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「技術」が変える、珈琲のこれから【MEMO)

珈琲に関するニュース/情報をインプットし、
噛み砕いてアウトプットするマガジン。
「COFFEE_MEMO_365」のマガジン記事です。

2020.7.12

【今回の引用記事】

【概要】
世界10位のコーヒー生産地であるグアテマラに、
“自転車を使って作るコーヒー”がある。
小規模農家でも持続可能な方法でコーヒーを生産できる「ドライ・バイシクル・パイピング」というこのアイデア。

この自転車の動力を利用した脱穀機を考案・開発したのは「GOOD COFFEE FARMS」代表者カルロス・メレン氏。
精製に必要な設備も資金もノウハウもない小規模農家たちは、精製処理ができず、結果、安値で取引されるコーヒーチェリーのままで売却するしかない状態だったが、
これなら彼らでも安価で手に入り、ランニングコストもかからない。
さらに、水も電気も燃料さえも不要な自転車脱穀は、ソーシャルグッドな解決策でもある。
水を使わないメリットがもうひとつ。
コーヒーチェリーの糖分が水で流されずに通常より長い時間糖分が豆に吸収されるため、コーヒーチェリー本来の甘みを感じるフルーティーな風味に仕上がるそうで、日本のロースターにも高評価。
クラウドファンディング「Makuake」にて、2020年に自転車脱穀で精製されたコーヒー豆を購入しながら、カルロスさんを支援するコースが登場。
すでに当初の目標であった200万円を突破し、さらにストレッチゴール(300万円)も設定されている。

【MEMO】
先日、LIGHT UP COFFEEの川野優馬さんの音声コンテンツについてのこんな記事を書きました。

こちらを読んで頂いたうえで、
今回の記事を見て頂けると、内容がより分かりやすいかと思います(宣伝!)。

ここで川野さんが述べていたのは、
珈琲の風味に影響を与える要素は大きく分けると以下の3つがあり、
・品種
・作り方(精製方法)
・環境(気候・標高)

そしてそれぞれの要素が、
それぞれの国・地域・農園によって違うのは、
珈琲の栽培を巡る成り立ち、
つまり「歴史」によって形成されてきたから。
ということ。

ここには全面的な共感を持ちつつ、
ではさらに味や風味の表現が多様化している現代において、また「歴史」が動いたとするなら、
これに新たに4つ目の要素を加えるとするなら、

それは「技術」ではないかなと思います。

生産技術の発達により、
新たな品種や精製方法の多様化、さらには多くの農園への技術提供が行われ、
管理技術の発達により、
輸出入時における商品を農園の区画レベルまで珈琲の流れを追えるようになり、
情報技術の発達により、
商社だけでなく各企業や消費者レベルでもより詳しい品質情報にアクセスでき、また生産者-消費者間もリアルタイムで知識や情報共有が可能になりました。

これまで珈琲は、
各地域ごとに普遍的だった要素によって、出来上がる風味表現が限定的でもありました。
言い換えると、それは「個性」と評価されていました。

そこに「技術」という新たな要素加わることで、
その表現の幅を広げました。

これもひとつの「歴史」として見ると、
今まで制限された要素によって培われてきた「基礎」の部分から、
大きく「応用」に差し掛かるフェーズなのかなと思います。

今回の引用記事にある、
「ドライ・バイシクル・パイピング」というアイデアもこの「技術」が生み出したものです。

自転車の動力を使って脱穀をする。

一見アナログに見えるこのアイデア。
これが普及する上でも、多くの場面で「技術」が絡んできます。

▪️情報が共有され、生産国が抱える問題について広く認知されることで解決意識が生まれた
(情報技術)

▪️珈琲の味の多様性が認知され、水を使わないことで果実感を損なわない生豆が高く評価される市場が存在することで生産者の選択肢が増えた
(生産技術)

▪️クラウドファンディングと組み合わせ、アイデアを導入した農家にすぐ売上げが発生する仕組みを作ることで、導入メリットが明確になった
(管理技術)

など。

「歴史」により醸成された要素が各地域の個性を生み出し、さらに年ごとの条件とも合わさり、
完成品が偶然性を持つ「自然食品」である珈琲。

一方で、
各要素の相関関係を理解してきたことと、
それらを再現出来るだけの「技術」が発達したことで、珈琲はより「人工物」へと近づいているのかもしれません。

どちらの珈琲が良いのか?
はさておき、

僕らの生きる時代は、
珈琲にとっての歴史の転換期にあるように思います。


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