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kanamori
2017年11月12日 03:04
2016年12月1日 19:22
君を追いかけていた。群青の空を眺めている、近くて遠い君を。夜の歩道橋、遠くには煌びやかな街のネオン。そっと手を伸ばしても、この手は届かない。手すりから身を乗り出して、道ゆく車をただ眺めていた。知る限りでは君は甘党で、苦いコーヒーも缶ビールも好きじゃない。飲んでいるのは決まって糖分の塊の炭酸飲料か、アルコールといえば缶酎ハイ。一緒に出かけたある日、適当に通りかかったカフェで甘いケーキと甘い
2016年4月3日 20:06
人生は箱庭である。この街も、学校の教室も、スマートフォンの中でさえも。人は常に何かに囚われながら生きている。まるで堅牢な壁に囲まれた世界。そんな自由のない息苦しさに耐えきれなくなって、仕事を辞めた。もうあの意地悪上司に悪態をつかれることもなければ、意味のない残業に苦しむこともない。毎日朝早く起きなくてもよくなって、暇と思える時間が増えた。植物を育ててみる。毎朝、適度な水をやる。
2016年3月30日 19:24
君はいつでも生きるのが上手くない。そんなところが好きになったといえば、間違いではないのだけれど。僕だって生きるのが上手くない。落ち込んでは何度もホームに足を向けていた。君と出会う前は。それは晴天のある日。花屋の店先に並ぶ数多くの花たちを、恨めしげに眺めていた時、その花にも負けない笑顔を向けてくれたのが、君だった。一目惚れというのは、こういうのを言うんだな、そう感じた。というか、その笑顔に