夜光おみくじ #毎週ショートショートnote
サービスエリアへ入るとホッとした。
夜の暗い高速道路は心細く、休憩中の車が仲間のように思えたからだ。
「寒ぅ! 温かいの買ってくる」
「私はトイレ」
コンビニで、カフェオレと麻衣ちゃん用のブラックコーヒーを買った。
「はぁい、麻衣ちゃん」
「え、ありがとう。さすが愛理。天使だわ」
「ふふっ」
クールな麻衣ちゃんは、あまり感情を出さない。
だから無愛想と言われがちだけど、あたしには言葉で伝えてくれる。
「寒ぅ。車、暖めるね」
エンジンを掛け、暖房をつけた。
「飲み物代出す」
「別にいいよぉ」
「私、運転できないからいいの」
麻衣ちゃんが鞄から財布を出すと、何かがポロッと落ちた。
ルームランプをつける。
「ん?」
ピンクの紙?
え? 去年行った縁結び神社のおみくじ?
「麻衣ちゃん、おみくじは信じないんだよね?」
「……」
「何で持ってきたの?」
「あ!」
おみくじを拾い車内の光にあてた。
「えーと『想いは伝えましょう』」
「返して!」
麻衣ちゃんの顔は真っ赤だった。
(410字)
地震の被害にあわれた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
一日でも早く、穏やかに過ごせる時間がきますように。
たらはかにさんの企画に参加いたします。
今年もよろしくお願いします。
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