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優しい時間

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日常にありふれたどうしようもない葛藤の話
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#ショートストーリー

君と群青。

君と群青。

君を追いかけていた。群青の空を眺めている、近くて遠い君を。

夜の歩道橋、遠くには煌びやかな街のネオン。そっと手を伸ばしても、この手は届かない。手すりから身を乗り出して、道ゆく車をただ眺めていた。

知る限りでは君は甘党で、苦いコーヒーも缶ビールも好きじゃない。飲んでいるのは決まって糖分の塊の炭酸飲料か、アルコールといえば缶酎ハイ。
一緒に出かけたある日、適当に通りかかったカフェで甘いケーキと甘い

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箱庭

箱庭

人生は箱庭である。この街も、学校の教室も、スマートフォンの中でさえも。

人は常に何かに囚われながら生きている。まるで堅牢な壁に囲まれた世界。

そんな自由のない息苦しさに耐えきれなくなって、仕事を辞めた。もうあの意地悪上司に悪態をつかれることもなければ、意味のない残業に苦しむこともない。

毎日朝早く起きなくてもよくなって、暇と思える時間が増えた。

植物を育ててみる。毎朝、適度な水をやる。

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僕の隣に。

僕の隣に。

君はいつでも生きるのが上手くない。
そんなところが好きになったといえば、間違いではないのだけれど。
僕だって生きるのが上手くない。落ち込んでは何度もホームに足を向けていた。君と出会う前
は。

それは晴天のある日。花屋の店先に並ぶ数多くの花たちを、恨めしげに眺めていた時、その花にも負けない笑顔を向けてくれたのが、君だった。一目惚れというのは、こういうのを言うんだな、そう感じた。というか、その笑顔に

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