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後ろに立つ男

私には後ろに立つ男がいます。

もうちょっと詳しく言うと
私の右ななめ後ろ1メートルくらいから
私を見つめる男が立っているんです。

その男がいると自覚したのは小学生のころ。
“誰かが私を見ている”感覚。

でも不安とか、気持ち悪いとか
そういった嫌な感じではなく
(なにこれ?)
といった不思議な感覚でした。

守護霊、背後霊のようなオカルトではないし
他人の視線のように射すくめるものでもない。
その男は私のもう一つの視点だったからです。

たとえば友達と立ち話をしていると、ふと
その状況を遠巻きに見ている視点に切り替わる。

私と、友達がしゃべっているのが見える。
第三者視点で見つめている感覚が分かる。
それでも、友達と話している私の本体(?)の
意識もしっかりある。
説明が難しいんですけどとても奇妙な感覚です。
あたかも意識が二つに分かれたかのような。

困惑した小学生の私は友達に聞いてみました。
「なぁなぁ、この変な感覚、わかる?」って。

意外や意外、数こそ少ないですが
「あ、俺もそれ分かる。なんだろうな?」と
同じ感覚を味わった友達が数人いたんです。

これが『俯瞰で観る』と知ったのは
ずいぶん後になってからのことです。

後ろに立つ男は俯瞰視点の私でした。
そしてその男は、今でもいます。

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・・・・・・
・・・・・・・・・

俯瞰というのは会話において便利なもの。
一対一で話をしていても、周りに気を配れるし
自分がおかしなことをしゃべっていたら
“もう一人の自分”から冷静なツッコミが入ります。

なので口喧嘩や口論をしているときでも
(落としどころはどうしようかなぁ)と
考えながら話すこともできたりします。

この俯瞰の感覚は、自然と身につく人もいるし
訓練によって身に着けることができる(らしい)。
そういった書籍もいくつか目にしました。

個人的に一番役に立ったのはプレゼン。
『話す側』の視点だけではなく
『聞く側』の視点で自分を観ることができるので
時間管理、緊張具合、周りの視線などがわかって
都度修正することができるからです。

後ろに立つ男さん、いつもありがとう。


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