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装うことの面白みに目覚めた話

外見を整えることに対して、若い頃ほど身構えなくなった。最近は装いに気を配ることを楽しんでいる。

私は、出産してから何度か「おとなしそうに見える」と言われたことがある。

それまでは「おとなしそう」という印象を持たれたことはあまりなかっただろうと思う。学生時代なんて、派手さのあまり「チーママ」というあだ名がついたくらいだ。会社員になってからは控えめな装いではあったけれど、おとなしいと評価されたことはない。

「おとなしく」見られるようになったのは、どうやら出産を機に変えたヘアスタイルが原因らしい。

妊娠するまで、私はデジタルパーマをかけ、ロングヘアを巻き髪ふうにおろしていた。出産後はパーマをかけるのをやめ、ストレートの状態を維持している。そして、そのロングヘアはいつも、ハーフアップと呼ばれるスタイルにまとめていることが多い。サイドの髪を取り分け、後頭部で軽く留め合わせるスタイルだ。

このストレートロングのハーフアップが「おとなしい女性」という印象を与えるようだ。フルアップにアレンジをしていたとき、知人に「いつもおとなしい感じの髪型だから、見違えた」と言われたことがある。

ヘアスタイルひとつで、自分が人に与える印象が変わることをあらためて知った。そこに衣服や装飾品をプラスすれば、変えられる印象の幅は大きく広がるだろう。

「人は見た目が大事」とは、よく言われることだ。第一印象の重要性はそこここで説かれている。生物学的な要因に結びつけて力説する人もいる。

誰しも、パッと見るだけで初対面の相手の人となりを理解するのは難しい。だからこそ、身なりや物腰、話し方などの第一印象を手がかりにしようとするのだと思う。

こぎれいな身なりの人物は信頼を得やすい、というのをよく耳にする。もちろん、外見だけでその人の真価をはかることはできない。けれど、外見が原因で人間関係の入り口ではじかれることも避けたい。

ということで私は、高価な衣服でなくてもかまわないから、清潔感のある装いを心がけるようにしている。多くの人がそうであるように。

物腰や話し方をすぐに変えるのは難しいけれど、装いはすぐにチェンジ可能なのもいい。ときには良き母のように装い、ときにはちょっと尊大な有閑マダムのように装うことだってできる。

仕事のときは清潔感に重きをおき、プライベートでは華やかさを重視する、というふうに装いにテーマを持たせれば、楽しみはグッと広がる。装いの工夫というのは、奥が深くて面白い。

若い頃は「外見なんかで判断されたくない!」と思っていた時期もある。

しかし、装いひとつで、そのときどきを生きやすくなったり、内面が魅力的な人がもっと輝いたりするのだから、外見にこだわることも悪くないと思う。

そう考えて以来、TPOを意識したうえで装いに気を配ることを楽しめるようになった。装いが人に与えるであろうイメージまでも含めて楽しんでしまおうという心持ちである。

年齢的に諦観の境地に足を踏み入れたのかもしれないし、「○○らしさ」を演じる楽しみに目覚めたとも言える。

ひとまず目指すは「こぎれいなおばちゃん」だ。

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