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古本屋で新刊書籍を扱うか悩む

2021年4月の終わり頃に古本に加えて新刊も扱う古本屋をオープンさせようと動いているけれど、実際のところ新刊書籍を扱うか悩んでいる。

新刊書籍を扱うよい点

新刊書籍を扱うよい点はもちろんあると考えていて、

1点目は店内に新しさがプラスされる。過去の書籍が並ぶ古本屋の中にあって、新刊書籍は現在進行形の新しい本。本の内容だけではなく、装丁やデザイン、フォントなども今を表す。そういう意味でも自分自身も手に取ってみたいと思う。

2点目は店内の新しさが継続される。継続的にいろいろな出版社から発刊される新刊書籍を定期的に入荷することで、店内は常に新しい風が入り続ける。古本は一点もので、売れてしまうと次いつは行ってくるか分からないけれど(それが面白い点でもある)、新刊書籍は発注ができて再入荷もできる。風をコントロールできるという点でもありがたいところ。

3点目はSNSとの親和性が高いこと。新刊書籍の注目度は高く、SNSに投稿すれば見ている人の目を引きつける。出版社から直取引をすると、出版社側がSNSで本書を取り扱っている書店を掲載してくれることもあるので、書店のことをより多くの人に知ってもらえるかもしれない。

利益率の低さが問題

新刊書籍を扱う難しさも感じていて、

最大の問題は利益率の低さだと考えている。出版社から直接取引で新書を卸してもらう場合、書籍にもよるけれど返品が不可能な買切で7掛と仮定する。

販売価格が1冊2,000円の新書の場合は1冊1,400円で書店へ卸される。もし売れれば600円が店の利益という計算だ。単純計算で月に30万円の利益を上げるためには100万円分の本を販売する必要があり、20日営業すると休日も平日も毎日5万円・・・。全て新刊書籍を販売をすると仮定しているけれど、地方の田舎で平日5万円はあり得ない数字。しかも、30万円の利益の中から店の家賃や光熱費などを除いたら手元に残るのは・・・。

さらに毎月100万円売り上げれば年間1000万円以上の課税対象売り上げ高を超えてしまうため、10%の消費税を納める必要が出てくる。

追い打ちを掛けるように、発注して並べた本がすべて売れるとは限らず、売れなければ600円の利益と見込んでいたものは1,400円の赤字となる。新刊書籍は生ものだと思っていて、時間が経つにつれて鮮度は薄まる。著者が新しい本を発刊すれば過去の本となり、たくさん売れれば古本として流通する本も増え、あえて新刊書籍で購入する人も減る。

オンラインストアの利用でさらに利益率が悪化

オンラインストアで販売するのも悩ましい。オンラインストアで1冊2,000円の新書が売れて200円の送料をいただき、お客さんに2,200円支払ってもらったと仮定する。

例えばBASEの場合、

送料を含めた合計金額で「BASEかんたん決済手数料」が3.6%+40円、「サービス利用料」が3%必要になり、それぞれ2,200円×3.6%+40円=119円、2,200×3%=66円となり、合計185円の手数料が発生する。

600円の利益の中から185円の手数料、梱包資材代、配送手間などが必要となり、実際の利益は限られる。もちろん、注文がないよりはよいのだけれど。

業種が違うけれど、飲食店のサイゼリアや小売りのニトリなどのように、総合的な機械化や徹底的に突き詰められたオペレーションがないと、利益率の低いものを扱うことは難しいと考えたりもしている。

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古本屋だけが生業ではないとしても

古本が中心であり新刊書籍だけを扱うわけではないとしても、新刊書籍を扱う意味が雰囲気や広報だけでお金には繋がりにくい。好きで新刊書籍を扱っているだけというのも辛い。

自分は建築設計の仕事もしているので、古本や新刊書籍を売ったお金だけで生きていく予定ではないにしても、お金を稼いでいかないと続けられないし生きてはいけない。せめて家賃分だけでも生み出せないかなと考えてしまうところもある。

古本屋を始める前から考えるだけで重たい話になってしまうけれど、避けては通れず打開策もない。新刊書籍を少しずつ扱いながら、もし店に足を運んでくれるお客さんがみえたら、顔色をうかがいながら新刊書籍も増やしていく・・・という感じが現実的かもしれない。

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