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金木犀の記憶

今は2024年の6月。
これは2020年の秋に書いたものです。
前回のコラムで金木犀の香りの思い出について書いたので、もう一つ香りの思い出について以前に書いたものを出してみたいと思います。
 
これは私が大好きなラグビーに関する話です。
ちなみにこれを書き、長々とあたためていた間に、トップリーグは「リーグワン」と名称を変え、推しチームが2つ、廃部と活動休止となり、推しチームがなくなるというとても悲しい思いをしました。今はリーグワンに推しチームが一つあり、来季からもう一チーム参入が決まっています。両チームともに以前、推していたチームの選手が何人も在籍しています。
 
4年も前の雑記を出してもいいのかと葛藤がなくもありませんが、基本が能天気なので、まあいいかと。
 
以下、過去の私が気ままに書いた雑文です。
 
 
金木犀の記憶
 
秋の彼岸もとうに過ぎ、気が付けば9月も間もなく終わろうとしている。
今さらここで言うまでもないが、月日が経つのは本当に早いものである。
つい最近まで暑い毎日に辟易していたが、最近では朝晩など寒く感じるくらいの過ごしやすい気候になってきた。
 
昨日は用があって玄関を開けた瞬間に、ほんの一瞬であるが金木犀の香りがしたような気がして、「あっ」と思ったものである。その後も玄関を開けるたびにかすかに香っているなと感じた。金木犀はつぼみの時がいちばん香ると聞いたような記憶があるので、どこか近所の金木犀が咲き始めているのだろうと思う。
ちなみに金木犀の香りが大好きで、去年は金木犀の香りの練香水を通販で購入した。そんなに強く香るわけではなく、昔のトイレの芳香剤のような人工的な香りでもなくとても気に入っている。今年はコロンと一緒に買おうかと悩んでいる所である。
 
金木犀の香りにまつわる思い出はたぶん、皆、多いのでないかと思う。
文化祭や体育祭の準備でいつもより遅く帰る時に香ってきた金木犀。友達や少し気になる男子と帰りながら話した内容まで思い出せそうな、そんな香りである。
 
そんなセンチメンタルなはるか昔の思い出も良いものであるが、今、私の記憶に新しい金木犀の香りは去年の秋の出来事である。
 
2019年。
日本で、いいえ、アジアで初のラグビーワールドカップが開催された。
 
2015年のイングランド大会、日本対南アフリカの試合。当時ワールドランキング13位の日本が、ワールドカップで2度優勝経験のある、強豪南アフリカに34-32、逆転トライで勝ったあの試合をテレビで見て以来、すっかりラグビーの虜になり、4年後は日本でワールドカップ開催とテンションは上がりまくりだった。
その頃はまだ、どの地域でどの試合が開催されるのかはっきりせずに、でも確実に日本で世界のラグビーが見られるのだと思うだけでとてもわくわくした。
 
南アフリカとの一戦が功を奏し、日本はいわゆるティア1の国とたくさんのテストマッチを行うことが出来、ラグビーファンの私もいくつかの試合を観戦することが出来た。強豪に勝つということはこういうことなんだと、実感した試合だった。
2015年からの4年でトップリーグも明らかに実力が底上げされていると感じることが出来た。偉そうに書いているが、自分は本当にラグビーが好きなので、偉そうに書く。
 
そこで、ラグビーと金木犀がどう結び付くのか、ずいぶん回り道をしたが、昨年の9月の末から10月の初めの事。
いよいよワールドカップが開催され、私も初ワールドカップ観戦である。
スタジアムチケットを手に入れた私は最低でも3試合を見る権利を得た。
ちなみに、どうしてもウエールズの試合が見たくてもう1試合分チケットを取った。取れたのがラッキーだった。チケットを取った時に使っていたパソコンに感謝したいくらいである。
 
私のヒーロー、アラン・ウィン・ジョーンズ。
(注)ウエールズの元キャプテン。代表キャップは158.2007年、2011年、2015年、2019年、4回のワールドカップに出場している。
 
スタジアムチケット分は、いつも行く、自然に囲まれたきれいなスタジアムで行われた。試合当日、スタジアムに着くといろいろな国から来ている外国人の方々が、思い思いの服装でスタジアムの外で会場を待っていた。中には日本のアニメーションのコスプレをしている人たちもいた。自国の国旗の柄や代表チームのエンブレムのスーツを着ているおじさま方もいて、ワールドカップってこういうふうに楽しむんだと目からうろこであった。
 
そんな中、ふわっと金木犀の香りがした。「そうだ、ここには金木犀があるんだった」と思った。大好きな香りと大好きなラグビーと、私は今好きなものに囲まれている、そう思った瞬間に緊張した。今からワールドカップを観戦するのだという緊張感が一気に高まった。
 
4試合をスタジアムで観戦し、他の試合はもちろんテレビで観戦した。見逃した試合はたぶんないと思う。2015年ワールドカップの後、速攻でケーブルテレビを契約したので、JSPORTSとBSを駆使してたくさん試合を見た。
どの試合もとても良い試合だった。このワールドカップでジャパンは強豪アイルランド、宿敵スコットランド、サモア、ロシアに勝ち、リーグ戦1位で勝ち抜き初の決勝リーグに進んだ。準々決勝の相手は南アフリカ。4年前の夢再びと思ったが、やはり南アフリカは強く準々決勝で敗退した。この年の優勝は南アフリカであった。ファフデクラークかっこよすぎるぞ。
 
テストマッチだけではなく、トップリーグ(注)の試合も結構見に行く。なんならトップキュウシュウの試合もワールドユースもセブンズも見に行く。桜フィフティーンの試合も見に行く。
(注)2022年からは「リーグワン」です。
 
どの試合にも共通しているのは、選手は皆いろいろなことを犠牲にして、身を削って練習し、試合に出ているということである。
私はスポーツは全然しない。というかできない。運動音痴である。そんな私でもラグビー選手は、いや、ラグビーだけではなく、他のあらゆるスポーツの選手も自分自身を削りながらプレイしているということは分かる。そんな選手たちと応援する人たちの気持ちが一つになったのが、昨年のラグビーワールドカップだったのではないかと思う。
 
今年、金木犀の香りを嗅いだときに少し背筋が伸びたのはそういう理由かもしれない。
 
 
 
ここからは2024年に戻ります。
 
おまけ:ご存じだと思いますが、外国人の方たちはものすごくたくさんのビールを飲みます。それはもう驚くほど。大きなカップが4つ入る紙のトレーにビールを運んでいる青年がいてお友達と分けるのかと思いきや、「一人で飲むんかい!」ということも度々ありましたし、ハイネケンのビール売りの方があちこちで声を掛けられていて、とても忙しそうでした。水のようにビールを飲みます。なんでも、白人と黒人のほとんどはアルコールを分解する酵素が2つ働くので、アルコールに強いということらしく、ワールドカップではそういうことも学びました。私自身は全然お酒が飲めないので、ずっとウーロン茶を飲んでいたのですが、豪快に飲む人々を見て少しうらやましくも思ったり……。
それから、外国人は声が大きい。悪い意味ではなく、明るくにぎやかでした。楽しむことが上手なのですよね。
とにかくとても楽しかったワールドカップでした。
 
まだ私がスタジアムに足を運べるうちに、また日本でワールドカップが見られたらいいなと思っています。

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