「解体キングダム」に全集中した私の頭の中
気付けば正座したまま、テレビにかじりついて観てしまっていた。
昔なら、母に
「もう少し離れてみなさい!」と言われてしまうくらいの近距離で。
この番組がとってもおもしろい。
NHKの「解体キングダム」。
たまたま予告でこの番組を知り、なんとなくビビッときたのでわざわざ録画をしておいたのだ。
珈琲を片手にリビングにへたり込んで、癖のようにテレビのリモコンをポチッとする。
二女の通院が終わり、ひと通り片付けてやれやれとホッとした時間。
娘の徹夜続きで、頭もボーっとしてる。
春は彼女の睡眠障害が起こりやすいから、しんどい。
少しでも寝た方がいいんだろうけど、ちょっとだけテレビへ現実逃避したい気分で、再生ボタンを押す。
そしたら、あらら、見始めたらびっくりするほどおもしろくて、眠気もぶっ飛び、夢中で最後まで観てしまった。
テレビはいつも聴いているだけの私が、久しぶりに、じーっと画面に釘付けになる。
しかも、「おー!」「すごーい!」と感嘆符付きの独り言を連発しながら。
ガシャーンと潰すような解体ではなく、丁寧な解くような作業に深く感動してしまったのだ。
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私は働く車が好きだ。
と言っても、種類はあまり詳しくない。
ただ、見つけたら「おぉ!」と思う。
ユンボは可愛いと思うし、小さな物なら庭のオブジェに欲しいとも思う。
ごみ収集車を見たら、お腹いっぱいにゴミを飲み込んでくれるような健気さに「徳」すら感じる。
たぶんそれは、息子が小さい頃に車にハマった影響だろう。
コンクリートミキチャーチャ!
ゴミちゅーちゅーチャ!
あ、バチュ、あ、クレーンチャ!
パトカー、バイバーイ!
働く車を見つけるたびに、息子は指をさしてぴょんぴょん喜んでいた。
さしすせその言い方がめちゃくちゃ可愛い時期の男の子って、不思議と乗りものが好きになるようだ。
ちょっと年上の従兄弟やご近所のお兄ちゃんからもらった、山のような量のミニカーの中で、彼のお気に入りはロンドンバスとゴミ収集車のふたつだった。
手に握りしめたまま寝てしまうくらいに。
工事現場で働く車もよく見に出かけた。
動いてなくてもかっこいい!
動いていたらもっとかっこいい!
動かしている人もかっこ良い!
息子が幼かった頃のクルマ愛の話はキリがないのでこのくらいで。
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この番組は、まだ3回目の放送が終わったばかりだ。
2回目までについての感想を少し。ちょっとネタバレになりますが。
しかしいくら重機が好きとはいえ、これほど解体の様子に興味が湧くのはなぜだろう、と思った。
今、私は「しまい方、終わり方」に少し関心があるからなのかもしれない。
先日父を亡くし、「何ひとつ持っては逝けない」という現実に直面していろんなことを考えさせられた。
母ひとりで暮らせなくなったら、実家はどうするのか。
父の大好きだった庭や大切な仕事場を、このまま母が管理できるのか、と。
造った時は必要だし嬉しくて、後のことは何にも考えないものだが、壊さなければならなくなると、思った以上にストレスがかかる。
「つくるとき」「始めるとき」には考えなかった「しまうとき」「終わるとき」を、年齢とともに私も少し意識するようになってきたのだろう。
だから今、解体という「しまい方」に強い興味を持つのかもしれない。
作る、造る、創ること。
そして、それを壊すこと。
この繰り返しが、成長、進歩、発展に繋がるのかなぁと思う。
幼い頃に、ブロックや積み木で何かを作っては壊すを繰り返しながら、段々とすごいものが作れるようになったことと、少し重なった。
でも、自分でお片付けできないものをつくるなら、「しまいかた」「しまう人」」への配慮も必要かなと思った。
第1回の、解体されたカプセルタワーのカプセル部屋のいくつかが、世界のあちこちで大切に展示されるとのこと。
当時の「ぬきんでた技術のかたまり」、壊すだけではないのだなぁと、ホッとする。
素敵な番組ですので、よろしかったらぜひ、NHKオンデマンドで!