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供養:僕の体験した怖い話 #1

今まで他の名義で書いていたブログを畳むことにしたので
(改名してリサイクルすることにしたので)
個人的に、消したくない記事を移動するやつ

* * *

ブログを『半生怪談』と名付けたので怪談らしい話をしようと思う。
(といっても僕はこれまで生きてきて、ほとんど心霊体験をしたことがない)

成人してから体験した、ちょっとだけ怖い話。

4年前、2017年の12月 某ミュージカル企画の体験会へ参加するために、相方と隣県に出かけた時の話。前日から泊りがけで(前乗りして)きていた我々はその日、日中はその体験会に参加し、夕方は市内の観光施設で買い物、夜は同県内の大型ショッピングモールで夕飯を食べて過ごした。
帰りは深夜をまたぎつつドライブをした。そのドライブ中の出来事である。

山道を行く途中で、道の駅のような場所に立ち寄った。車で長い距離を移動する人たちのためだろう、こういう場所はたいてい自動販売機とトイレの明かりはついている。トイレのある建物が、出入りだけできるようになっていて周りの窓口らしいものや、売店などは全てクローズしていた。(それはそう)

用を済ませてそこを出ようとした時、建物内のベンチやテーブルに“使用禁止”の表示がついているのがなんだか気になった。まさか日中にも、ベンチやテーブルが使えないということはないだろう。
(たぶん)夜に出す表示なんだろうなと思った。

他の道の駅などでは、夜遅くに立ち寄ってもそういった表示を見ることがなかったので珍しく感じた。
車に戻り、また深夜の山道を走り始めた。
運転しながら僕は、さっき見た表示について助手席にいる相方に聞いた。

「さっきのさ、なんで使えないようにしてるんだろうね」
「何が」
「あの、休憩スペース。使えないようになってたじゃん」
「あぁ…何でだろうね。(夜に)使われても困るんじゃないの」
「そっか。入り込んじゃうもんね」

僕がそう言った瞬間、車内に冷たくて変な空気が入ってきた。
僕と相方は、全く同じものを感じていたと思う。
絶対、今なんか車の中に入ってきた。

窓は開いていなかったと思う。たぶん。エアコンの故障とも思えなかった。暗い静かな山道を走り続ける。
時計を見たら、2時か3時前くらいだった気がする。

外が明るくなるのって4時くらいかな、7時には家に帰れるかなって、黙って考えていた。
二人で無言になって、どれくらい経ったか。三十分も経っていないと思う。

小さな寂れた商店が見え、踏切が見え、周囲が人里めいてきたあたりで
どちらともなく話し始めた。

さっきさぁ、やばかったよね。あれ絶対、なんかいたよね。
なんで入り込むとか言ったの。
違うの、そういうつもりじゃなくて…なんか、ホームレスとか?
住むところがない人とか動物とか、何かが居ついちゃうとか、それで
そのまま棲みついちゃっても良くないよね…みたいな意味で
言いたかったの。
居「ついちゃう」とか、「棲みつく」とかもヤバくない?
なんで、ああいう言い方したのかは分かんない。
分かんないけど口に出してすぐ「あ、マズい」って思ったよ。

・・・そんなことを言いながら、窓を全開にして車内の空気を入れ替えた。

窓を開けた時に入ってきた外の空気は、そんなに冷たくなかった。

だから、いくら山の中とはいえ、さっき感じた冷たさは
やっぱり変だったんじゃないかと思った。

それだけ。

その後 何事もなく朝には家に帰ったし。
何かを連れて帰ってきたような気配もない。

おいしいものを食べたいと思います。あとは、本を買います。