見出し画像

「詩」五行詩群 工場の月 六~十

幾つもの観覧車を乗り継いでも
あなたには辿り着けない
最上部から道化師は飛び降りたが
私はいつまでも廻り続ける
それが究極の愛だと信じて

三角屋根の洋館から
零れるオルガンの音が好きでした
オルガンは燃えたのですね?
月が溶けだす場所では今でも
哀色の旋律が鳴っています

あなたのデジャブに触れると
回転木馬が軋む音がする
ここはどこですか?
メランコリーに染まる交差点に
ピエロの欠片が降ってくる

割れた風船の幻想を追う子供
のように私は曇り空を眺めている
なぜだろう?
伝えられない言葉はいつも単純で
いつまでも忘れることが出来ない

安宿でスープを飲み干し
女主人から祝福の言葉を受けると
僕はオーロラの街の人になった
そして僕は祭壇へと向かった
モスグリーンに染まる小道を抜けて

※一~五


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?