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【ライブ】今年28歳になる私が「ホームシック衛星」のリバイバルツアーに行ってきた/BUMP OF CHICKEN @ ポートメッセなごや 2024.2.25
特に年齢を隠そうとは思っていないのだが、今年で28歳になる。ずっと数え年で数えていたためBUMPは1個上だと思っていたが、生まれ年は同じなのだ。
BUMP OF CHICKENは今年で結成28周年。今回のツアーは彼らが28歳になるタイミングでリリースした「orbital period」を引っ提げたツアー「ホームシック衛星」をリバイバルしたツアーとなる。
そんな私は最初の「ホームシック衛星」が行われた2008年はBUMP OF CHICKENに出会ってないのだ(BUMPを知ったのは震災があった2011年)。
「28年周期」とは
ライブレポートを書く前に、今回のツアーのコンセプトについて話したい。
“公転周期、軌道周期”という意味を持つ『Orbital Period』と名づけられたこのアルバム。
28年周期で365日の全ての曜日が同じになる、メンバー4人全員が28歳を迎える2007年のこの時期にしか発売することが出来ない、生まれた年に戻るという意味も込められ、壮大なテーマを持っています。
詳しくは藤くんが公式サイトで解説しているが、簡潔には「28年周期」とは「5、6、11、6年で1セットとし、その年の誕生日は生まれた曜日と同じ曜日になる周期」のことだ。
例えば藤くんの場合、1979年4月12日の木曜日生まれなので、彼が5歳の時の誕生日は木曜日、次が11歳、22歳、そして28歳の誕生日が木曜日となる。
天運か必然か、私は人生を変えてくれたバンドと同い年ということだ。
ライブレポート
ステージには人口衛星の電波塔のようなアンテナに、曲に合わせて上下するUFOを連想させる円型の照明、スクリーンに映し出されるのは地球から見た星空ではなく、宇宙そのものの星空。
星空から一変して目まぐるしくタイマーがランダムに回ると順次メンバーが登場、「星の鳥」から「メーデー」、「才悩人応援歌」「ラフメイカー」とBUMPを格別知らない人でも発狂するような昔の曲を連発。
「これがロックバンドのライブなのか?」そう何度も錯覚した。まるで宇宙旅行をしているかのようだった。
ディズニーランドのスペースマウンテンのようにエンターテイメントだけに振り切っている訳でもなく、プラネタリウムのように眺めて癒されるのでもなく、ガンダムのようにロボットを操作するでも、宇宙船の内側から宇宙を眺めるでもなく、まるで宇宙服で実際に宇宙を探検しているかのような、「BUMP OF CHICKEN」のライブという"ジャンル分け出来ないドキドキ"が詰まっており、今まで体感したことのない圧倒的な没入感だった。
チャマ「こんばんはBUMP OF CHICKENです!会いたかったぜ名古屋~!」
チャ「『ホームシック衛星』というツアーの再現なんですけど、当時のツアー来てくれたひといますか?」
(ちらほら手が上がる)
チャ「おお、いますね!」
チ「ヒロ、名古屋どうですか?」
増「えー、今日で4日目です!」
客(?)
藤「あ、ツアーが4日目ってことね。ね、み、み(言いづらそう)、寝耳に水だな。みんな、ん?ってなってたけど(笑)」
増「そう!そうです!ツアーが4日目!4日目はね、4日目しかないんですよ(?)n日目みたいな(?)……?。あ、このこと恥ずかしいんで誰にも言わないでください!って冗談(笑)」
ほっこりMCからさすがに最近出した曲来るかな?と予想も束の間、「アルエ」「ハンマーソングと痛みの塔」となりふり構わず10年以上前の曲を投下。
コンセプトツアーはある程度の演奏する曲が決まっているため、セットリストに関して大きな期待はしていなかった。でも予想していた曲も、予想していなかった曲も、いとも簡単に私が抱えていた感情のキャパシティを超えてきた。
私が知らなかったBUMPと、いつも隣にいてくれるBUMPの両方が目の前にいた。「知らない時代を知れたのだ」と涙が止まらなかった。
おそらく彼らが思っているより、リスナーは彼らの曲が好きなのだ。
「花の名」「飴玉の唄」とゆったりした曲が骨の真髄まで染みる。「花の名」で「あなただけに届けたい声がある」と言った内容の歌詞に替えられていた。
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今でも彼らがそう呼んでいるのかは分からないが、恥ずかし島(花道先のサブステージ)に移動。
「このツアーから演奏し始めた曲」と前置きし「東京賛歌」「真っ赤な空を見ただろうか」を演奏。
チャマ「メンバー紹介します!ベース、チャマ、ボーカルギター、藤原基央、ギター増川弘明、(2人でアラワレタポーズ)、ドラム升秀夫!(立って万歳)じゃあ、あとよろしく!」
藤&増「…え?」
藤「まあ任せられちゃやるしかないな。ヒロ、名古屋どう?」
増「ここからみるとお客さんいっぱい!あそこ(スタンド)、斜めになってるんだね。バラちらし寿司みたい」
藤「御膳?安い方?」
増「いや、高級な方の…何言ってんだろう」
藤「MCの点数、自分でつけるなら?」
増「んー、80…」
(自己採点高すぎて客爆笑)
藤「俺は90点やるよ」
藤増チャ「ヒデちゃんなんかある?」
ヒ(…)
藤「…曲やろうってさ(笑)」
「俺は欲しがりだからな、手拍子してっていったらしてくれるし、歌ってくれって言ったら歌ってくれるよな!?」と「かさぶたぶたぶ」を演奏。
以前までの島での演奏は、藤くんがアコギに、チャマはアップライトベースに持ち替えたりして、アコースティックアレンジでの演奏が多かったように思うが、近年はオリジナルのバンドサウンドのまま演奏される事が多くなったような気がする。
メインステージに戻ると「望遠のマーチ」「ray」と今やおなじみとなったPIXMOB(腕につけるペンライトのようなものが来場者全員に配布される)の光の海が彩る煌びやかなBUMP OF CHICKENで再開。
今回のセットリスト、なんと約6年前の2018年に発表した「望遠のマーチ」が最新なのだ。最新曲「Sleep Walking Orchestra」もSPY×FAMILY主題歌「SOUVENIR」も、最新アニメタイアップを一切演奏していない。
チャマが口パクでベースを弾きながら歌っていたり、「ray」ではヒロが客席をくまなくみて手を振ったり、藤くんとチャマがグータッチしたり、楽しそうに演奏していた。1回だけステージ上で藤くんとヒロがすれ違った時にばったりして、お互いびっくりしていたのも素で面白かった。
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直後の「プレゼント」「fire sign」で、引きこもってインターネットを徘徊していた中学生の自分を思い出した。
当時、東日本大震災で被災はしていないものの、計画停電の対象地域だったため午前で授業が終わる日が続けば部活も無くなり受験にしては早く、とにかく暇を持て余しており、その時たまたまBUMPに出会った。
この”たまたま”が私のロックバンド人生の始まりだった。
「fire sign」は理由無く好きだった。別に辛い出来事があって救われた曲とか、大した理由は無い。理由の無い”好き”こそ、至高なのかもしれないと今強く思う。
「カルマ」でふと28歳の藤くんが見えた気がした。44歳とはいいつつ彼らは見た目が変わらず本当に若いのだが、そう言ったルックスの変わらなさではなく、粗削りで人を寄せ付けないような雰囲気の尖っていた藤くんが垣間見えた気がした。
断捨離していたら懐かしいものを見つけたときのように、曲の時代感や感情は他者でも見え隠れするのかもしれない。
2日目に関しては「天体観測」を演奏していないのだ。代表曲を演奏しないことに対して、ライブが終わってしばらくしてからぐらいに全く違和感が無かった。それほどに「orbital period」の曲の力量が屈強で命が芽吹いていたと思う。
ラストの「voyager」+「flyby」が、この「ホームシック衛星」を総括。
「+」と表現しているのは、曲を繋げて演奏したからである。あまりにも美しい伏線回収と同時に、このサイクルが未来永劫、続き繰り返される美しきロマンを物語っているように思えた。
「星の鳥」の正体
「星の鳥」→「メーデー」、「星の鳥reprise」→「カルマ」とインストからアルバム通りに演奏されたのだが、意外と「”星の鳥”は一体何を指しているのか?」というのは考えたことがなかった気がする。「星の鳥」をBUMPが生んだ固有名詞として捉えてきたことが大きな理由かもしれない。
抽象的なタイトルのため無限に連想が出来るものの、神話が好きな私からすると手塚治虫先生の「火の鳥」が真っ先に思い浮かぶ。
「火の鳥」は鳳凰やフェニックスがモデルの霊鳥が主人公で、過去から未来まで時代を超えて描かれた、群像劇とはまた違う「生と死」や「輪廻転生」がテーマの壮大な物語だ。
手塚治虫先生が描く「火の鳥」は各国の伝説を1つにまとめ取り入れたものだと思うが、「火の鳥」は不死鳥/フェニックスとも呼ばれ、エジプトでは500年ごとに自分の巣を燃やして強制的に生まれ変わり永遠の命を持つと言った伝説が残されている。
火の鳥とは、永遠の命というより「一定のサイクルで生まれ変わる」点が肝なのだ。
BUMPらしい「生と死」、根本的なものは変わらずも繰り返される「輪廻転生」、リバイバルはただエモーショナルなだけではなく、長い目で見て一つの区切りである壮大な出来事であると視野を広げた視点で関連づける事が出来る。
北極星
藤くん「2つ、言いたいことがある。2つ、覚えててね。1つ、ずっと会いたかった。もう1つ、また会いたい。」
「僕たちが音楽を辞めたら君たちに会えなくなってしまう、だから音楽を続けます。外出たら寒いだろうから、お風呂入って、あったかくして、寝な。じゃあね、またね、バイバイ、おやすみ」
「音楽を辞めたら君たちに会えなくなってしまう」と言ってくれた時に「aurora ark」の東京ドームのツアーファイナルで「音楽を目印に待ち合わせをしよう」と言っていた藤くんの言葉を思い出した。
北極星、地球が回っても場所がほとんど変わらない一年中見られる星である。地図の無い時代、旅人はこの北極星を頼りに方角を確認していたという話は有名である。
この北極星を神格化したのが「妙見」である。宇宙の中心であり星々のなかで最高位、方角や人の運命を司るとされ、神道では妙見菩薩とアメノミナカヌシ(造化三神の一柱でイザナギ・イザナミのもっと前に誕生している)は同一神とされる。
私にとってBUMPは北極星のような立ち位置なのだ。
いつも輝いていて、いつも同じ場所にいるけど、雨で星空すら見れない日があれば、南半球の国に行けば位置的に見れないときもある。
壁にぶつかってふと振り返ると必ずBUMPがいて、道に迷った時は必ず指標になってくれていた。
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私たちからすれば「ライブをしてくれればBUMPに会える」、BUMPからすれば「ライブでリスナーに会える」、「ライブで会おう」を言い換えて「音楽を目印に待ち合わせをしよう」。
この「ホームシック衛星」になぞってロマンティックに言えば「一緒に星を見に行こう」。
そう言い換えると童心のようだが、「BUMPのライブに行くこと」が夜中遊びに出かけることが許されなかった少年少女の「友達と皆既月食を見に行く」と同じくらいに大きな夢であり、大きな約束という名の生きる口実なのだ。
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ライブをしてくれる理由が「曲を聴いて欲しい」より「会いたいから」というのは、藤くんの言う”君”が大多数を指していれど心底嬉しいものだ。
でもあの日、彼らの言う「君」は、紛れもなく28歳になる私だったんだ。
そう勝手に思えるのは、アリーナS席2列目というとんでもない神席だったから。こちらもただただBUMPに会いたくてあっているだけなのに、こんなにもありがたいことがあっていいのだろうか。
天運であり、必然だったのかもね。
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セットリスト(外部URL)
※MCはニュアンスです
余談
ライブの次の日、伊勢神宮に行ってきた。雲が星の鳥がいっぱいいるように見えたのと、彩雲が出てた。さすがは太陽の神様だ。
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