峠を越える
今年は、良くも悪しくも元気であることの喜びと、尊さを知る年である。
4月に職場が変わり、生活リズムが不規則になった。
早く帰ることが多くなり、アルコールの量も増えた。
そんなことが原因がどうかはわからないが、年度の前半に、原因不明の倦怠感におそわれた。
一日中眠たくて、熱っぽいけど熱はなし。仕事を休み、3日間、日がな一日家でゴロゴロと過ごした。
職場の同僚に聞くと、もしかしたら更年期かもしれないと。男性にも更年期があるらしい。
次には自転車に目覚めてロードバイクを購入。浮き足立っているそんなタイミングで、軽いけれど交通事故に遭ってしまう。
軽かったので仕事は休まずだったが、打ち身などで体が痛く、それに加えて、なんだか気持ちがどんよりと重く落ち込んでしまった。
かと思えば、今度は下腹部の痛みにみまわれる。ちょっと触れたりしただけで鋭い痛みを感じ、動けなくなってしまうのだ。どう動くにも慎重に、痛いところに刺激を与えないようにと、ソロリソロリと動かなくてはいけない状態に。
それでまたも仕事を3日休んでしまった。
尿管結石か脱腸かなどと疑われたけれど、どれも違った。結局何らかの炎症という曖昧な結論。原因がわかればスッキリするのに、わからないとなるとどうも嫌な感じである。
体調が悪いときには、何にもしたくなくなってしまう。気力がどこかに消えてなくなってしまうのだな。
いつまでもドヨンとしたまま過ごすのだろうか、などと不安になってくる。しかし、仕事もそうそう休んでばかりもいられない。
昔からドラマなどでの医者のセリフで、「今夜が山ですな」とか、「峠を越しました、もう大丈夫です」というのがよくある。
今、ようやく痛みが和らぎ、なんとか回復の兆しが見えてきたところだ。いわゆる、「峠を越えた」のだろう。
今年は、何度もこの感覚を経験したものだ。その都度、改めて健康であることの素晴らしさに感謝を覚えてきた。健康であることは心を自由にしてくれる。元気であり続ければなかなか気づかないものだ。
峠を越えれば、不思議と再びエナジーが戻ってきた。
「やあ、よくぞ戻ってきてくれたね、ぼくの自由と元気よ。 もう二度と戻って来てくれないと思っていたよ。 一体どこにナリを潜めていたんだい?」
こんな軽口を叩きたくなるくらい──大げさに言えば心に翼が生えてきたような──晴れやかな気分だ。
しかし、若い頃ならいいけれど、もうそれほど若くない(気持ちだけは若いけど?)のが実際なのだ。
峠を越えたからといって、調子に乗りすぎればまたぶり返すかもしれない。そうなれば元も子もない。
ぼちぼちと、無理しない程度にやっていくのが得策なのだろうな。
もうそろそろ、はやる気持ちを押さえきれず、すぐに調子に乗ってしまう、そんな自分を卒業し、大きな視野でのんびりと人生を愉しむ、といったような域に入っていって然るべき時期なんだろうな~、と思う次第である。
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