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追い抜かれる小足

もう追い抜かれるんだろうな、と、しばらく前から身構えている。

長女のスニーカーを買い替えた。19.5センチから20.0センチへ。生まれたときの彼女の足はたしか7センチくらいだったと記憶している。約7年のあいだに成長したものだと感慨深い。

対して、わたしの足のサイズは21.5センチ。

現代女性としてはかなり「小足」の部類と言っていい。だいたいパンプスは22.5センチからつくられているものが多く、自分に合ったものを探すのに苦労する。スニーカーになるともっと苦労するので、もう諦めている。わたしはスニーカーは履かない。

そんなふうにわたしが小足なこともあって、長女とわたしの足のサイズは1.5センチ差となった。もうちょっとで追いつかれてしまう。

よく考えれば長女は身長も、わたしの鎖骨のあたりまで来ている。頭一つぶん変わるか変わらないかというラインである。わたしは足も小さけりゃ背も低いのだ。

長女よりひと回り小柄な次女にしたって、クラスでは大きめなほうに入るらしい。身長順に並ぶと後ろから数えたほうが早いのだそうだ。

双子にしては大きめだとよく言われる彼女たちは、たぶん夫の家系の血を色濃く受け継いでいるのだと思う。夫を含めた三兄弟はみんな体格がいい。義母もすらりと背が高い。

だからきっと、わたしはそのうちに足のサイズも身長も、娘たちに追い越されてしまうだろう。

このあいだ、長女に言ってみた。

「ママさ、家の中で手が届かないところがいっぱいあるんよね。洗面所の上んとこの収納とか、パントリーのいちばん上とか。ママより大きくなったら、ママの代わりにああいうのとってね!」

長女は自信満々で笑ってくれた。

「とってあげるし、なにがあるかママにたくさん教えてあげるよ!」

彼女がまだ見たことのない景色について話して聞かせるのは、今はわたしの役割だ。でもきっとそれもいつか、逆転してしまうのだろう。

娘たちはどんどん背が伸びて、小さな母親なんて追い抜いて、追い越して、自分たちで世界を見に行くようになる。

「教えてあげる」と言われてムッとしない親になりたいなあ、なんて、パントリーの前で背伸びをしながら考えている。

うーん、どう頑張ってもパン粉のストックに手が届かない。

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