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「詩」光の洋館

小さな村落を通り 神仏の集う霊場を抜け
森の奥へと私は進む そこには古い洋館がある
まるで私を 待ってくれていたかのように

私は錆びた鉄の門を開き 荒れた畑を抜け
花が咲いていただろう 植木鉢の破片を避け
玄関のドアを開く 静かな光が私を満たす

誰もいない広間の中で 鮮明に塵が舞っている
光は暖かく 私は厚い外套を脱ぎ捨てる
散乱する家財の中 窓辺の椅子が 私を引き寄せる

全てが軋み 時を忘れてしまった洋館
それでもこの窓辺の椅子だけは なぜかずっと
私のことを 待ち続けていた気がする

私は椅子に座る 大きな窓の外を眺める
緑の木々の葉が 物語るように 煌めきだす

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