現するために、CSSフレームワークを使用することもあります。
また、動的なページを実装したい場合には、JavaScriptライブラリを使用します。
⑤バックエンド開発
PHPやRubyなどのプログラミング言語を使用し、サイトのバックエンドを開発します。
具体的には、商品情報や注文情報などのデータベースを構築し、データの取得や更新を行うためのAPIを作成します。
また、セキュリティの観点からユーザー認証やデータ検証などの機能も実装します。
⑥各種機能の実装
要件定義の内容に沿って、各種機能の実装を行います。
例えば、ECサイトでは以下のような基本機能が必要になります。
マイページ
商品一覧機能
ユーザー認証機能
カート機能
注文管理機能
決済機能
配送機能
顧客管理機能等
また、併せてセキュリティ対策を行い、クレジットカード情報や個人情報の漏えい対策を行います。
⑦動作テスト
開発した各種機能・システムの動作テストを行い、正常に動作するかを検証します。
単体テスト
統合テスト
システムテスト
運用テスト
また、外部システムとの連携が必要な場合も、この工程でテストを行います。
⑧リリース
運用テストに問題がなければ、サイトを公開して商品・サービスの販売を開始します。
フルスクラッチの場合、知名度のある企業やブランドでなければ初動の集客はかなり難しいです。
そのため、SEO対策やコンテンツマーケティング、SNSアカウント・広告運用などに精通したECコンサルティングサービスを利用し、集客力アップを図ることも検討しましょう。
ECサイトを構築・作成する際の費用相場
自社ECサイトの立ち上げや運営にかかる費用は、構築方法によって大きく変わります。
注意しなければならないのが、初期費用だけではなく、販売手数料やライセンス料などのランニングコストも含めて構築方法を検討することです。
ECサイトの構築・作成費用
ECサイトは、初期費用無料で構築できるサービスもあれば、フルスクラッチのように1,000万以上の巨額なコストが必要になるサービスもあります。
無料サービスの場合、基本的には有料版よりも機能が少なく、デザインやカスタマイズに多くの制限がかけられています。
初期費用無料でも、販売手数料やライセンス料などがどの程度かかるのかをサービス利用前に確認しておきましょう。
有料サービスの場合、無料版よりも多機能かつデザイン性やカスタマイズ性に優れている傾向にあります。
初期費用が発生したとしても、無料版よりもランニングコストを抑えられるケースもあるため、中長期的なコストを考えてサービスを選定しましょう。
ECサイトの運営・販売時の手数料やコスト
ECサイトを立ち上げた後、販売手数料をはじめとするさまざまな手数料やコストが発生します。
例えば、モール型やASP型で発生する手数料やコストの例は、以下のとおりです。
販売手数料
決済手数料
振込手数料
ライセンス料(プラットフォーム利用料)
オプション追加料金
アフィリエイト広告手数料
支払い手数料
事務手数料
商品の仕入れコスト
出荷時の送料等
上記に加えて、ECサイトの運営には、Webサイトのホスティング費用やドメイン名の取得費用、SSL証明書の費用、ショッピングカートシステムの費用、広告費用、開発・運用費用などのランニングコストが必要です。
どのECプラットフォームを利用するかで手数料やコストが変わるため、自社のビジネスモデルに合わせて比較検討しましょう。
ECサイト構築までにかかる期間
ECサイトの構築期間は、どのサービスを利用してサイトを立ち上げるかによって大きく異なります。
ECモールに出店・出品する場合は、出店申請書の提出や審査、商品登録などを経て販売開始になるまで、数日〜数週間程度かかります。
自社ECサイトを構築する方法の中で、最も期間が短いのはASPカート型です。無料版ASPカートなら最短即日、有料版でも3日程度で簡易的なECサイトを構築することができます。
自社で開発を行うオープンソース型も、リソースを割くことができれば1ヵ月以内にECサイトを公開できるため、比較的早く商品・サービスの販売を始めることが可能です。
ベンダーとのやり取りが必要になるクラウド型・パッケージ型に関しては、3ヵ月以内がECサイトを構築できる目安となります。
ゼロからシステム開発を行うフルスクラッチに関しては、最低でも6ヵ月以上の期間を要し、多機能で大規模なECサイトを構築する場合は1年以上かかるケースもあります。
充実した機能とサイトデザインのオリジナリティを求めるほど、多くの構築期間を要すると考えておきましょう。
ECサイトのデザイン設計を成功させる秘訣
ECサイトのデザイン設計は、競合他社と差別化を図れる要素であり、独自性が高いとブランディングにも効果的です。
ここでは、ECサイトのデザイン設計を成功させる秘訣を分かりやすくご紹介します。
ブランドイメージを体現したデザインの採用
ECサイトは、ブランドイメージを表現する重要な役割を担っています。
事前にブランドイメージやコンセプトを明確化した上で、ECサイトのデザインに反映させ、独自の世界観を体現しましょう。
例えば、落ち着いたイメージのブランドであれば、シンプルで清潔感のあるデザインを採用するなどの工夫が必要です。
また、ECサイトだけではなく、他の自社メディアやSNSアカウントの世界観まで統一することで、ブランドの世界観を気に入ってくれるファンやリピーターの創出に繋がります。
スマホに最適化したコンテンツの配置
ECサイトの来訪者の多くがモバイルユーザーであるため、商品画像・各種ボタンなどのコンテンツの配置をデバイス毎に最適化しましょう。
レスポンシブデザインは必ず採用し、アクセスした端末に応じて商品の情報が見やすくなるような設計をします。
一画面に情報を詰め込みすぎず、フォントサイズの調整や余白の活用で、視認性の高いデザインにしましょう。
ユーザービリティを重視した動線設計
ユーザー目線に立って、ECサイトのアクセスからお気に入りの商品の検索、カートへの追加、商品の購入に至るまで購買行動をスムーズに行えるような設計をしましょう。
例えば、商品一覧ページにはフィルター機能を設置する、購入手続きにおけるフォームの入力を最小限に抑えるなどの対策を行います。
UI/UX設計にこだわり抜いたECサイトを構築することで、ストレスフリーな購買体験を提供でき、顧客獲得とリピート率の向上に繋がります。
ECプラットフォームの選定ポイント
ECサイトを構築する際は、まずはECプラットフォームを選定し、さらにコスト・機能充実度・セキュリティ・サポート体制などを比較しながら自社に最適なサービスを厳選します。
具体的にサービス選定時に、どのようなポイントに注目すべきかをご紹介します。
ECプラットフォームの形態
ECサイトを構築するためには、まずは利用するECプラットフォームの形態を以下から選定します。
ECモール
ASPカート
クラウド
パッケージ
オープンソース
フルスクラッチ
大きく分けると、自社ECサイトを持たずにECモールに出店して自社商品・サービスを販売する、またはECプラットフォームで自社ECサイトを構築するという選択肢があります。
ECモールを選択する場合は、テナント型かマーケットプレイス型かを把握し、出店方法や各種手数料などを細かくチェックしましょう。
ECモール以外で自社ECサイトを構築する場合、プログラマーやエンジニアの雇用、サーバーの調達、セキュリティ対策などが必要になるケースがあります。
自社のリソースだけで対応できない場合には、ECサイト制作代行会社に依頼することも検討しましょう。
コスト
ECサイトを構築する際には、サービス導入時に発生する初期費用に加えて、運用後に発生するコストを考慮して予算を組むことが大事です。
例えば、ASPカートやオープンソースを利用して無料でECサイトを構築した場合でも、運用においてクレジットカード決済料などが必ず発生します。また、運用中に追加したい機能があれば、サービスによってはオプション料金が発生することもあります。
複数社のサービスを比較しながら、初期費用に加えて、毎月どの程度の維持費が必要になるのかを事前に把握した上で選定しましょう。
機能充実度
ECサイトでは、自社商品・サービスの顧客が求める機能や、自社の業務フローに合わせた機能を備えることが重要です。
大きく分けると、商品を販売するためのフロントエンド機能と、受注・商品管理などを行うバックエンド機能に分けられます。
さらには、ポイントシステムやクーポン配布、レビュー投稿など、顧客ユーザーとのコミュニケーションを促進する機能も必要に応じて導入しましょう。
多機能を備え、カスタマイズ性にも優れたECサイトを構築したい場合には、クラウド型やパッケージ型がおすすめされます。
セキュリティ
クレジットカード情報などの個人情報を取り扱うECサイトでは、セキュリティ対策が欠かせません。
例えば、SSL/TLS証明書の導入による暗号化通信や、不正アクセスや第三者による攻撃から保護するファイアウォールの導入、パスワードの強化などは最低限必要となります。
ECプラットフォームを利用する場合は、システムの定期的な更新でセキュリティの脆弱性を修正することでリスクを低減できます。
ECプラットフォームによってセキュリティ対策の充実度が異なるため、複数社を比較しながら検討しましょう。
サポート体制
ECプラットフォームを提供するベンダーのサポート体制を比較する際は、どの領域まで対応できる体制なのかに注目しましょう。
例えば、サポート体制が充実しているベンダーでは、以下のようなサービスを提供しています。
カスタマーサポートの提供:電話・メール・チャット等、複数の連絡経路に対応
技術サポートの提供:トラブル・不具合等に対し、専門的な技術サポートを提供
アップデートの提供:定期的なアップデートの提供でシステムの最新性を保つ
セキュリティパッチの提供:システムの脆弱性を速やかに修正する
ドキュメンテーションの提供:操作方法やトラブルシューティング情報等の提供
自社にプログラマーやエンジニアなどの技術者がいない場合には、技術的なサポートまで網羅したサポート体制が整っているサービスを選びましょう。
自社に適したECサイト構築代行会社の見つけ方
自社にECサイト制作に関する専門知識を持った者がいない場合でも、ECサイト構築代行会社に依頼することで、クオリティの高いサイトを立ち上げられます。
ここでは、ECサイト構築代行会社の選定ポイントや依頼する際の注意点などを解説します。
ECサイト構築代行会社では、一般的に以下の業務代行を行なっています。
ECサイトのコンセプトの決定
サイトデザインの作成
ECサイトの構築
ECサイトのリニューアル
特定ページの強化・追加
ECサイトの保守・運用
ECコンサルティングサービスも提供している代行会社であれば、集客における課題抽出から施策立案・実行・レポーティング・改善案の提案までサポートしてもらえます。
代行会社を選定する際には、外注したい業務に対応できるのかに注目しましょう。
円滑なコミュニケーションを図れるか
自社の理想により近いECサイトを構築するには、代行会社の担当者と密なコミュニケーションが必要になります。
サービス導入前の問い合わせや商談の際に、担当者の対応の良さや誠実さ、コミュニケーション密度を確認しましょう。
サービス導入実績を確認する
複数のECサイト構築代行サービスから、自社に適した1社を選定する際には、サービスの導入実績にも注目しましょう。
具体的には、どのような業界・業種でのECサイト構築に長けているのかを確認し、導入事例なども参考にします。
自社と同じような事業規模・業態の企業の導入事例があれば、親和性の高いサービスだと判断できるでしょう。
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