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♯260 家で死ぬということ

元書店員のフミオです。
久しぶりの本の紹介です。
今日ご紹介する一冊は、石川結貴著 文藝春秋
「家で死ぬとういこと」~ひとり暮らしの親を看取るまで~
【目次】
第1章 看取りのはじまり 
第2章 介護保険が打ち切られた 
第3章 コロナ禍の葛藤
第4章 父と娘の終末期
第5章 臨終まで
第6章 看取り後の気づき

介護関係の書籍をこれまで、読んできました。正直、どれもリアルで「確かに」と介護する家族の気持ちの視点か、介護・医療サービスを提供する視点のどちらか。どの作品も「確かに」と感じる内容です。

しかし、著者の石川結貴さんが教育問題・児童虐待のジャーナリストをされて豊富な経験をされてきているためか、嫁・母・ジャーナリスト・娘・介護する人・家族の一人など著者が自分のいろいろな姿と向き合い考えていく姿が丹念に描かれた介護保険のリアルが詰まる、さらに、介護の深淵を覗ける一冊です。

■元書店員が熱くなったポイント
 石川結貴さんの父上の一人暮らしになり、娘に介護してもらいながら「家で死ぬということ」を貫こうとする気持ち「覚悟の意味」(生きて来きた価値観、妻への思い、息子への思い、娘への思い、辛さ)が読み進めるうちに紐解かれていきます。

いつしか介護の大変さから著者の大変さに寄り添いたいから、父上と娘さんへ寄り添う自分に変化していくこと。そして、難病を患う息子さんの姿とその奥さんの心に刺さる言葉があります。(著者が意図して載せたのか興味深いくだりがまります。)私以外に読んだ方がどのように、感じるのか?

この1冊には、ただの登場人物いないです、すべの登場人物に意味があり、いろいろなことをイメージすることができます。そして、考えさせられます。

■相談援助職としてのポイント
 どんな介護保険について書いてある1冊より、介護とそのために介護保険と向き合うキーパーソンのことがリアル過ぎて仕方がないです。その点でいくと私も介護・医療のリアルを経験していたせいかもしれません。

ただ、相談援助職として読んで欲しいのは、リアルさ故にこの1冊に登場する関係機関、地域、専門職、親戚、家族の「関わり」から見えるそれぞれのポジションニングです。(登場人物への態度やことば・・距離感など)

その中で、「在宅」「在宅」と私も在宅復帰をゴリゴリに進めてきました。考え尽くせるだけ、考え尽くしてこれまでも来ました。しかし、尽くしてきれることはない!と改めて思いました。

・専門職は、専門職であるが故に気づけない、配慮がないことも

・介護することは、介護の中身よりその周辺にこそ些細な問題から大きな問題があってなかなかイメージ尽くせないこと!

■今日のnote
 ただ在宅介護か、施設介護かの二択でなく、家族がいろいろな向き合い方をそれぞれに行動する姿、父親と娘たちとその関係する人の複雑さの姿が正解なんだろうということ。

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