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オリンピックにかむ人

忘れたいニュースがあった。もやもやするこのニュースを忘れるために,文章を書く。

名古屋の名物(?)市長が,訪問してきたメダリストのメダルを,唐突にかんだのだ。

正直言って,(あまりささくれだった言葉は使いたくないが,)身の毛もよだつようで,おぞましくて,おそろしい。忘れたい。


よく考えると,(この)オリンピックに「かんでいる」(寄生している・利用している・企てている)人がいっぱいいる。ちょっと書き出してみる。

※最初に断っておくが,私は,今年のオリンピックの開催は「(条件付き)賛成」であった。開催しないことによるデメリットは,国際的にもアスリート的にも小さくはなく,すぐ反対!とはならず,開催の道を探るべきだと思った。そして,開催基準や,感染拡大を防ぐための対策をリーダー(首相?都知事?組織委員会会長?)がしっかり説明して,国民の納得を得る(少なくともその姿勢をとる)ことを前提にして,開催すべきだと考えていた。その前提は全く守られていない気がするが。

人のメダルをかむ人

「人のメダルをかむ」

このニュースを聞いてから,その動画を見ないようにしている。見たら,大分ダメージを受けそうだからだ。
アスリートの努力の結晶を,その場のノリで,勝手に,かむなんて...

最初,「これだから,おじさんは。。。」と思ってしまった。ただ,これはよくない。女性市長だったらいいのか?若い首長なら許されるのか?というと,そんな問題ではない。
勝手に属性全体を批判・否定するのはよくない。

本人は,「愛情表現」のつもりだったようだが,自己本位だ。悪気はなくて,それが(ある意味)人気の要因だったんだろうが,今回は世間とのずれが大きくて,批判が殺到している。庶民派を謳ってているとはいえ,これは受けるはずがない。

困ったことに,ぱっと思いつくような解決策は思いつかない。悪気がなかったのだから。社会全体で,アスリートへの敬意を共有できるように,報道や教育を変える必要があるのかもしれないが,それで今回のことが防げるか分からない。

本人にとっても,周りの人にとっても,消毒したとしても,この記憶はなかなか消えないだろう。
ただ,アスリートの功績は何も変わりないし,成し遂げたことの影響はそのままだろう。(Symbolとしての)「メダルの力」は変わらないはずだし,その価値によって,この出来事は上書きされると信じたい。

オリンピックを政治的に利用しようとかむ政治家

オリンピックが政権与党への追い風にしようとする政治家がいる。きっとみんな腹の底で思ってるんだろうなあと思っていたら,口に出した政治家がいたからびっくりした。

また,オリンピックの開会式に出演するキャストをめぐって,前組織委員会会長や都知事などが口出ししたという疑いもある。政治家が,自分の後援会を満足させるために,開会式の演出に口を出す。これは国民が見たかったオリンピックの姿ではない。

(もちろん,「オリンピック」に反対することで,政治的に利用しようとしている政治家もいただろう。全員がそうだとは思わないが。(科学的な分析・議論で,開催の道を検討し,それでも天秤にかけて優先すべきことがあるから反対,という筋の通った論もあっただろう。))

お金を盾にオリンピックにかむスポンサー

オリンピックは商業化が著しく,特にIOCは「金権体質」と批判される。

オリンピックの観客を入れるか入れないかで議論していた時も,「大会関係者」「ステークホルダー」「オリンピックファミリー」を別枠にすると議論があり,反感を買った。

また,水泳競技などの決勝が日本時間の午前中に行われ,本来力の出やすいはずの午後・夕方・夜に予選が行われる,「逆転現象」も大スポンサー(放映権)である米テレビ局の影響だという。

スポンサーの意向で,「アスリートファースト」であるべきオリンピックがゆがめられている一面は必ずあるだろう。

ただ,私は,スポンサーを一概に否定しない。開催都市の税金投入だけに頼り,赤字をすべて都市の借金にするような仕組みにすると,オリンピックを開催できる体力がある都市はない。スポンサーを入れることによる利点もあるし,それによって,スポンサーが利益を得るのも,他のあらゆる大会・環境でもありうることだ。ただ,オリンピックは,このスポンサーへの特別待遇が露骨な気がする。いや,このコロナ禍のせいか,それが露わになりすぎている気がする。

最後に

と,オリンピックに「かむ」人たちを書き連ねてみた。

できれば,何も考えずに,選手の活躍に喜び,浮かれたい。

ただ,こういう人が跋扈していることも忘れないようにしたい。(きっかけとなったニュースは忘れたいけど。)

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