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はちみつと洗顔料とコールセンターと

去年からはちみつに興味を持ち出している。

こないだもアマゾンで1kgのはちみつを注文した。
そして、楽しみに待っていると、配達が完了しました、との知らせがきた。さすが、アマプラは早いなぁなどと感心しながら家に帰り、妻に荷物が来たかどうか尋ねると、

「ああ、なんか届いとったわ」

とそっけない感じで袋を差し出してくれた。

ん? なんかちっちゃいな?

1kgのはちみつなら、それなりの大きさと重さがあるはずなのに、妻から手渡された袋は思いのほか小さくて軽い。
袋のサイズと重さに疑問を抱きながら中身を引っ張り出してみると、

「えっ?」
 思わず声が漏れた。

 「これちゃうなぁ? え? なんで?」

妻にも一応、こんなん注文したん? と聞くも、

「する訳ないやん」

と。

???

袋の中に入ってたのは、どういうわけか、洗顔料。ま、よくある普通の洗顔料だ。

え、なんで??

 もうハテナがいっぱいである。

 えーっ、なんぼ考えても洗顔料なんか頼んでないし、おまけか? などと勘ぐるもそもそも本体がない。
 はちみつは一体どこに行ったのだ?

 あ、そうや、伝票番号見たらなんか分かるかも、と思って袋に貼ってある伝票を確認すると、間違いなくはちみつの注文番号が印字されている。

 察するに、業者かアマゾンかが伝票を貼り間違えたんだろう、と推論できる。

 こんなことってあるんですねぇ。

これまで何回もアマゾンで買ってきたけど、こんなことは初めてだ。

 仕方なく、めんどくさいなぁと思いながらアマゾンのコールセンターに電話して事情を説明したが、イライラしてるところにまた、電話に出た相手がなんか日本語が片言でおぼつかない。
 ぼくはイライラと苦笑いとが一緒になりながら、ほんまに大丈夫かいな、と半信半疑になってしまったが、結局は返金してもらうことで落ち着いた。

 この苦情は誰に言ったらいいんですかね、と聞くと、アマゾンにですね、と片言の彼が言う。

 「じゃあこの電話で伝えたということになるんですか」

 「そうですね」

 うーん、何となく消化不良だけれど仕方ない。

「じゃ、次からこのようなことがないよう注意にしてくださいね」

「はい、お約束します」

  ぜったい嘘だな。

 と思いつつ、届いた洗顔料はどうしたらよいか聞いてみると、そちらで処分してくださいとのこと。

使ってもらってもいいですし、それはお客様にお任せします、ということだった。

手間がかからないので、それはそれでいいかな、と思い電話を切った。

妻に伝えると、

「せっかくやから使ったら?」

と言うので、とりあえず使わせてもらうことにした。最終的にはちょっとした”おまけ”?みたいな感じになった。

 しかし考えてみたら、今回ぼくとは逆に、洗顔料を注文してはちみつが届いたという人がおるんやろうなぁ、

 その人もさぞびっくりしたことやろうな。

 その人がまたコールセンターに電話して、それをまたさっきと同じ片言の男性が聞くことになったら面白いのにな、などと想像するとちょっと可笑しくなった。

 そして彼は言うのだろう。

 「はちみつを食べてもいいですし、そちらで処分していただいても構いません」と。

 ぼくは洗顔料を眺めながら、思わず微笑んでいた。




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