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心理系大学院志望校はどう選ぶ?②

 今回は河合塾KALSが毎年無料で発行している「大学院入試ガイド」について見ていきたい。

合格後もなぜか欲しくなる

 各校の詳細は、各校のHPで見るのが一番詳しいし正確であるのは当然だが、この大学院のHPというのがどこも見やすいとは言えない。大学に関する情報提供とは豊富な反面、大学院の情報提供となると不親切な学校が多い。試しに下記のサイトから、いくつかの大学院で、過去問や臨床心理専攻の合格者数を調べてみて欲しい。恐らく苦労するのではないか。

 そのため、志望校が決まっている方を除き、自分の欲しい情報を各校のHPでいちいち探すとなると結構大変で時間がかかる。なので、まずはこの河合塾KALSのガイドでいくつかの大学院の情報を見比べてみることをお薦めする。

概要は左ページに
学校の特長や教授の専門が右ページに

臨床心理士対応をしない大学院が増加 

 大学院名の左側に「公認」「臨1」とあるが、ここは注意したい。「公認」マークは、修了すれば公認心理師試験の受験資格が得られるということ(公認心理師受験資格については:https://naruniha.com/blog/20221110/161/)。これはほぼすべての大学院にある。「臨1」は臨床心理士試験の受験資格が得られ、「臨2」は修了後に1年間の現場経験が必要になる学校ということ。(詳細は:https://karu-keru.com/info/job/cp/clinical-psychologist-graduate-school
注視すべきは、ここ数年、臨床心理士指定をはずして公認心理師対応だけにする大学院が増えてきていることだ。
心理学部を出ていない社会人は、臨床心理士指定校を出れば臨床心理士の受験資格を得られる。ただ、この指定校が少しずつ減少しているということは、心理職を志望する社会人が行ける大学院が今後限られてくる可能性が出てきた。志望校としていた大学院が、急に指定校をはずすなんてことがあったら大変だ。

募集人数と倍率の内状

 大学院名の右側に募集人数と倍率がある。そこで大学院の規模がわかる。5人以下のところもあれば、30人以上というところもある。合格者数も年によって異なる(一定の基準以上でない場合は、定員のために無理に合格させない、と聞いた)。秋入試(9月頃)と春入試(2月頃)の2回実施するところは二つに分けて合格者数を書いている。
 なお、内部進学制度があるところは、合格者のうち半分以上が内部進学になる可能性がある。ある大学院では、秋試験が内部進学生と一緒の試験だった。特に公認心理師が国家資格として制定以降、心理学部の人気が上がり、院進する学部生も増えたとある相談会で聞いた。そうなると公表数字の倍率より外部受験者の実質倍率はかなり高くなるから注意だ。

 試験科目は大半が英語(辞書持込可が多いが調べる時間はあまりない)、専門科目(心理学・臨床心理学)、面接で、一部小論文がある。時間配分は結構異なる。試験時間や小論文の文字数は、後で過去問を勉強する際に重要な指標となる。

 入試日程は、記載は前年度の例だが、おおよそ同じ時期にあると思って、事前に試験日程を想定しておく。平日の場合もあるから社会人は要注意だ(特に二次面接)。

 学費はどこもだいたい初年度で¥100万前後。国立で¥80万くらい、桜美林は¥150万くらいと開きがある。

社会人にとって有効な長期履修制度

 長期履修制度は、2年で修了せず3年で修了させてくれる制度で、出願時に申し込むところが多い。家庭や仕事を持つ社会人にとっては、無理せず修学できるのがメリットだが、学費が余計にかかったり、臨床心理専攻では、長期履修制度を取らないところも多い。

 研究室訪問については下記参照。

 オープンキャンパス(相談会)については下記参照。

過去問は無料なのでたくさん申し込む

 過去問題の閲覧については、学校によってまちまち。HP上で過去10年分以上開示している東洋英和女学院のようなところもあれば、メールで申し込むとパスワードを送ってくれるところ、郵送申込みするところ、学校に行かないともらえないところなど。また、最新年度版のみの場合も、3年分もらえるところもあれば、模範解答付のところもある。ただ基本的には無料なので、受験の如何を問わず入手することをお薦めする(予備校には期待するほどなかったり、あっても古かったりする)。

教員リストで目星をつける

 公認心理師や臨床心理士の試験合格率の出し方が学校によってかなり異なる。最終的に資格取得を目指す私たちにとって、合格率は重要情報だが、100%を誇るところもあれば、ぼかした書き方をしている学校も多い。ここは相談会で確認したいポイントだ。

 教員リストは、自分の関心領域の教授がいるかどうかの判断材料になる。しかしここでは大変おおまかな専門領域しか書かれていないので、まずはざっくり目星をつけて、詳細は各大学院の教員プロフィールなどのページで確認したい。できれば興味を持った教授の論文をGoogle Scholarなどで検索してみると、自分の関心領域とのマッチングができるはずだ。
 例えば、上記のガイドに掲載されている大正大学の青木聡先生を大学の教員プロフィールとGoogle Scholarで検索してみた。ここまで調べてみると、この教授に指導を受けたいかが見えてきて、志望校選びの指標になるはずだ。


 



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