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贈られたたんぽぽ色と、贈ったわさび色

朝、出窓のカーテンを開けたとき、ちょこんと佇む植木鉢に「おはよ」と声をかける。黄色くてまるい形のカランコエが、見るたびにサイズアップしている気がする。

あんまり水をあげすぎると根腐れしてしまうから、そっと土を触って湿り気を確認するのが、私の朝のルーティンになった。

この花は、ゴールデンウィーク後半の5月3日に、ケーキや私の好きな雑貨と一緒に子どもたちからもらった、母の日のプレゼント。
子どもたちを代表して、息子が夫と一緒に花を買いに行ってくれた。

花屋さんじゃなくてホームセンターっていうのも、499円が399円に値引きされている品っていうのも、「母さんっぽくていい!」と彼らは思ったらしい。

安っ!私って安いな。確かに値引きは好きだけど。

わざと値札をつけてプレゼントされました(笑)


息子は、かなり悩んで選んだそうだ。
私の好きそうなものを考えて、黄色いカランコエを選んでくれたことがめちゃくちゃ嬉しかった。
しかも、あまりにもしょぼい鉢だったので、花より高い植木鉢も一緒に買ってくれていた。

ラッピングをお店の人に頼んだら、「夕方5時過ぎだからできない。」って言われた、と2人がクスクス笑っていた。
「ラッピングはすぐに外してしまうんだから、もったいないし、いらないいらない!」って言った自分を、やっぱり安いな、と思った。

夫は、義母への母の日のプレゼントとして、私のカランコエの10倍以上もする値段のアジサイを、おしゃれな花屋さんで買ってきていた。新種のアジサイらしく、白くて可憐で品があった。

この差はなんじゃい!とは言わず、「ええやん!」と笑っておいた。
私のカランコエだって、生き生きしてかわいいんだから。しかも、夫が「これ、たんぽぽ色だな。」と言ったのも、いいなって思った。

何より、息子が選んだことがやっぱり嬉しい。

菜の花色、ミモザ色、たくあん色、例えるのが楽しいカランコエにパワーをもらってます!


翌日、息子と自転車のヘルメットを買いに行くことになった。自転車屋さんに行く前に、私の大好きなホームセンターにも寄ってみたが、ちびっ子のヘルメットしか売っていなかった。
店内をぐるぐると歩いていて、めずらしく彼が、鉢植えを手に持って私に見せてきた。

「これ、なんか良くない?」

彼が持ってきたのは、サボテンっぽい小さな観葉植物。
蛾眉鉄がびてつ』っていう名前のようだ。

「わさびが斜めに刺さってるみたいやろ。パイナップルみたいな手足がいっぱいついてて、おもろい。」

虫にしか興味が無かった息子が、植物に興味を示したことが意外だった。
『980円』っていう値札がずいぶん古くなっている。ずっと売れずに、ここにいたのかな。

「買って帰る?あんたのアパートに連れて行く?」

と訊くと、彼が迷うような顔つきをしたので、

「母さんが買ってあげるわ!あんたが気に入ったんなら、この子を連れて帰ろ。アパートへ持って行きなよ。」

と、私が買うことにした。その瞬間、息子は嬉しそうに『蛾眉鉄の育て方』を検索していた。

月に2回だけ水をあげればいいらしく、『忘れないように、1日と15日を、水をあげる日に設定している』とある人のブログに書いてあったそうだ。

「やばいな、今日は4日だから、15日まで水をあげられやん。いや、かわいそうだから今日水をあげて、次は19日に水をあげて…、来月から1日と15日にしようかな。え!めっちゃむずいやん。」

と、息子がもう、蛾眉鉄のパパみたいになっていて、とっても微笑ましかった。

このわさび色のミニチュアパイナップルが、始めたばかりの彼のひとり暮らしのお供になったらいいな、と思った。

蛾眉鉄、息子を頼むぞ!


その後、私は息子に
「蛾眉鉄は元気?」とか
「ガビガビに行ってきますってちゃんと言った?」とか
「星のガービーはどうしてる?」とか
どうでもいいことをLINEしている。

「元気」または「ウケる」、とだけ返信が来るが、息子の安否確認ができるから、それで母は満足だ。

私のカランコエと息子の蛾眉鉄、調べてみたらどちらも多肉植物。
あら、お揃いやん!

窓際で太陽の光を浴びて、どちらもすくすくと元気に育ってほしいな。


巨木みたい。もっとちんまり描きたかったぁ




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