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コーヒー豆の選び方。生産処理方式について②

コーヒーのことをマニアックに語っていくシリーズです!プロ向けの内容ですが、知っておくと豆選びが楽しくなります。

コーヒー豆はコーヒーノキという樹木に果実がなり、その果実から種を取り出し処理することでコーヒーの生豆となります。この工程は生産処理方式と呼ばれ、いくつか方法があります。そのうち代表的なものが4つあり、前回の記事でウォッシュドとナチュラルという方法を紹介させていただきました。

今回は残りの2種類。パルプド・ナチュラルとスマトラ式をご紹介したいと思います。

パルプド・ナチュラル

パルプド・ナチュラルはブラジルで生まれた方法です。ブラジルの豆の名前に「パルプドナチュラル」や「PN」と書かれていたら間違いなくこの処理方式によっていますので、是非探してみてくださいね!

前回のおさらいですが、ウォッシュドはすっきりクリアな風味、ナチュラルは個性的でフルーティな甘い風味(でも雑味もありがち・・・)となります。その良いトコ取りをしたのが、このパルプド・ナチュラル。

具体的な方法ですが、ウォッシュドは実から種子を取り出し、種子の周りについたネトネトのミューシレージを除去した後に乾燥させていました。それに対しナチュラルは果実のまま乾燥させます。

パルプド・ナチュラルは、実から種子を取り出すところまではウォッシュドと同様ですが、ミューシレージ(ネトネト)がついた状態で乾燥させます。ミューシレージには糖質が多く含まれており、甘い香りが豆に移るのが特徴です。

ウォッシュド同様、実から種子を取り出す際に完熟豆と未完熟豆が選別されるため、美味しい豆といまいちな豆がこの段階で分類されます。また、乾燥時間もナチュラルより短く済むため、カビなどの発生リスクが下がります。

ただ、ミューシレージがベタベタして豆同士がくっつき、団子になってしまうことでそこからカビが発生することもあるようです。ウォッシュドでも乾燥時はムラが出ないように撹拌し続ける必要があるのですが、パルプド・ナチュラルではそれ以上に神経質に撹拌作業をする必要があります。

国によってパルプド・ナチュラルは「ハニー」などと呼ばれたりもします。方法自体はほとんど一緒なのですが、目的が違う事で名前が違ったりします。このあたりはかなりマニアックな内容になりますが、そのうち別記事でまとめます。

スマトラ式

スマトラ式はその名の通り、インドネシアのスマトラ島で生まれた方法です。この独自の方法によって、コーヒーの風味は土っぽいような独特のクセのある風味になります。スマトラ式で生産処理されたコーヒー豆は「マンデリン」と呼ばれることも多いです。スマトラ式の風味を楽しみたいなら、インドネシアのマンデリンと名前に書いてある豆を選べば間違いありません。

今まで紹介したどの方法も豆の乾燥は1回でしたが、このスマトラ式では2回乾燥させます。雨が多く、豆の乾燥時間がなかなか確保できないため予備乾燥として1次乾燥が行われ、脱殻後、2次乾燥が行われるようになりました。

具体的な工程ですが、まずはパルパー(果実から種子を取り出す器具)で果実から種子を取り出します。インドネシアは小規模農家がほとんどで、パルパーも木製のちゃちなものを使っています。機械式のものであれば、圧力が調整されており完熟の実のみ種子が取り出され、未完熟のものは種子が出ずにパルパーで完熟と未完熟の選別作業が出来ましたが、この木製パルパーでは未完熟の実からも種子を取り出してしまうため、パルパーによる選別が出来ません。

種子を取り出した後は、1次乾燥が行われます。1次乾燥することによって、生豆と生豆の周りにある殻(パーチメント)の間に隙間ができて脱殻作業が楽になります。1次乾燥後は脱殻が行われ、生豆が取り出されます。

この状態の生豆はまだ完全に乾燥が済んでいないので、この後2次乾燥が行われます。2次乾燥前の生豆は指でひねれば曲がるほど柔らかいため、インドネシアのスマトラ式で作られたコーヒー豆はカタチが不揃いで、曲がっていたりします。ちなみに2次乾燥では、生豆が殻に守られていない状態で乾燥されるのでカビなどの発生リスクが高くなります。

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左側の豆がパルプドナチュラルで処理されたブラジルの生豆。右側がスマトラ式で処理されたインドネシアの豆です。

どこまで需要があるのか分からないマニアックシリーズ。生産処理方式についてはネットで調べればすぐに出てきますが、その生産処理の具体的な工程や背景などが見えてくるとより豆への理解が深まります。

豆のプロフィール付きでお送りするシングルオリジン商品は、以下リンクから購入できますので、よろしければどうぞ!2020年9月はコロンビアビジャファティマティピカという豆で、ウォッシュドの良さが良く出ている豆ですので是非楽しんでください!


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