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インボイスは海外発送に必須?インボイスの役割や書き方を徹底解説!

海外と貿易取引や商取引を行う際に必須となる書類の1つがインボイスです。
海外から商品を仕入れたり、海外へ商品を販売したりする仕事に携わるのであれば必ず触れる書類になるため、意味や種類、必要記載事項などは最低限知っておきましょう。

日本でも2023年10月からインボイス制度が始まりました。
税金をわかりやすく判別出来るように表記する目的は一緒ですが、ここで解説する海外発送に必要なインボイスとは用途や書式が異なります。
この記事では、海外発送におけるインボイスの役割や、種類と特徴、9つの必要記載事項、作成時の注意点について解説していきます。

この記事でわかること

  • 海外発送におけるインボイスの役割

  • インボイスの種類とそれぞれの特徴

  • インボイスの9つの必要記載事項

こんな方におすすめ

  • 海外と貿易取引や商取引を行う・関わる仕事に携わる方

  • インボイスの種類や特徴を理解したい

  • 海外発送におけるインボイスの役割についてくわしく知りたい




インボイスとは?海外発送における役割

まず、海外発送に必要なインボイスとは、海外に商品を送る際に必要となる書類の1つです。

  • 国際輸送を依頼する

  • EMSで発送する

  • 国際配達便(DHLやUPSなど)で発送する など

どの様な方法で発送する場合でも、必ずインボイスは必要になります。

国際発送をする際に、インボイスが必要となる理由としては、インボイスには主に4つの役割があるからです。

  • 明細書:輸出する商品名・材質・数量を記載

  • 請求書:商品代金を記載

  • 納品書:輸入者へ送る商品を記載

  • 運送書類:誰から誰へ送られたものなのか商品の流れを記載

国境をまたいで商品を運送する場合、どんな小さな物でも必ず通関が必要になります。通関とは、どんな物を・どれだけの量を・どれくらいの金額で・どこに贈るのかを税関に申請して許可を得る手続きを指します。

この通関の際に必要となる詳細な情報を書類にまとめた物がインボイスです。

輸入国側は、このインボイスをもとに商品代金の支払いを行う他、関税・地方消費税・消費税といった税金を納める必要があります。


インボイスの種類とそれぞれの特徴

インボイスには、用途などに併せて大きく以下の4つの種類に分かれています。

  • プロフォーマ・インボイス

  • コマーシャル・インボイス

  • ショッピング・インボイス

  • カスタムズ・インボイス

ここでは、それぞれの種類と特徴をくわしく解説していきます。

1. プロフォーマ・インボイス

まず、プロフォーマ・インボイスとは見積書の役割があり、プロフォーマ(Proforma)は「仮の」といった意味があります。

商品の売買が成立する前に商品の買い手に提供するのが、プロフォーマ・インボイスです。
あくまでの見積書で売買が成立する前に作成するため、価格などが変わってしまう可能性があるため、正式なインボイスとしては使用しません。

プロフォーマ・インボイスは次に紹介するコマーシャル・インボイスの発行に時間がかかる場合の仮書類として作成される場合が多いです。

2. コマーシャル・インボイス

コマーシャル・インボイスとは、請求書と同程度の意味があり、正式なインボイスです。
インボイスには、大きく4種類ありますがこちらが最も重要です。

コマーシャル・インボイスを元に買い手(輸入国側)が売り手(輸出国側)に対して支払いを行います。

請求書であり通関の税率計算にも使用されるのが、コマーシャル・インボイスです。
そのため、正確に記載する必要があります。

もし、こちらのインボイスの記載に不備やミスがあった場合は、修正申告や更正申告が必要です。場合によっては、修正に時間がかかってしまい予定通りの発送ができないかもしれません。

3. シッピング・インボイス

ショッピング・インボイスには納品書の役割があります。

出荷案内や積荷費用の請求のための代金請求書として使われる場合もありますが、使用頻度はあまり高くありません。基本的には納品書として扱われ、正式な申告には使用できません。

4. カスタムズ・インボイス

カスタムズ・インボイスは税関に対して作成する書類で、課税価格を決定する際に必要です。

多くの場合は、ショッピング・インボイスで代用もできます。しかし、以下の国に輸入する際には注意が必要です。

  • イギリス

  • オーストラリア

  • カナダ

  • ニュージーランド

  • 南アフリカ など

上記のような一部の国に輸入する際には、ショッピング・インボイスの代用が認められず必ずカスタムズ・インボイスを用意する必要があります。


インボイスの必要記載事項

インボイスの書類には正式なフォーマットなどはありません。

必要記載事項さえきちんと記載されていれば、自作も可能です。インボイスの記載には、一定のルールがあり、不備があると修正などに時間がかかり予定通りの輸出が出来なくなります。

ここでは、インボイスの必要記載事項を以下の9つに分けて解説します。

  1. 差出人氏名・住所・電話番号

  2. 受取人氏名・住所・電話番号

  3. インボイス作成日・作成地

  4. 小包ラベル番号 or はEMSラベル番号

  5. 発送手段(「EMS」「International Mail」など)

  6. 品名・正味重量・数量・単価・合計額

  7. 通貨(JPY USDなど)

  8. 総個数・総重量・原産国名

  9. 署名

インボイスを作成する際には、ぜひ参考にしてください。

①差出人氏名・住所・電話番号

まずは、荷物を送る側でありインボイスの作成者である差出人の情報です。

  • 氏名(Name)

  • 住所(Address)

  • 国名(Country)

  • 電話番号(Tel)

  • FAX番号(Fax)

もし、会社として荷物を送る場合は、氏名以外に社名と部署名、担当者名も記入し、最近はFAX番号ではなくメールアドレスを記入する場合もあります。

ここで記載する住所は、日本記名の都道府県から始まり最後に番地を記載する形ではなく、海外で使われている番地から始まり最後に都道府県を記載するようにしてください。

使用する言語に関しても、日本語ではなく基本は英語を使用し、可能であれば受取人の国の言語を使用する必要があります。

②受取人氏名・住所・電話番号

次に荷物を受け取る側である受取人の情報です。

  • 氏名(Name)

  • 住所(Address)

  • 国名(Country)

  • 電話番号(Tel)

  • 納税番号

基本的には、差出人の情報と同じです。受取人側の情報でも、会社へ荷物を送る場合には社名や部署名、担当者名を記入してください。

また、FAX番号ではなくメールアドレスでも可能です。

こちらに記載する住所も日本様式での書き方ではなく海外様式を採用し、言語に関しても基本は英語を使用し、可能であれば受取人の国の言語を使用してください。

③インボイス作成日・作成地

インボイスを作成した年月日と作成地(国名)を記載する必要があります。

もし、2023年12月18日に日本でインボイスを作成した際には、作成日を「Dec 18, 2023」、作成地を「Japan」と記載します。

例として英語で記載しましたが、英語ではなく受取人の国の言語でも構いません。

④小包ラベル番号 or EMSラベル番号

小包ラベルやEMSラベルに記載された番号を記入します。小包とEMSは輸送の料金・日数・関税でのチェックなどに違いがあります。

小包とは、国際小包のことで船便・SAL便、航空便といった送り方があり、この3つの中で最も遅いのが船便、最も早いのが航空便です。

SAL便は船便と航空便の間で、料金は航空便⇒SAL便⇒船便の順で安くなっていきます。

EMSは、複数ある国際郵便サービスのなかでも最も早く届き、補償サービスも充実しています。しかし、その分料金は高いです。

⑤発送手段(「EMS」「International Mail」など)

発送手段は、先ほどの「小包ラベル番号 or EMSラベル番号」でも触れた、国際小包やEMSなどの荷物をどの様に送るのかを記載します。

  • 国際小包:Parcel Post

  • EMS:EMS

  • その他:International Mail

それぞれ上記のように記入しましょう。

⑥品名・正味重量・数量・単価・合計額

送る品についてもかなり詳しく記載する必要があります。

品名は、小さな物でも必ず記載し商品名ではなく誰でもわかるように一般的な名詞で記入してください。

正味重量とは、包装や梱包を含まない物品自体の重さであり、例えば箱に入ったパソコンの正味重量は、箱を除いたパソコンのみの重さです。単位はkgを採用しましょう。

数量は品目ごとの終了を記載するため、品目が多い場合や複数を送る場合は間違いやすい部分のため、注意してください。

単価には品目ごとに記載し、日本円で記載する場合には、日本円で記載していると分かるように「JPY」と記載しましょう。

合計額は、数量×単価で計算した金額を品目ごとに記載してください。最後には、品目ごとの合計額を合算した総合計を記載します。

⑦通貨(JPY USDなど)

取引に使用する通貨を記載しますが、日本円では「JPY」、米ドルであれば「USD」とします。

良く¥や$を見かけるかもしれませんが、似た物があり間違ってしまう可能性があるため使用しないようにしてください。

⑧総個数・総重量・原産国名

総個数は品目関係なく輸送するものの全ての個数で、総重量は梱包材なども含めた梱包後の総重量を記載します。

原産国名では、製品の原産国を記載し、この情報は貿易統計や関税率の決定などに利用されます。ただ、原産国名の注意点としては、国によって原産地証明書の添付が必要になるかもしれません

原産地証明書は、必ず手元に保管しておきましょう。

⑨署名

ここまで紹介した①〜⑧はパソコンで作成し、印刷したものでも問題ありませんが署名部分に関してはインボイス作成者の実筆が求められる場合が多いです。

一部の国によっては、コピーでも認められる場合もあります。押印は不要です。


インボイス作成の際の注意点

インボイス作成の際には大きく2つの注意点があります。

  • 送り先で使用される言語で作成する

  • 輸出入国の規則に従う

それぞれ、くわしく解説していきます。

1. 送り先で使用される言語で作成する

インボイスを作成する言語は、送り先で使用される言語を使って作成しましょう。

日本でインボイスを作成する場合でも、日本語で作成すると書類の不備として扱われてしまう可能性があります。

送り先で使用される言語が分からない場合は、英語もしくはフランス語を使用すれば問題ありません。

2. 輸出入国の規則に従う

インボイスはある程度、どの国でも規則がある程度統一されています。

ただ、国によって多少規則が違う場合があり、基本的には原則輸出入国の規則に従うことになります。

例えば、先ほども紹介したイギリスやオーストラリアなどの一部の国に輸入する際には、ショッピング・インボイスの代用が認められない点などです。

国際郵便にはそもそも花火やライターなどの危険物や動物などの生き物、違法薬物など万国共通で輸送できないものがあります。

それ以外にも、国によって輸送ができない、特別な許可が必要なものがあります。

  • アメリカ:食品類(輸入の管理強化)

  • 中国:ワイン・宝石類 など

これらはインボイスをしっかりと記載していても、輸送はできません。

輸送する際には、必ず万国共通の規則だけではなく輸出入国特有の規則はないのか、規則を犯していないのかなどはしっかりと確認しておきましょう。


海外発送や越境ECに必須のインボイス

荷物を海外へ輸送する方法は日本郵便のEMSや越境ECなどさまざまです。

越境ECとは、書類作成や梱包・発送・出荷通知の送信などさまざまな業務の代行をしてくれるサービスです。

越境ECを利用する際には、問い合わせの返答が早いか、現地の言葉で対応できるか、料金面などさまざまな点に注目してみましょう。

海外発送や越境ECなど、どの輸送方法でもインボイスは必ず必要です。

インボイスの書類面などで修正があった場合、予定通り荷物の配送ができない可能性があります。

予定通りに相手に荷物を届けたいと思う場合は、海外発送に慣れている実績のある代行業者を選ぶことが大切です。

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