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日本企業の生産性が低い訳

 私は幸運に恵まれ、アメリカの大手企業と共同研究のために5ヶ月間くらい、アメリカのオフィスで働いたことがあります。今日はその経験から日本企業の生産性が低い訳を説明したいと思います。

アメリカ企業では役割が明確化されている

 アメリカ企業では、働く際に役割を明確に付与されます。必ず何らかの肩書きがつきます。日本では名刺に階級しか載らなく、ただのエンジニア扱いですが、アメリカは○○エンジニアという職種別についています。

 そのため自分の役割を100% 満たそうとします。100%満たせば良くて、勤務時間管理とかは必要ありません。日本企業では○○君は残業をたくさんしているから頑張ってるねっていう評価はあり得ません。何時間働いても成果が出なければ首になるのです。また若くてもこの人によって役割が大きすぎるよねということも起こり得ます。ですがその若い人はその役割を満たすために、がむしゃらに働くこともします。

 一方、日本企業ではどうでしょうか?役割を明確に付与されることはなく、曖昧にあの先輩と一緒に○○の仕事してね、くらいしか言われません。そのため本来、他の人がすべき仕事も、自分のところへ降ってきたりします。上司や先輩が振られた仕事をそのまま振ってくるのは日常茶飯事です。先輩によっては、本人は全く仕事をせずにひたすら後輩、同僚に振りまくるという人もいます。

 役割が曖昧なため、日本企業は仕事をすべき人が全然やっていないということが起こり得るのと、それを評価すべき方法がないのです。そのため生産性が低くなってしまいます。

成果の定義について

 アメリカ企業で働いている時に、部長レベルに報告する機会がありました。その仕事を二人でやっていたので、一人のアメリカ人と説明資料の役割を分担しました。報告時間は1時間だったので、半分ずつ分けて、30分くらいの資料を分担して作りました。私は20ページくらい作ったのですが、そのアメリカ人はなんと3枚でした。その3枚で30分の場が持つか相当、疑問で相当焦りました。

 本番になったら、そのアメリカ人は3枚で30分のプレゼンをすることが出来ました。その内容は決めたことの本質を口で話すだけで、資料には全てが載ってはいませんでした。「これでいいのか?」という疑問でしたが、部長からはかなりの高評価を頂きました。決まったことだけが資料に載っていればよく、あとはそれまでの過程はおまけみたいなものでした。

 一方、自分の資料は途中過程が詳しく書かれていて、判断者が納得できる論理展開となっていました。そのためには相当な時間をかけて資料を作りましたが、アメリカではそんな細かい話は要らなく、上位者はそこまで細かい話が無くても判断できるというものでした。日本企業はお客さんが喜ぶ商品を作るという視点では無く、上位者が猿でも納得できるように資料を作ることに力が注がれています。そのため無駄な資料作成に忙殺されて、本質論を見失ってしまいます。

リスクゼロ症候群

 アメリカ企業では議論の中でどのくらいリスクがあるかという議論がよくなされます。一方、日本企業ではリスクという議論はなく、石橋を叩いて叩いて叩きまくり、100%成功が見えないと橋は渡らないと上の人たちは考えています。そのため99%成功すると言っても、残りの1%を証明するために、すごく長い検討をして資料を作成しますが、穴を指摘され、さらに0.1%の証明をするといった風により細部の細かい議論をやるための資料作りに忙殺されます。これが生産性の低い理由だと思われます。日本企業では責任は取らない割に、失敗を極端に恐れ、前に進めません。 

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