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「詩」粉雪の朝

一月の朝 ガラス越しのベランダで
あなたは静かに 佇んでいる
音もなく 降り始めた粉雪
朽ちた鉢植えが 白く染まっていく

次々と 人影が消えていく街中に
定刻通りの バスの発車音
凍えるあなたの 瞳の模様は
いつかの過ぎ去った 雨に似ている

分厚い雲から 降りくる粉雪
あなたはまだ ガラスの向こうにいて
光のない空を ただ仰ぎ見ている

少しずつ 輪郭と色を失くしていく風景
重たく 増していく静寂
ガラスの向こうの あなたが見えない

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