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サッカーにおけるケガ①J2チーム

こんにちは!

理学療法士の小室です!


今回のシリーズ記事では、「サッカーにおけるケガ」についての記事を作成していきたいと思います!

プロサッカーチームにおけるケガです!

今回は第①弾としてJ2チームについてです!!


皆さんもゲガのニュースを聞くことが多くあるのではないでしょうか。

実際のプロチームにおいてどのようなケガが多いのでしょうか?


私達、理学療法士(PT)やトレーナー等のメディカルスタッフが競技特性に基づくケガをしっかり理解しておくことは重要だと思います!


①J2チームの4年間


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目良 1) らによるJ 2 に所属の某チームに在籍する選手を対象とした障害調査


対象は2010 年 23 名、2011 年 25 名、2012 年 27 名、2013 年 25 名の合計100 名

除外基準は、シーズン途中での加入や離脱・強化指定選手などそれぞれのシーズンにおいて 1 年を通してフルで活動できない選手


障害と復帰の定義

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⇒障害や復帰の定義はしっかりと共有していくといいですね!

言葉の定義をしておくことで、ミスコニュニケーションが防げます!


復帰については2日以上参加できる状態ですね。

1日フルで参加できなかった場合、2日目に痛みや違和感が出る可能性も十分に考えられます!!


全障害数

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3日以内のものを「minimal」、 4~7 日以内の「mild」、 8~28 日以内の 「moderate」、28 日以上の「severe」と定義しています!

こうして4年間の傷害数を見てみると、年によって障害の件数ケガの程度(離脱期間)にバラツキがあります!


自チームの状況だけでなく、天気や気温、スタジアムの状態、対戦相手等の沢山の環境に選手は適応しパフォーマンスをしています!

特にJ2では試合数の多さから、「試合間隔の短さ」もあります。

また、「移動の負担」も考えなければなりません。

J1は18チームで大都市や関東近辺が多いと思いますが、J2は22チームあり、大都市も少ないし、移動が大変だと予想できます!


障害発生率

次に各年の練習と試合における障害発生率についてです!

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試合での傷害発生率は、数年間のデータでは練習に比べ約 3.6 倍も高い確率でした!!

各年で見てみると、2010年は 2.3 倍、2011年は 3.2 倍、2012年は5.2 倍、2013 年は4.2 倍となっていました!


これは練習と比較して、試合の強度が高いことやコンタクト等が関係していると考えます!

特に試合ではケガのリスク、ケガの可能性について頭の中に入れておく必要がありますね!


練習・試合における離脱期間

次は、練習・試合における離脱期間についてです!

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試合でのケガのほうが、離脱期間が長いイメージがあります!

しかし、この4年間のデータでは有意差が出る結果ではありませんでしたが、練習の離脱期間が長い結果となりました!


各年で見てみると2012年では練習の離脱期間、2013年は試合の離脱期間がそれぞれ有意差が出る結果となりました!


個人的に気になるのは、プレシーズンの練習時にケガが起こったのか、アウェイの長距離移動後の練習にケガが起こったのか、シーズン終盤の練習にケガが起きたのかというところです!

つまり、「シーズンを通してどの時期にケガが起こるのか」、どこかのタイミングで調べてみたいと考えています!!


コンタクトと離脱期間

次にコンタクトと離脱期間についてです!

イメージでは、コンタクトがあったほうが離脱期間が長いイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?


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イメージとは違い、コンタクトなしのほうが3倍程度多いケガの数です!!

しかも、有意差はないもののコンタクトなしのケガの方がより離脱期間が長いという結果となりました!!


この結果からは、ノンコンタクト(コンタクトなし、接触なし)のケガが何が該当するかはわかりません。

気になるのは、どの部位でのケガがノンコンタクトで起きているかですね!

ただ、膝の靭帯損傷やハムストリングスの肉離れ等がノンコンタクトで起きていることが予想できます!


ケガの場所(障害部位)

次にケガの場所、つまり障害部位についてです!

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傷害部位では、大腿部が最も高く37件(23.9%)、ついで膝関節27件(17.4%)、足関節26 件(16.8%)の結果となりました!

また、全件数155 件のうち下肢傷害が133 件であり、全体のうち下肢障害が85.8% という結果でした!


下肢に傷害が集中することは、サッカー競技における傷害部位の特徴だと考えれられます!

他のカテゴリーや大会、年代等の障害部位の特徴も気になりますね!!


障害種別

次に障害種別についてです!

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傷害発生率で最も高いのは肉離れであり、ついで捻挫、打撲と続きました!

自分のイメージよりもオーバーユースや腰痛が多い印象でした!


メディカルスタッフとして、肉離れや捻挫の予防プログラムの実施や治療に対する知識を高める必要があるなと感じました!


J2チームの4年間まとめ

最後にまとめです!!


年によって障害の件数ケガの程度(離脱期間)にバラツキがある!

 ⇒自チームの障害件数と離脱機関の把握で予防を行える!


②試合での傷害発生率は、練習に比べ約 3.6 倍も高い確率!

練習の離脱期間が長い

  ⇒練習のケガに対する対応策を考える必要!

コンタクトなしのほうが3倍程度多いケガの数!

 コンタクトなしのケガの方がより離脱期間が長い

傷害部位では、大腿部が最も高く障害の23.9%

⑥傷害発生率で最も高いのは肉離れであり、ついで捻挫、打撲


読んで頂きありがとうございました!!

自分のイメージと異なる点がありました!


皆さんの気づきや発見に繋がれば嬉しいです!!

ありがとうございました!!


引用文献

1)目良寛巳ら、プロサッカーチームを対象とした4 年間における傷害調査

 日本臨床スポーツ医学会誌 24(4): S291-S291, 2016.


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