見出し画像

コムラボ 10周年対談(3) これから地域に関わりたい人へ伝えたいこと

設立から10年を迎えた特定非営利活動法人コムラボ(以下、コムラボ)。マチノテスタッフ村上が役員3人へ「コムラボ的ものの見方」を探るインタビュー第3弾です。(第2弾はこちら

登場人物:
・山田雅俊(代表理事、創業者、足利市出身)
・増子春香(理事、創業者、足利市出身)
・出村哲朗(理事、2012年に加入、富山県出身)
・村上香純(マチノテスタッフ、足利経済新聞記者、秋田県出身)

今回のテーマは「これから地域に関わる人へ伝えたいこと」。

山田さんは「今は、いかに負けないかの時代」と話します。地域に関わる人にとってどのようなものが武器となるのか、成長スピードが緩やかな地方でも自身を成長させ続けるにはどうしたら良いのかを中心にお話を伺います。コムラボが地域へ関わるための考え方とは。

地域に関わりたいなら専門性という「武器」を身につけるべき

村上:「好き」の主観で地域活性に取り組まない方がいいと前回のインタビューでお伺いしましたが、「地域が大好き!」という想いを持つ方と共に活動することは可能でしょうか。

山田:無理。

村上:即答でしたね。

一同:(笑)

増子:私は無理とは思いません。ただ、意識改革が必要かなと。地域に使い潰されるという話もしましたが、「好き」の想いだけで活動し続けるのは無理があります。入り口を間違えると出口が早いですよ。

村上:どういうことでしょうか。

増子:地域は常に人材不足です。「やりたい」と一度手をあげたら、「これもあれもお願い」と負担がどんどん大きくなり、地域に使い潰されてしまいます。最終的には地域を嫌いになり、関わることを辞めてしまう。関わり方を間違えると長くは続かず、かえって関わることで関わりを絶つ日を早めてしまいます。

村上:予期せぬ終わりを迎えるのは悲しいですね。将来地域に関わりたいという人は今後どのように関わっていくべきなのでしょうか。

山田:私が「まちづくりを仕事にしたい」という若者から相談を受けたら「東京の会社で5年くらい働いてから考えた方がいい」と助言します。専門的な知識や技術を身につけていない状態で地元へ帰ってきても、それこそ地域に使い潰されて捨てられるだけだと思います。

村上:なぜ専門性のある知識や技術を身につけるべきだとお考えですか?

山田:専門的な知識や技術は自分を守るための武器になります。地域の人に比べて技術と知識を身につけておけば、ある分野においては「やるべきか」「やらないべきか」「どうするべきか」など自分で判断できます。

村上:自身で判断できる分野があれば強いですね。専門性という武器を身につけた後、地元へどう生かしていけばよいのでしょうか。どのような関わり方をするべきか悩む方もいらっしゃると思うのですが。

増子:他の地域を知ると、地元に足りない部分や要素は自ずと見えてくるはずです。それを糸口にアプローチを考えると、関わり方も決まっていくと思いますよ。

地方で成長機会を得る鍵は「情報収集」と「ほかの地域とのつながり」

村上:専門性を持っていても地域で活動を長く続けると、東京で働くよりも成長機会が少ないイメージがあります。東京と比較すると地方は情報も物事の進み方もスピード感が異なります。地域に住み、働くからこそ意識していることはありますか。

増子:外を見続けることですね。読書や情報収集は日頃から意識していますが、地域だけに目を向けるのではなく、常に広い視野で捉える視点を大切にしています。

山田:本の話がありましたが、マチノテの本棚は、「コムラボ役員文庫」です。蔵書の多くは、私と増子さんが読んだ本やマチノテへ来る人に読んで欲しいと思った本があります。足利には専門書店がなく「本との出会い」がなかなかありません。マチノテはそういった出会いがある場としても運営しています。

村上:出村さんはいかがですか。

出村:私も本を読む時間は以前より増えました。様々な見地の本に触れると、コムラボの悩みや気付きは時代や地域に関わらず存在すると一種の悟りを開いた今日この頃です。(笑)

山田:私は地域に必要以上に関わらないこと、馴れ合いはしないことですね。足利以外に住む人とのつながりを持ち、積極的に関わる姿勢も意識しています。もちろん増子さんや出村さんが話した情報収集も1日1時間以上は行っていますね。

地域の基本戦略は「いかに負けないか」でしかない

村上:これまで挙げたもの以外に何か伝えたいことはありますか。

山田:一つ、心に留めて欲しいことがあります。少子高齢率や人口減少など、統計データを見ると、地域が抱える課題は悪化する一方です。グラフが上昇することを期待するのは、現実的ではありません。地域活性の関わりはこのグラフの下がり方を「いかに緩やかにするか」でしかないのです。

村上:切ないです。

山田:そうですね。今は「いかに負けないか」という時代です。昭和の価値観が「常勝」だとするなら、令和は「不敗」だと思います。時代が変わったのだと意識する必要があります。これからは「地域おこし」ではなく「地域のこし」です。

これからの自治体は平成の大合併にみられる規模拡大・行政効率化というより、地域を残すために市町村合併が行われる時代になると思います。足利市は来年市制100周年ですが、このままいったら200年どころか150年目もないです。

村上:目を逸せない問題でもありますね。

山田:上の世代からの負の連鎖を私たちの世代で止めたいと思っています。起業創業で使われる言葉で「ゼロイチ(0→1)」があります。実際の地域は「ゼロ」ではなく「マイナス」です。だからこそ若者は地域から追い出されるように東京へ行きます。

コムラボはこれから未来を担う若者や子どもたちが何かをはじめる時、ハンディキャップがない「ゼロ」からスタートできる地域作りを目指しています。

10年の活動を通して得られたものは「多面的視点」

村上:これまで10年間、地域に関わる活動を続けたことでコムラボの活動以外に良い影響を感じる機会はありましたか。

出村:私は本業の考え方に変化がありました。会社の事業を営利目的だけでなく、社会的な意義としても捉えるようになりました。持続可能な社会を作るための取り組みは何が必要なのかと考える機会が増えました。また、コムラボでの出会いをきっかけに本業で良いこともありました。そういったマインドや出会いのチャンスは、コムラボとして活動を続けたおかげだと思っています。

村上:増子さん、山田さんはいかがでしょう。

増子:コムラボとして活動を続けてからは、常に考え続けるクセがさらに強くなりましたね。今までは本業のみで物事を捉えていましたが、今は多面的に捉えることができています。コムラボの活動を通して経験したことが後に「こういうことだったのか」と気付きを得ることもありました。

山田:私も視野が広がり、視点が増えました。10年前は1枚だった名刺が7枚に。社会に何人も自分がいるような感覚は面白いです。一般的には名刺は1枚です。複数の名刺を持って活動すると経験値の入り方も経験の質も明らかに違います。

村上:物の見方、捉え方が大きく変わったことがみなさんの共通点ですね。複数のことに取り組むメリットが見えた気がします。

インタビュー第3弾までは、コムラボの「立ち上げから考え方」を中心にお送りしました。

次回のテーマは「地域におけるサードプレイスの価値」です。「マチノテ」が目指す新しい地域の価値づくりとは。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

よろしければサポートをお願いします。お預かりしたお金は、コムラボの活動に使わせていただきます!

7
栃木県足利市を中心に『地域の新しい「やりたい」を「できる」に変える』をミッションに掲げ活動する非営利団体です。#足利エール飯、カフェ&シェアオフィス「マチノテ」、足利経済新聞、あしかがのこと。などを運営しています。 https://www.com-labo.com/

こちらでもピックアップされています

コムラボ 10周年対談
コムラボ 10周年対談
  • 4本

2020年、栃木県足利市を中心に活動するNPO法人コムラボが10周年を迎えました。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。