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「詩」初夏の願い

夢の中 青い法衣を纏った
男が仄暗い石堂の中から 私に語り掛ける

 “ お前は知らないのか
 生きとし生けるものが
 想いのままに光輝く
 その美しさよりも深い
 安寧があることを“

私は夢の中 石堂の外にいる
風に靡く初夏の 山里の風景を眺めている

 “ お前に告ぐ
 お前がこの石堂の在り処を
 知ることもなく生きていくのなら
 せめて己に正直に生き
 近い命に優しくあれ“

私は目を覚ます 住宅街の生活の音と
鳥の声が 初夏の朝の中で鳴っている
 

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