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食品を、備えて食べきる!使い切る!

自分の全身が煮豚になった。

キッチンに立って、私は夕飯の用意に追われている。
長女夫婦がやってくるので、めちゃくちゃ張り切って、昼から煮豚を2時間かけてコトコト煮込んでいた。

味付けはいつも感覚。
幼い頃に母の作ってくれたものを、自分風にアレンジして作っているのだけど、ちゃんと母の味になるから不思議だ。

野菜たっぷりの完全オリジナル煮豚が、歯がいらないくらいにめちゃくちゃ柔らかくて、おかげさまで家族には人気。
ほろほろのお肉を長女夫婦にも食べさせてやりたい。

煮豚の香りに包まれて、私の鼻が効かなくなった頃、香りにつられて、暇にしていた息子がふらりとキッチンにやってきた。

「そろそろガサ入れやるかな。」

よーし、来たな!のぞむところだ!

ここ数年、年に一度くらいの頻度で、気まぐれに彼は調味料やストック食材の消費期限を片っ端から調べてくれる。

コロナ禍で暇すぎて、ホットケーキを作ろうと彼がたまたま戸棚の奥をガサガサし、期限切れの食材がドサッと出てきて以来、恒例行事になりつつある。

私の食品管理に危機感を感じているのもあるが、彼的には楽しい宝探し&粗探しなのだと思う。

年末にキッチンの引き出しや戸棚を大掃除したばかりで、今回はわりと自信があったが、抜き打ちテストのようでドキドキする。

私は普段から整理整頓が好きだが、消費期限のチェックはおろそかだ、というか、老眼なので細かい字が裸眼では見えない。
だから、新しく買ったものを奥へしまうようにだけは意識している。

床に座り込んで、あぐら座で引き出しの中を物色していて、彼が笑い出した。
見つかったのか!お宝が!

「カレー、去年の12月15日までやー!」

「ギリセーフやな。明日にでもカレーを作るわ!」

「え!アウトやろー!」

と言って、息子が箱をフリフリ振った。

不思議だ、カレー、たまに作るんだけどな。
気まぐれにカレールーの種類をコロコロと変え過ぎて、奥に置き去りのやつがあったのかな。

「わぁ、ビンゴ!お好み焼き用の紅しょうがやあおさのセットも、期限が切れとる!」

「カレーの次は、お好み焼きにするから大丈夫、大丈夫!」

ラッキー、ラッキー!
晩ごはんのメニューがスラスラと決まって、逆に嬉しいくらいだ。

「缶詰は流石に…、え!あるんかい!コーンの缶詰が、期限やばいぞ。なんでこんなにコーンばっかり買ってあるの?」

「あー、それは心配ご無用!缶詰は永遠に大丈夫!」

「意味わからん。」

私は意味がわかってるから大丈夫!

一時期、ゴーヤサラダにホールコーンを入れるのにハマり、たくさん買い置きをしておいたのだけど、なんとなくそのサラダに飽きて、コーンの缶詰に対する私の心が離れたのだ。

説明するのも面倒くさいので、

「バターコーンかコーンスープでも作って大量消費するから、お任せあれ!」

と息子には答えた。

「サバ缶もいっぱいあるやん。こんなに使うの?」

知ってる、知ってる、サバ缶は流行りに乗ったんだよ。
使う、使う、問題ないから。

ニヤニヤしながら、彼は冷蔵庫や冷凍庫のブツたちを調べ始めた。

冷蔵庫の肉や魚、野菜は、わりとちゃんと頭に入っているのでムダにしたことはないけど、調味料はやばい。
たまに、ハムやヨーグルト、牛乳もやばい。

今回はベーコンと納豆がアウトだったけど、そもそも納豆ってアウトっぽいから気にせずに、何にも知らない夫と美味しくいただいた。

数年前から、災害に備えて、保存できる食品をある程度揃えるように心がけている。
例えば、水はもちろん、缶詰やレトルト食品、お餅やパスタなど。

それを食べてまた買い足す、という、「できる主婦」的なローリングストックに憧れてもいる。

でも、食べた分を買い足すことを忘れたり、買ったまま放置して消費期限をやや過ぎてしまったり。

息子のガサ入れのおかげで、食べずに捨てることは一応免れてきたので、彼の食品チェックは、実はとても助かっている。

だけど、彼は春からうちを出る予定なので、ストック食品の消費期限のチェックは私の肩にかかってくる。

今後、不安しかない。

これからはちゃんと老眼鏡をかけて、意識的に食品の管理をしなくてはならないな、と思っている。

各食品メーカーさま、高齢化社会への優しい対策として、消費期限をもっとでっかくわかりやすい場所に表示してくれませんか?、とぜひとも、ぜひともお願いしたい。


とりあえず、明日はサバ缶でカレーだな。
コーン缶とベーコンと冷蔵庫のハンパ野菜でスープも作ろうかな。

これで食品ロスは無しだぞ!





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